第49話 事故連鎖('99. 9.15)

 遅い夏休み旅行(今考えると避暑旅行)から戻ってきて、東京がまだまだ蒸し暑いのにはほとほとまいってしまった。そんな残暑と不快度の高さから生じる訳ではないのだろうけど、9月8日・10日・12日と相次いで、筆者自宅周囲の道路で自動車の事故が起きた。8日は日中だったので詳細は不明だが、聞くところによると、トラックと乗用車による衝突事故。10日は夜の10時頃のことだが、衝突音と爆発音のようなものが聞こえたので、洗面所の吊り棚が落ちたにしては大げさだなぁ、とか思いつつ、何気なくベランダに出て見下ろせば、1台のミニワゴン車が意味不明な右折(急ハンドル)をして、ガードレールに突っ込んでいる。バンパーは分離・落下し、前面は大破しているが、運転席には影響なく、軋んだ扉をこじ開けて、運転手が出てきた。幸いケガはなかったようだ。ほどなく、マンション住民、近隣の住民が詰めかけ、車の周りを取り囲み出した。何と反応の早いことか。するとまず救急車(運転手が無傷なのがわかるとさっさと引き上げてしまった)がやってきて、次いでパトカーが3台到着した。即座に連絡が行ったのだろう。事故発生後5分程度で来たのは感心した。横向きに突っ込んでいるものだから、両側車線を遮っていて、車は通れない。という訳で、パトカー2台が現場を挟むようにして車道を遮り、通行止めにしたところで、取り調べが始まった。筆者も野次馬なので、下に降り、現場検証させてもらった。

 大破した前面を見ると、悲惨の極み。大してスピードは出ていないはずだが、ガードレールの潰れ方に比例して目茶目茶である。前輪はパンクはおろか、楕円形に変形してしまっている。事故車を前に、警官と運転手が会話している。事故原因をつかみかねているようだったが、ひとまず「単独衝突事故」云々と警官が無線で告げると、検証は終わり、次に運転手はパトカーに乗り、酒気帯びの検査が始まった。だが飲酒運転でもなかったらしく、今度は警官が調書を書くのに淡々と応じている。筆者が思うに、助手席に携帯電話が吊るされていることから、携帯電話に気を取られて、反対車線を走ってしまい、ガードレールに衝突。ハンドルが効かなくなって、ブレーキをかけて横滑りしたのでは? というのが考え得る。ガードレール2~3本分を駄目にしているため、急ハンドルで単純に衝突した訳ではなかったのである。いやはや。

 しばらくすると「東京レッカー」と称する指定業者のレッカー車が現れて、作業が始まった。事故車をまず後ろから引っ張り出すかと思いきや、外れたバンパーの前面上あたりをチェーンでつなぎ、いきなりクレーンで吊り上げてしまったのにはおそれいった。後輪が動くので、クレーンの微妙なコントロールでいとも軽々と車体の向きを変え、レッカー車で牽引できる状態に持って来てしまった。ちょっとした熟練技である。もう一人の作業員は落下したバンパーの撤去の他、竹ホウキとチリトリでもって、さっさと破片やら破損部品やらを片付ける。警官が車検証を確認して持ち出すと、運転手とともにそのままパトカーに乗って、去ってしまった。レッカー車もいっしょに動き出すかと思ったら、事故車を牽引用の軸台に載せたまま、クレーンを使い、今度はガードレールの修復を始めた。クレーンを使えば、拉げたガードレールも水平かつ直角に、ある程度戻せてしまうのである。応急処置とは言え、これで歩道も使えるようになるので何よりである。1台数役をこなすレッカー車の仕事ぶりにはともかく感服した。

 レッカー移動が完了すると、通行止めしていたパトカー2台も去り、いつものように車の往来が始まった。こうした事故がどのように処理されるか、顛末を見届けることができ、ちょっとした勉強にはなった。しかし、事故は未然に防ぐに超したことはないという意も強くした。

 もともとこの道路は、浮間方面から新荒川大橋(川口方面)への抜け道になっているため、交通量が少なくないのだが、さらに悪いことに交差点に信号機が付いていない箇所が続くため、暴走(マナーの良くない)車が多い。(8日の事故はその一例である。) 特に夜間は信号無視する車さえあって、危ないことこの上ないのである。あと数カ所でも信号が付けば、暴走車の歯止めになるものと思うのだが。

 12日の事故は、そんな信号のない交差点で起こった。信号がないから、この交差点を横断できない不便さに加え、車どうしの交差が激しいため、人を巻き込んでの事故が起こりかねない状況は前々からあった。図書館の近く、かつ付近にマンションが増え、こどもの往来も多くなっていることから、一歩間違えば人身事故の可能性大である。区長宛のハガキを使って、こうした状況改善をお願いしてはみたが、単に管轄の警察署に要請した、という返事どまりで具体的な措置がとられていない。環八通りを拡幅する工事が進んでいるが、どうもその環八通りが広がって、交通量がどう変化するかを見極めてから、わき道(抜け道)の交通環境改善を考え始めるようである。

 この日の事故では、一時停止線の描かれている進入方向から来た車どうしが正面衝突し、一方が半回転して、両者の後方どうしが再度衝突する、という複雑なものだった。両車とも標識通り一時停止すればよかったものの、いずれも優先道路と勘違いして突っ込んだようだ。幸い歩行者を巻き込むことはなかったが、半回転した方の乗用車の運転手がムチ打ち・わき腹打撲等で救急車で運ばれてしまった。もう一方の車はベンツというだけあって、運転手は全く無傷だった。ただ、その運転手は案の定と言おうか、いわゆるお金持ち風の若者だったため、救急車で運ばれたケガ人を気遣うどころか、しきりに携帯電話をかけまくり、助けを求めている、いやとにかく我関せずの図である。いい車に乗っていても精神面が伴っていない好例と言えようか。警官からの聴取中もタバコをふかしながら、携帯で話をしているのだから、呆れるばかりである。周りからは責任回避・自己逃避にしか映らないというのに。

 10日の事故処理と違っていたのは、ガソリンが漏れ出していたため、消防車がやってきて、特殊な粉末を撒いて発火を防ぐなどの処置をとっていたことと、散乱していた破片やら破損部品やらは警官が始末していたこと、といったところ。他のプロセスは10日と同じようなものだった。同じく「東京レッカー」車がやってきたが、至近地での続けての事故に作業員も呆れたに違いない。ちょっと手こずっていたが、ガードレールの応急処置を含め、さっさと済まして帰って行った。頭が下がる。

 交通事故は不思議なもので連鎖反応的に近所で続けて起こることがある。風水とか易とかで調べると、何かの巡り合わせ(偶然ではなく必然か?)で事故が起こるようになっていることが判るだろう。お祓いもすべきなのかも知れない。だが何よりも近隣の早急な交通環境改善が望まれるところである。大事故が起こってからでは遅いのである。

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