随筆「東京モノローグ2008」(1−2月期)
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第251話 ポケットティッシュコレクションコレクション画像ページ / 第250話 紙々の憂い〜「カミにまつわるエトセトラ」付き / 第249話 東西新井参り〜国際興業バス一日乗車券ツアー記録 / 第248話 2007年10大ニュース

第251話 ポケットティッシュコレクション(2008.2.15)

 花粉症のシーズンを控え、ともするとユーウツになってしまうところ、その憂いを少しでも緩和すべく、備えるものは備えておくに越したことはない。ティッシュペーパーというのは、対症的な備えではあるのだが、これがないことには如何ともし難い。花粉症と来れば、切っても切れないのがティッシュである。

 ティッシュペーパーは、肌身に触れるということもあってか、古紙パルプ配合云々、つまり再生紙偽装というのは働きようがないので、余計な気を回さなくていい。それはいいのだが、再生品でないのに消耗品というのが何とももったいなく、自ずと価格面との相談となり、同じ買うなら特売品、となっていくのが悩ましいところ。150組300枚入りの箱が5つで、税込198円。直近ではこれが一つの目安になるだろうか。だが、この手のお値打ち品にはそうそうお目にかかれるものでもなかったりするので、「然るべき自衛策も」となる訳である。

 紙を憂いている第250話暇があったら、自衛策を講ぜよ、とカミからのお告げがあったかはいざ知らず、ここは一つ自宅にあるポケットティッシュの類を引っ張り出すだけ出してみて、とにかく備えることにした。特売ティッシュが出たら出たで買いには行くが、市販のティッシュは少しでも延命させたい。本格的なシーズンに入れば、ポケットティッシュでは多分済まないだろう。そう、シーズン前のこの時期はポケットティッシュでつなぐ、しのぐ、これ即ち自衛なのである。

 あちこち出歩く割には、日常的にはあまり街頭配布品を手に取ることがない筆者である。それでも、どこぞの記念だ、粗品だ、で入手したポケットティッシュが多々ある。加えて、細君がコツコツとキープしておいたものもあるもんだから、それらを棚卸&集合させてみたら、結構なラインアップになった。

 珍しいから、と取ってあったものも多い。特に金融機関関係については、今では入手できないレアもの(?)もチラホラ。

 備えるだけのつもりが、あれよあれよでコレクション状態になってしまった。せっかくなので、カテゴリ別にご紹介しようと思う。(いずれも未開封品) 前回に続く紙ネタだが、続編という訳では決してないので、あしからずご笑覧の程を。

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 ちょうど7年前の第83話では、冬場の街頭配布ネタを調べている。今回のポケットティッシュ小話を記すにあたり、このご時世、どこがどう配っているか気になったので、以前と同じ池袋駅東口に足を運んでみることにした。

おなじみ消費者金融系の配布光景(配る姿勢はなかなか良かった) いつもながらの消費者金融に始まり、ポケットティッシュを配る姿を複数見かけたので、大きな変化がないことを知る。ところが、少々怪しげ系なのを見送ったら、入手できたティッシュは出だしの一つだけ。他の2〜3人が配っていたのは、何と女性限定、ターゲットを絞ったポケットティッシュ販促だったのである。よりによって、2月14日に女性に限った配り物とは... 何の日か、というのを考えれば、むしろ男性限定で何かを配るところが出てきそうなところ、それと逆。配る側からすれば、空気を読んでないのはこっちかも知れないが、時節の空気という点で読み損なっているのは配る側、販促業者側であることは自明である。兎も角、これは変化というよりも、単に世知辛くなっているだけなのかも知れない。ポケットティッシュも貴重品化してきて、以前のように易々とは入手できなくなっている、ということか。

