第15話 「アースデイ・フェスティバル 1998 in こどもの国」レポート('98. 4.15)

 毎年、週間予報に一喜一憂させられる4月の第二土曜日日曜日。だが今年ほど直前の予報が当てにならなかった年はないと思う。フェスティバル前日の4月11日は、全国的な日本晴れ。その勢いでフェスティバル当日も当然晴れるものと思っていたが、起きてみると肌寒く、薄曇り。おまけに灰褐色の雲が流れている。今回は週間予報通り曇り/雨か、と4月12日の朝方は思っていた。ところが、あれよあれよと雲が引き、昼前には晴天になってしまった。前日の予報を聞いていなかったが、どうやら曇り時々晴れに変わっていたようだ。ともかくこれで筆者がフェスティバル実行委員になった1993年からは毎年晴天に恵まれていることになる。自称晴れ男でも何でもないのだが、お天道様が味方してくれているのは確かなようだ。

 今回は中央広場に繰り広げていたテント出展は取り下げ、正面入口と奥手の児童センターに企画物を集中させた。中央広場は風が吹き降ろす格好の地形になっているので、毎年テント出展は風に泣かされていた。配布するチラシが飛ばされて、それを拾い集める手間と言ったらなかった。その教訓から本部テントの類は正面に構え、本部扱いのパネル展示は児童センターに振り分けた訳である。この策が奏効して、パネル展示は前日から周到に用意できたし、風対策に人手をとられることもなかった。お手伝いスタッフの不足が心配の種だったが、少数精鋭で乗り切ることができたのは幸いだった。もちろん勝手知ったる常連スタッフが力を合わせた結果なのだが、少数の方がむしろ高効率なこともある、これは思わぬ発見だった。

 準備段階ではいろいろトラブルが多かったが、上述の通り、フェスティバル当日は至って順調だったと言える。スタンプラリーのシート3000枚は開園からハイペースでさばくことができ、スタンプ押しのトラブル、プレゼント引換のトラブルも特になし。会場が広いので、スタンプのポイント全てを回るのは難しい。そこで通過型と参加型の枠を用意し、前者は全部押す、後者はどれか1つに参加して押してもらえばOKという設定にした。ところが午後になるとスタンプを全部押してきたこどもたちや親子連れが結構やってくるので仰天。これはうれしい誤算だった。参加型の例を挙げると、ケナフの紙すき、自転車発電、川が汚れる原因を考える、拾ってきた木片でアクセサリーを作る、といったもの。それぞれが環境教育にちなんだワークショップであり、その全てに参加できたとしたら、ちょっとしたものである。こどもたちにとっては、学校でそうそういっぺんに体験することはないだろうし、親御さんにとっても、いろいろ学ぶところがあったとしたなら喜ばしい限りである。

980412.jpg 目玉は、坪田愛華さん原作の「ちきゅうのひみつ」に出てくる「アース君」。今まではパネル展示、ビデオ上映での登場だったが、今回は何と着ぐるみ人形に出演してもらい、立体的にアース君を楽しんでもらうことができた。名札がついているからそれを見れば「アース君」となる訳だが、遠くからでも「アースくん!」のかけ声をともにこどもたちが瞬く間に集まってくるのには驚いた。この知名度はいったいどうしてなんだろう、なんて言っていられない。アース君役はさすがに遠慮したが、マネージャよろしく付き添っていないと、時々アース君がひどい目に遭ってしまう。何せ頭の周りが1メートル近くあるものだから、まず目立つ。そしてそれを叩いたり、けっとばしたくなるのは、こどもにとってはごくありふれた衝動なんだろう。こどもたちを制止する役回りが必要になろうとは... もちろん、握手を求める、手をつなぐ、やさしくなでる、こうした行為が圧倒的だから、見ているこっちとしても情操面で救われるのだが、特にサッカー少年には空いた口がふさがらなかった。できるだけ少年達の一団と接触しないように誘導していたのだが、見つかるとすぐヘディングにキックの応酬である。「地球を大事に」「みんなが住んでる地球だぞ」なんて言ってもあまり効き目がない。どうにも言うことをきかないのがいたので、アース君役を彼に代わってもらうことにした。当然仲間が同じ仕打ちをするから当人はたまらない。さすがにこりたらしく、最後は握手して帰っていったが、丸いものに対する意識が攻撃的にしか向かないのかと思うとちょっと情けない。サッカーボールを地球儀に変えたら、少しは穏やかになるんだろか、なんて考えてしまう。アース君を通した環境教育、情操教育のあり方はぜひ考えておきたいと思う。それはこどもに対してだけでなく、ご両親を含めた話として。つまり、アース君に接する時は、地球そのものに接するのと同じ、ということをである。

 昨年はテレビの取材に関わったりということもあって、思うような身動きがとれず不本意だったが、今回のフェスティバルでは、ひととおりのイベントに目を配ること、出展者と会話すること、実際にワークショップを体験すること、といった参加者的な部分が半面楽しめたのでありがたかった。実行委員をする前に、まずは一参加者たれ、といったところだろうか。自分が参加してみたいものを企画できるのが実行委員のよいところである。それを実際に体験できないようでは実行委員をやっていても意味がない、ということを改めて感じた。

 こどもの国協会の皆様、環境教育ワークショップ・テント出展の関係者の皆様、実行委員・お手伝いスタッフの皆様、フェスティバルに向けてご指導ご協力いただいた数多くの皆様、そして何より当日ご来場ご参加いただいた皆様には、本当に感謝したいと思います。今回はいろいろ思い入れのあるフェスティバルでした。実行委員代表という訳ではないので大それたことを言う立場ではないですが、この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

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