第71話 都心周遊(2000. 8.15)

 仮に今、池袋にいるとする。そしてサンシャイン方面に所用があるとする。しかし、サンシャインに行く前に、お茶の水、大手町、飯田橋にそれぞれ寄ってからでないと、サンシャインに行く意味がない。そんな状況があるとしよう。例えにくいシチュエーションではあるが、小学生の自由研究に付き合うとして、まず駿河台の某書店ビルで、ネタになる専門書を探し、大手町の逓信総合博物館でいろいろ下調べして、飯田橋のボランティアセンターで自由研究に役立ちそうな教室や講座の案内を一応調べて、工作をすることに決まったら、池袋の東急ハンズで材料調達、なんて場合である。この順番でそれぞれの駅で下車する度に切符を買い直すと、池袋-(丸の内線:190円)→淡路町-(徒歩)→新御茶ノ水-(千代田線:160円)→大手町-(東西線:160円)→飯田橋-(有楽町線:160円)→東池袋、で4回切符を買って、合計670円とお高くついてしまう。全て営団地下鉄での移動なので、一日乗車券700円を買っても良さそうな状況設定ではある。これ以上の行程が考えられる場合は迷いなく一日乗車券、てことになるだろう。しかしながら、実はこれが通しで190円で回れてしまうのである。ご存じだったろうか。(この後、訂正:千代田線→東西線の場合、下車不可でした。失礼しました。半蔵門線・丸の内線→東西線は可能。)

 営団地下鉄は利用者の利便を考えて、ちょっと離れていても、乗換駅として指定するケースが多いのだが、必ずしも全ての駅が改札を通らずに乗り換えできるようにはなっていない。つまり、同じ駅名であっても、駅と駅(ホームとホーム)が離れている場合は改札をいったん出てからでないと乗り換えできない(乗り換え専用の地下通路を通すのが困難な)ところがいくつかあるのだ。いったん改札を出て乗り換える場合は、専用の改札通路(オレンジ色に塗り分けてある)を通れば、切符がちゃんと出てくるので、乗り換え先の改札で再度入場できるようになっている。この仕組みをうまく利用すると、前述の行程などを最低限の運賃=1枚の切符でこなせてしまう、という訳である。

 ただし、これは切符でないとできない話で、いわゆるメトロカード・Tカード(10月に登場する「パスネット」も同じ原理になると思われる)の場合、乗り換え時間が30分と限られているので、30分以内で所用が済む場合はいいが、30分以上かかりそうな場合は切符の方が無難、となる。何だか、抜け道指南や「わが家のケチケチ...」みたいな話で、公共性を欠く感じがしなくもないが、海外の地下鉄や公共交通の切符の仕組みを考えると、日本でもこの程度の自由解釈が許されても良さそうな感じはする。大幅な往復割引や、一定時間以内の移動ならどこへ行ってどう乗り降りしても均一料金なんていうのがない分、1枚の切符でのフリーな使い方が保証されて然るべきだろう、と思うのである。

 しかし、先の池袋→東池袋の大回り&寄り道乗車は、正にこの順序でないと成立しない、という制約がある。大手町では、東西線のみ離れているので、例えば丸の内線・千代田線・半蔵門線の3線間の乗り換えでは、大手町での下車はできない。飯田橋も同様で、南北線と有楽町線は専用の通路で結ばれているので、下車できるのは、東西線 対 南北線 or 有楽町線なのである。

 さて、同様の解釈でもう一例。筆者職場の最寄り駅 表参道から、渋谷、又は外苑前に戻ってくる場合である。表参道-(千代田線)→日比谷-[映画や観劇]→有楽町-(有楽町線)→飯田橋-[ボランティアセンターや都消費生活センターで情報収集?]→飯田橋-(東西線)→九段下-[武道館でコンサート♪など]→九段下-(半蔵門線)→渋谷(又は青山一丁目で銀座線に乗り換えて外苑前へ)なんて過ごし方があった時、これも実は190円で済んでしまう。(オレンジ色の改札を通るのをお忘れなく。)

 この2例は、起点と終点が近くになる場合、つまり一筆書きみたいな動き方を前提とした場合だが、起点と終点が違っていてもいい訳で、単に途中下車する場合にも応用可能ではある。(ちなみに、御茶ノ水方面から丸の内線に乗って来て、池袋で下車、有楽町線乗り換えで和光市方面、というのも可能。)

 3例目は、都心周遊というか、ちょっとした観光案内で使えそうなモデルルートである。おおっぴらにするものでもないが、決して違反ではないので、お試しいただく分にはいいと思う。

 なぜか早稲田をスタート。早稲田-(東西線)→九段下-[北の丸公園や千鳥が淵など]→九段下-(半蔵門線)→三越前-[日銀や三越本店など]→三越前-(銀座線)→上野-[上野公園(動物園・美術館)など]→上野-(日比谷線)→(なぜか)三ノ輪、といったルートである。早稲田~三ノ輪は東西線+日比谷線(日本橋乗換)の通しで230円。この乗り換え(+下車)を敢行しても同じく230円である。三ノ輪まで来れば、三ノ輪橋駅は近所なので、都電荒川線(全線均一160円)に乗ってゆっくり城北方面を回って、都電終点の早稲田に戻ってくればいい。この周遊、驚くなかれたったの390円である。

 という訳で、この夏休み、都心でゆったり過ごしたい人には、涼みながら移動でき、かついろいろ回れる営団地下鉄が何よりオススメ、なのである。

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