オレンジ服の女性は左からTIPNESS、クーポンランド。右端の青服の女性はHIS。 試しに池袋駅西口に廻ってみたら、某格安旅行業者によるパンフレット配り、クーポン雑誌のアンケート(?)に混ざって、某フィットネスクラブ、東口と同じ消費者金融が盛んにティッシュを配っていた。男女の別なく配っているので安心して受け取ることができる。つなぎのティッシュをもらいに行くなら、東口よりも西口と心すべし、とこの時思った。

 結局、備えあれば何とやらで始めたポケットティッシュ探し&集めが高じて、この有様。ここに記録したからもう使ってもいいだろう、とはいかないのが筆者流である。集めたものの開封できないポケットティッシュを目の前にして、憂いが募る。そしてスギ花粉は容赦なくやって来る。手持ちの市販品(ティッシュペーパー箱)についつい手が伸びるも、その都度抑えながら、ありがたがりながら使う、そんな時期はもうすぐ。

 何だかんだで今回も「紙々の憂い」は続くのであった。

 

第250話 紙々の憂い(2008.2.1)

自治体による古紙回収の取り組みは営々と続く... 「偽」とは2007年で決別し、気持ち新たに2008年を迎えたはずだった。が、新年を祝すための紙、つまり年賀ハガキでその「偽」が発覚してしまっては、決別も何もあったものではない。偽再生紙でできた賀状は、今年も引き続き偽装・偽造の一年になることの予告状ともとれる。そして発端となった業界最大手、日本製紙の不義は、年賀ハガキにとどまらず、他の一般的な用紙(主に情報用紙)でも認められ、さらには大手・中小を問わず、業界各社にも同様の配合率偽装(実配合率との乖離)が広がり、事態は予告通りの様相に。直近のニュースでは、日本製紙連合会傘下の会員企業の実態調査結果ということになるだろうか。製紙会社24社中、17社(王子製紙、大王製紙、日本製紙、北越製紙、三菱製紙、リンテック、王子特殊紙、紀州製紙、三善製紙、新巴川製紙、大興製紙、中越パルプ工業、東海パルプ、特種製紙、丸住製紙、日本大昭和板紙、三島製紙)から何らかの偽装が申告されたというから驚きである。(*筆者の知る限り、この手の再生紙の取り組みが進んでいたメーカーの一つに平和紙業がある。同社の名が挙がっていないのが救いでもあり、不思議でもある。)

 日本郵政会社は民営化最初の主力商品で思わぬアクシデントに見舞われることになった訳だが、同社の1月16日(?)発表では、年賀ハガキはもとより、全ての「再生紙はがき」において、古紙パルプ配合率に偽りがあったというから穏やかではない。これはニュースだ!となり、1月18日に取り急ぎ記事をまとめることになる。(→ENVIROASIAJANJAN原文

 この時点では、さらなる事態に広がる予感はあっても、まさかここまで、とは思っていなかったので、少々手ぬるい表現になっている。だが、改めて今思うのは以下のような点である。

グリーン購入法は、そもそも「いいもの」を盛り立てる、どうせ選ぶなら環境に配慮したものを、というプラス評価的な側面があったため、国や地方公共団体における環境配慮型製品の調達には一定の規範性を持たせながらも罰則がなかったのは、いい意味での「緩やかさ」があったため、と思われる。

【参考】同法第6条〜第11条の骨子を読むと、下記のように定められている。

3.国等における調達の推進 (第6条〜第9条)

(1) 基本方針の策定
国は、国及び独立行政法人等における環境物品等の調達を推進するための基本方針を定める。基本方針は、環境大臣が各省各庁の長等の協力を得て案を作成し、閣議決定する。
(2) 調達方針の作成等
各省各庁の長(衆・参議長、最高裁長官、各省大臣等)及び独立行政法人等の長は、毎年度、基本方針に即して、環境物品等の調達方針を作成・公表し、当該方針に基づき物品等の調達を行う。また、年度の終了後、調達の実績概要を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に報告する。
(3) 環境大臣の要請
環境大臣は、各省各庁の長等に対し、環境物品等の調達を推進するため特に必要な措置を要請することができる。

