第28話 荒川クリーンエイド'98 in 荒川赤羽緑地('98.11. 1)

 第14話で荒川河川敷の工事についてふれたが、今回のクリーンアップはその工事の影響をもろに受けて、エリアの変更を余儀なくされた。JR東北線と京浜東北線の鉄橋付近から上流にかけて、新河岸川と荒川の間の河川敷を中心にこれまではクリーンアップしていたが、その河川敷をスーパー堤防化する工事がいよいよ始まったためである。まだ立ち入ることはできるが、柵などで一部囲われつつあるし、いずれショベルカーやダンプが入り込むようになれば、土ごと根こそぎ持っていくなり、入れ替えるなりしてしまうであろうから、クリーンアップしたところで、徒労になるのがオチである。一方、荒川赤羽緑地と呼ぶ所以でもあった原っぱは野球場と化してしまい、植物観察の楽しみがなくなってしまった。荒川知水資料館2Fにある「あらかわご意見板」でこのあたりの一連の工事について憂慮を書き残しておいたところ、それに対する返事があって、特に「自生を促すような植生」についても配慮する旨、記されてあったのを思い出す。それはそれとして、やはり広々と自生していたからこそ価値がある訳で、野球場の隅っこではいくら自生を、と言ったところで説得力がない。ともかく今回のクリーンアップは、緑地なき「荒川赤羽緑地」にスポットを当て、野球場とサッカー場に挟まれたJR東北線・京浜東北線鉄橋の下で行うことにした。もともとサッカー場はあったので、週末ともなるとサッカー少年とその家族で賑わう他、スポーツ愛好者が観戦に来たり、鉄橋下が格好の駐車場になっていることから、車で乗り付ける人々が行き来する場所故、マナーの良くない輩がポイ捨てするのを実は何度となく見届けていた。何とか本腰入れて片づけたいものだ、と前から思っていたので、工事のおかげでとりあえず手を付けられたのはよしとすべきかも知れない。

 関係各位への協力よびかけが弱かったせいもあり、今回の参加者は昨年の半分の総勢15名。クリーンアップエリアを変えたこともあり、試行的な展開になったが、手慣れた方々に多く参加してもらえたおかげで、予定していたスケジュール通りに進めることができた。前日の雨で地面がぬかるんでいたり、思いがけず丈の高い草が多かったり、必ずしもコンディションは良くなかったにもかかわらず、相当量のゴミを拾うことができた点もまずまず。ゴミ袋にして合計26(内訳は、燃えるゴミ6袋、燃やせないゴミ14袋、缶5袋、ビン1袋)。収集したゴミは、上位を挙げると、次の通りである。

    1. 飲料缶:269
    2. ペットボトル:124
    3. プラスチック・ビニール片:89
    4. スーパーやコンビニの袋:79
    5. 紙の破片:63
    6. 食品トレイ:49
      弁当やカップめんの容器:49
    7. ガラスやビンの破片:41
    8. 食品や菓子の袋:40
    9. タバコのパッケージ:18

 先述したように、場所柄を反映したような結果となった。飲料缶や小型のペットボトルなどは好例である。しかしながら、意外にもタバコの吸い殻は少なかった。タバコの吸い殻と言えば、全会場合計では必ずトップに来るゴミなので、この結果を見るに、単に拾いそびれたか、土中に紛れてしまったか、と推察し得るのだが、一つ善意に解釈したいと思う。

 さて、変則的な台風とその時の大雨で、荒川も何度か増水したのを目の当たりにしていたので、川岸部分がずっと気にかかっていた。泥道をたどって、草を分け入り、岸にたどり着くと、案の定、水際(干潟ができていた)には種種雑多なゴミが漂着し、散乱していた。余裕があれば、漂着物の品評(ビーチコーミングならぬ「リバーコーミング」?)でもしたいところだが、人手が足りなかったことと、足場が不安定だったこともあって、缶・ペットボトルに限って片づけた。(飲料缶の数が飛び抜けて多いのは、ここで拾った分が多かったせいもある。) しかし、すっきりとできなかったのは何とも惜しまれる。荒川クリーンエイドなので、やはり水際を優先してきれいにすべき、というのを今回は痛感した。

 粗大ゴミは、というと、大型のものは見られなかったものの、やはり丈高な草が生えているところには様々なゴミが捨てられやすいことがよくわかった。粗大ゴミ調査は専任で一人ついてもらったので、後から報告を受ける形にしたが、タイヤ、キャリーカート、自転車、ステレオのスピーカーなどが草地で見つかった。鉄橋下では、テレビ画面の枠、布団、自転車の車輪、ヘルメットなどが見つかり、当地もまたご多分にもれず、の結果となった。缶・ビンの類は拾い終わった後で一斉に数を数えることにしているので、玉入れ競技後のような態である。北区専用の空き缶回収箱に一度ドサっと入れて、袋に入れ直す時に数える。泥のつまった缶は干潟で拾ったものだろう。回収箱でしばらく横たえていたが、その泥の中から、黒い物体が這い出てきた。何と泥にまみれたベンケイガニである。いやはや驚いた。ベンケイと名が付くだけに逞しい。水質調査そっちのけで、皆でしばし雄姿を鑑賞することと相成った。今回のクリーンアップのこれはちょっとしたご褒美といったところだろうか。この日は他にもカエルは出るは、ゲジゲジは出るはで生態観察会?!を兼ねた催しとなった。

 ご参加いただいた皆様、おつかれさま&ありがとうございました。この場を借りてまずは御礼申し上げます。

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