4.地方公共団体等による調達の推進 (第10条)

都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、毎年度、環境物品等の調達方針を作成し、当該方針に基づき物品等の調達を行うよう努める。

5.調達の推進に当たっての配慮 (第11条)

国等、都道府県及び市町村は、環境物品等の調達推進を理由として、物品等の調達量の増加を招かないように配慮する。

・同様に、企業や事業者に対しても、無理強いをするものでもない。同法で言う環境物品は、メーカーの自主努力で製造されることが前提なので、法で定める配合率などのパーセンテージは、断固としてその水準を満たす製品を作れ、と命じるものではないのである。調達してもらわないと商売にならないので努力はする、だが、それは絶対要件ではない。そう考えると、同法の精神が曲解され、メーカーがムリやり合わせるような事態に至っていたことが窺える。

・もっとも、はじめから「ムリがあるなら、ムリ」と言うべきところ、それができなかったところに、企業側としての弱みがあったことも否めない。客の言うことを聞かないと商売にならない。これがエスカレートして、ムリを重ねることになりはしなかったか。まして、顧客満足だ、CSR(企業の社会的責任)だ、が前面に出てきては、余計にNOとは言いにくくなるだろう。

・再生製品には、もともと不透明感は強い。紙について言えば、白色度は客観的にわかるものの、配合率どうこうというのは見た目では判断しようがない。偽装の疑いは今のところ、用紙から紙製品へと飛び火していて、再生紙を使った文具や包装についても再調査なり出荷停止なり、憂き目に遭っているが、プラスチック類のマテリアルリサイクルはじめ、他にも偽装できそうな再生素材は数多ある。どこかで火がつきそうな予感はあるが、今は潜在的にリスクがある、と言っておくにとどめることにする。

・こうしたリスクを抱えるに至ったのは、グリーン購入の緩やかな側面が裏目になっている観はある。だが、そもそもやらないよりはやった方が、という「ベター」な取り組みを原理とする以上、これは致し方ないのである。審査や検査でがんじがらめにするというのはなじまない。

・その緩やかさなくして、これだけ環境配慮型製品が普及することはなかっただろう。今回のような事態が生じたのも、それだけ環境対応が進展してきたことの裏返しとも言える。さらなる進化が求められる段階に入ったことを示していると言えなくもない。目指すべきは、再資源化なのか温暖化防止なのか、そんな議論も聞かれるが、一筋縄ではいかないのが環境対応である。緩やかでありながらも着実な取り組みを、ムリはせずベター志向で、というのは基本的に不変と思われる。・・・

 と、ついつい書き並べたくなってしまうので、ここらで一つ閑話休題。今回の一件を諷刺視点で読み解いてみようと思う。題して「カミにまつわるエトセトラ」?

  • カミ隠し
    1/18「オフィスデポ」にて。偽再生紙を撤去する動きが早々と...(これぞ紙隠し?) 古紙は、中国へ流した方が高く売れるとかで、国内市場で再生されるべき紙資源が不足し、今回の偽装につながったとする見方もあるが、国内でダブついている古紙も少なくないという情報もある。確かなのは、どこかでカミ隠しが起こっている、ということだろうか。再生されずに焼却されてしまった古紙資源があったとしたら、笑い事では済まされまい。
     

  • カミ風
     これまで再生紙需要は堅調、つまり順風に乗っていたかに見えたが... 次に風が吹くのはいつになるやら?

  • カミキレ
     表示偽装品ではあっても紙は紙。粗悪品という訳でもないだろう。(むしろ上質?) ただの紙切れにしてしまっては不可ない。(紙切れは「カミギレ」とも読める。濁っても濁らなくても避けたい話ではある。)

  • カミ頼み
     メーカー、サプライヤー、ユーザー、立場は違えど思いは一つ。再生紙が本来の姿に早く戻り、売るに売れない、買うに買えない、という状況を脱すること。何にすがるかはさておき、カミ頼みは当面続く?

  • カミナリ
     強いて言えば、環境省よりも経済産業省か。どちらにしても省庁サイドから業界等へのカミナリというのはあまり聞かず、怒り心頭なのはとにかく各消費者団体。あまり激昂して、萎縮させてしまうと、悪循環になるおそれも?

  • カミのみぞ知る
     調査結果は出揃ってはきているが、そのパーセンテージにどの程度の信憑性があるのか、疑問は付きまとう。古紙パルプがどれだけ配合されているのかというのは、当の紙に聞かないことにはわからない。正に、カミのみぞ知る、である。

  • カミへの冒涜
     紙も万物の一つ。紙の神様だっていらっしゃるだろう。誰が云ったか知らないが、偽装とは即ち、カミへの冒涜に他ならない、というのもごもっともである。

  • カミングアウト
     日本製紙、王子製紙に始まり、次から次へと...という印象が拭えない今回の顛末。特に一番手の日本製紙グループは、告発云々以前に堂々とカミングアウトした方が潔かったかも知れない。(「エコプロダクツ2007」では「グリーン・プロポーション」なるテーマで、「再生紙」もしっかりPRしていたとか。この展示は「2008世界紙様」なる同社グループの一大イベントでも紹介される予定だったが、会場側主催者側ともに、ホームページには載っていない!(2/24〜27 東京国際フォーラム B1Fロビーギャラリーで開催、だったはず?) 今回の件で取りやめになったようである。それはそれでもったいない気もする。)

 古紙の再生にあたっては、コシ砕けになってしまった観はあるが、今後はコシを据えて取り組んでもらいたいものである。(お粗末!)

 ちなみに、郵政会社の発表があったのと同じ、1月16日付で環境省から「『環境表示ガイドライン』の公表について」なる報道発表が為されたのは、何とも皮肉である。先手ともとれるし後手ともとれるが、自戒を込めたリリースと受け止めるのが良さそうである。

 ここでは、(2)国際標準以外に加えて守るべき項目として、

[1]全ての環境表示に求められる要求事項
消費者にとって、分かりやすい表現等/素材の環境負荷の原単位や使用割合による環境負荷削減効果などを明確に表示する/曖昧でありながら何らかの環境保全効果を示唆する用語を製品やサービスの商品名又は愛称に用いる場合は、環境表示とみなす
[2]シンボル(ロゴ・マーク等)を使用する際の要求事項
シンボルが示す意味及び使用基準を明確に設定する。さらに、そのシンボルに隣接して説明文(事業者名又は団体名、シンボルの意味、設定基準等)を表示する/環境表示とは無関係な自然物等を示すデザインは避ける

 とあり、そこそこ踏み込んだ内容になっている。加えて、

[3]シンボルを使用して自主基準等への適合性を表示する際の要求事項
・主張する製品やサービスが、グリーン購入法特定調達品目又はエコマーク対象商品等に該当し、公的あるいは、第三者による認証等の基準がある場合は、それらの基準を考慮する。公的あるいは、第三者による認証等の基準が存在しない場合は、事業者団体において適正な自主基準等を設定する
・製品やサービスの環境性能に関する評価方法が、既存の方法と異なる場合は、換算可能な方法を用いる
・将来的に他社製品との比較ができるよう基準等を考慮する

 とあるが、この「基準」がそもそも曖昧だったことは同省も認めるところのようだ。

 この直後にすぐに見直しとなると、拙速というか、この発表は一体何だったのか、と思わざるを得ない。業界やメーカーの申告頼み、つまり特段チェックする仕組みがなかったという「法制面の不備」(同省)と認めているとされるが、先に書いたように、環境対応というのは性善説が前提だったため、致し方ない面はある。環境省では「同法を改正し、メーカー側の申告を第三者機関などが確認する仕組みを盛り込むことを視野に入れる。同時に、実効性を担保するため、違反した場合の罰則についても検討していく」とのコメントも発表している。性悪説への転換ともとれるが、これは経済産業省も同様で、「古紙配合率の確認体制など、企業を疑ってかかる制度にする必要も含めて考えたい」(紙業生活文化用品課)とまで言っているんだとか。これでは、真面目に取り組んできたメーカーが報われないのでは、と案じたくもなる。

 ただし、「エコ偽装問題 NGO・NPO共同プレスリリース」のような、より強力な論調もある。つまり、見直しに対する異議申し立てである。

 だが、どうもこの感じだと、企業や行政と対峙する構図が助長されるばかりのような気がしなくもない。これら団体のご意見番としての役割は重々承知するも、対決・対立の図式に辟易している見方もあるとするなら、もうちょっと違う物言いもあったのではないだろうか。

 ここは一つ、(1)偽装品の安易な処分→焼却または再再生、などということがないように、(2)今ある残っている偽装品があったら、「考えてから」使うようにする、(3)きちんとした再生紙の確保を急ぐあまり、今あるものをさっさと消費、なんてことはくれぐれも避ける、といった消費者向けのアピールもほしいところだと思う。(ちなみに、グリーン購入ネットワークでは、このような声明(→PDF)を出している。)

 再生紙の品薄感から、不当な買い占めや真っ当な再生紙の価格吊り上げなどが起こるようなことがあってはもってのほか。再生紙に見切りをつけ、普通紙や上質紙へ切り替える動きも活発になっているようだ。(→参考 再生紙市場の正に「再生」が待たれるところだが、それよりも何よりも、まずは紙の消費を抑えることが先決だろう。兎にも角にも、紙のあり方全体を見直す好機と考えたい。

 環境対応はリスクを伴う、それなら最初からやらない方が...という認識が広まるのが損失としては何よりも大きいだろう。環境に対する取り組みにムリや押し付けがないかを問い直す、そして、今回のようなリスクを社会全体で共有し、抑制する、そんな機会が巡ってきた、と心したいものである。

  • 【参考1】 各社リリース経緯等(上位5社分ほか)


 

  • 【参考2】 編集前 記事原文(1/18筆者執筆) *序文略

...1月16日の日本郵政会社の発表では、年賀ハガキはもとより、全ての「再生紙はがき」において、古紙パルプ配合率に偽りがあったことが明かされた。日本製紙の他、王子製紙、三菱製紙、北越製紙、大王製紙も再生紙を納入していたのだが、いずれも配合率に乖離があったとのこと。これら五社は、製紙業界の上位五社に対応するため、ハガキ用紙のみならず、他の印刷用紙・情報用紙・包装用紙でも偽りがあるとなると、「再生紙市場」への影響はただならぬ規模になるおそれがある。業界団体である日本製紙連合会では全会員企業に対し、調査を呼びかけており、それに呼応するように大手各社をはじめ、各用紙メーカー、用紙取り扱いサプライヤーでも、1月16日から17日にかけて、何らかのリリースをホームページ等に掲載し始めている。今のところ「再発防止」「調査中」との文字が目立つため、一部では真相はハッキリしない面もある。調査結果が出揃うまでには時間がかかることが予想されるが、今、正に表示通りの再生紙を使いたいとする需要に対して、真摯に応えられるところがどれだけあるか、これをとりまとめる方が先決とも考えられる。

 価格が低迷していた時期もあったが、環境市場の高まりとともに古紙も資源としての価値を高め、古紙回収業者による綱引き、より高く売れるルートの多様化(他国輸出等)、無断持ち去りにまつわる訴訟等々、有価物であることを示す例が多々見られるまでになった。古紙を含む用紙は、純正パルプ紙と価格面でも同等またはそれ以下となり、高くても環境配慮型商品を、に代表されるグリーンコンシューマー的選択行動の成果として評価される向きもあった。循環型社会を担う主力商品という訳である。

 環境配慮型商品は売れる、というのが定評になって久しい。環境をビジネスに組み込めば、環境保全が進展するというこの二面性が、今回は裏目に出たと見ることもできる。環境配慮型商品については、売れる・売れないに関わらず、より実直かつ地道に取り組まれるべきものと考えれば、こうした事態は起こりようがない。売れるのであれば偽装してでも、というのは何につけ許されるものではないが、環境分野だったことが今回は特に痛い。それは業界のみならず、社会全体の損失につながる可能性があるためである。これまできちんと古紙提供に協力していた人々の努力や感情を損ねるばかりでなく、再生材料は全て怪しいという見方、さらには環境にいいものを選ぼうとする社会的行動の失速、といったものを招きかねないのである。古紙を再資源化しないことによるロスよりも大きいと言えるだろう。

 世界的に見ても日本の古紙回収率は高い。2005年の統計では、韓国(84.6%)、ドイツ(75.2%)に次ぐ70.9%となっている。(利用率の統計はこれとは別) 他国で同様の偽装はないのかどうかも気になるが、回収率に対する利用率が今回の一件でどう変わるか、そして、偽装品の今後の処分、これまで再生されなかった可能性のある紙資源がどうなったのか、など、気になることは多々ある。社会的損失を抑えるためにも、それらを積極的に公表することが業界と各社には求められよう。

 ただし注意すべきは、(1)環境配慮や消費者保護も、程度によっては企業の実質的な体力に見合わない事態を招き、それが思わぬ悪循環を招いている可能性がある、(2)紙や紙製品を購入する場合、その必要性をまず考慮し、必要となった時に環境配慮面などを考えて買う、そうした配慮が消費者にも求められる(まずは、紙の使用を抑えること、そして再生紙かどうかの他に、資源管理された森林パルプ材を配合した「ハイブリッド紙」かどうかもチェックすることも必要)、といった点である。

 日本製紙では「環境偽装」という表現で今回の不義を陳謝している。消費者としては、この環境偽装を厳しく問うのは勿論だが、そこに至った背景を自らも問い直す姿勢が必要になってくるのではないだろうか。より無理のない環境配慮を社会全体で考え、支えていくことがこうした偽装の再発予防にもつながり得る。

(その他の動き) *1/18時点

  • グリーン購入ネットワークでは、「印刷・情報用紙」のガイドラインを1996年11月に制定(2005年10月改定)。グリーン購入ガイドラインに即するとされる商品情報を企業側の自己申告により掲載する「エコ商品ねっと」中、「印刷・情報用紙」の掲載数は940。ただし、今回の配合率偽装の件を受け、情報公開は見合わせ中。→ http://www.gpn-eco.net/

  • エコマーク事務局では各商品類型のエコマーク認定基準を適宜改定しているが、「印刷用紙」「情報用紙」についてはともにVersion2.4まで改定を進めていることから、エコマーク商品の代表格と言える。エコマーク付きの用紙や紙製品は多岐にわたるが、今回の件を受け、全ての用紙をはじめ、古紙が配合されている商品についての調査を実施中。→ http://www.ecomark.jp/pdf/info08-0117NP.pdf

  • 再生紙の配合率を示す「再生紙使用マーク」を扱う「3R活動推進フォーラム」では特に報道発表等はなし。(なお、マークの使用には申請や届出は無用。自己宣言型。)→ http://3r-forum.jp/enterprise/recycle-paper/

エコ商品ねっと(1/18時点) ⇒ エコ商品ねっと(1/31時点) 「エコ商品ねっと」トップページの変遷(1/18→1/31)

 

第249話 東西新井参り(2008.1.15)

国際興業バス 都内全線!一日乗車券(見開き) 都バスに関しては、一例では第185話にもあるようにちょくちょく。昨年は第234話の通り、曰く付きながらも、京急バスでも何度か利用させてもらった。ところが、地元を縦横に走る国際興業バスについては、その存在は知りながらも、なかなか利用する機会に恵まれなかった。京急バスのそれは「乗り継ぎ一日乗車券」、国際興業バスについても名称は同様。両社とも表向きは都内全線OKとなっているが、京急のは羽田空港エリア(特定路線と称して別扱い)では使えないため、イマ一歩。対する国際興業は、文字通り都内路線全て(西は高島平や石神井公園、南は中野や高円寺、東は西新井)で使えるので、むしろどこをどう廻るかで悩んでしまう程である。500円という点でも同じだが、費用対効果を考えると国際興業の方が一枚上手と言っていいだろう。その大盤振る舞いさが俄かには信じ難く、今年に入るまで利用するのを躊躇わせていたというのが正直なところである。

 細君と話して、年始に西新井大師にお参りしようというのが決まったことで今回のプランが動き出した。以下、1月5日の国際(5931)興業バスツアーの記録を綴る。

  • (赤23) 赤羽駅東口 9:50発〜大師前交差点北

     この系統、実は北区〜川口市〜足立区を結ぶため、本来なら都内用の一日乗車券では乗れなさそうではあるが、そこは国際興業。川口市内の停留所で乗り降りしない(つまり足立区のどこかで降りる)分には、OKとのこと。券を買う時にこれを聞き、今回のツアーに弾みがついたことは言うまでもない。

     第247話で少しばかり紹介したが、川口市南部には芝川というのが流れていて、荒川に注いでいる。この川沿いを筆者は前々から着目していて、バスで通ると面白そうだ、という勝手な想定を持っていた。勿論自転車で行って行けない訳ではないのだが、この想定に従って、ずっと行かずにとっておいたのである。第247話での画像では、恰も自然な河川であるようになっているが、これが見事に裏切られる。芝川は、概して自然な感じでもなければ、護岸もあるがままでもないことがバスから眺め下ろしてよくわかったのは、とっておいた甲斐があった、と言えそうだ。門樋橋から先は工場街を縫うように流れる。工場のせいとは言い切れないだろうけど、川面が汚れて見えるのはやはり何らかの因果がありそうである。沿川の停留所名が橋の名称とリンクしているのは当たり前と言えば当たり前。だが、その名がちょっと変わってたりすると、より興趣も沸いてくる。梛木(なぎ)の橋、榎木橋、とか聞こえるとどこか鄙びた印象を受ける。そして川と反対側の車窓からはそんな橋の名に似つかわしい民家が並ぶ。これまた一興である。(この辺の写真を撮り損なってしまったのは、そんなこんなであれこれ見入っていたためである。)(^^;

     山王橋を渡ると右手に水門が見える。水門の向こうは荒川である。となれば、都市農業公園も近い。第36話でも触れたが、都と県では道路の感じが異なる。バスがあまり揺れなくなったので、わかる人はそれで都内に入ったことがわかるだろう。バスは足立区に入り、越境後最初の停留所を通る。その名は「鹿浜五丁目」。筆者はてっきり「農業公園入口」とかで来るかと思っていたので、これは心外だった。(この後続く「鹿浜シリーズ」のことを考えれば、やはりひねった方がいいように思う。赤羽から農業公園へ行けることも伝わるだろうし。)

    国際興業バス 赤羽営業所管内 路線図(抜粋)

     さて、そのいくつかの「鹿浜某」停留所は、細いながらも幹線級の道路にあり、(赤23)は環七ではなくこの幹線をひたすら東進する。そして道はY字の分岐点へ。西新井方面は右を進んだ方が早道になるのだが、バスは何と左を選んだ。もともと遠回りコースなのは承知していたが、これによりさらにコースは延びることになる。筆者のようなツアー客にとっても遠回りは有意義だが、谷在家(やざいけ)からの客が多いことを見越して、というのがその主たる理由だろう。谷在家界隈は、都バス里48系統が南北に走っているので、主流はそっちの筈なのだが、東西移動客も決して少なくないのである。(南北軸については、3月30日に開業する「日暮里・舎人ライナー」がいずれ主役になることは自明だが、東西軸についてはこの国際興業バスが引き続き担うことになるだろう。)

     日暮里・舎人ライナーをくぐったので、そろそろ大師は近い、と思っていたら、これがそうでもなかった。この辺りのライナー新駅に「西新井大師西」(→参考情報というのが予定されているので、てっきり近所だと思っていたのだが... 地図を見るとその距離、約1km。ライナー開業後は、この駅名に釣られて大師参りしようとする客も現われるだろう。「大師前」ではないから弁解もできるだろうけど、ちょっと気の毒な気がする。(それにしても、西の西ってのもなぁ...)

     バスは何となく混んだまま、大師の北側を往く。まだまだ乗り込んで来る予感はあったが、何故か「第三団地入口」からはパッタリ。目立った客の動きは「大師前交差点北」までなかった。筆者らもここで下車。実に40分の乗車であった。

    (赤23)と(赤27)の停留所数はかくも違う


  • (赤27) 西新井大師 11:03発〜赤羽駅東口

     大師の裏手から入って初詣。表参道を出たら、環七通りへ。ここからは遠回りでない系統に乗る。王子行きは都バス。停留所が同じなので、あわてると間違えそうだが、今日は国際興業バスである。都バスを数台見送り、しかと見極めてから乗車する。乗り甲斐があるというものである。

     さて、この環七経由、(赤23)のノロノロと比べると速いのなんの。日暮里・舎人ライナーも知らない間に過ぎていたというくらい。なんと20分(つまり遠回りの半分)で終点の赤羽駅東口に着いてしまった。改めて路線図を見ると停留所の数がてんで少ない(22対14)。こういうのは乗車してみないとわからないものである。

     早く着いたのはいいが、問題はここから。赤羽駅東口の降車場所は駅前ではなく、東の南といったところ。次に乗る練馬駅行きは、やはり駅前ロータリーではなく、西口だけど北の方。つまり、赤羽駅を挟んで端から端へ、乗り継ぎバスがあってもいいくらいの大移動になる。(地元の方には、デニーズからジョナサンへと言った方がわかりやすいか) 乗り継ぎ一日乗車券で、正に乗り継ごうとする人は苦労しそうな位置合いと距離である。(西新井からとは言わないまでも、例えば王子〜王子神谷〜赤羽駅東口〜赤羽駅西口〜志村三丁目〜といった赤羽横断ルートがあると、乗り継ぎ不安もないし、結構利用客もあるのではないか、と。)


  • (赤01) 赤羽駅西口 11:55発〜平和台駅

    赤羽駅西口 (赤01)乗り場にて 第211話で見込んだ通り、全通した環八通りを経由する新路線が2007年9月16日に誕生した。開業記念にひと乗車、というのは悪くはないが勿体ない。やはりどこかに行くついでとかが要るだろう。で、一日乗車券に便乗して、いや、今回のツアーはむしろこれが目玉である。新環八の通り初めをすべく、一日乗車券ツアーを思い立った、というのが正しいかも知れない。ともあれ、2008年、環八!と行きたい。

     予め時刻表は調べておいたが、(赤27)がここまで早いとは思ってなかったので、乗り継ぎ時間は余裕の30分。昼食を摂って、次のバスというのも考えたが、さっさと次の乗換地へ行き、そこでお昼、という感じ。ゆっくり移動しつつ、早めにバスを待つことにする。

     乗り場が遠いせいか、知名度がまだ低いせいか、乗るも少なければ降りるも少ない。環八通りに入ってからは、快速バスである。停留所に近づく度に徐行はするものの、通過に次ぐ通過で、忽ち「志村三丁目」、そして「志村消防署」。ここから先が第211話でレポートした新道である。思い描いていたようなバス路線ができたのは良かったが、筆者の考えと違っていたのは「途中のバス停がない!」ことだった。自転車で折り返した辺り(丘の頂)にも、停留所はなかった。停留するスペースがないためか、はたまた住宅地から遠いためか、とにかく停まらない。そしてトンネルへ。トンネルを抜けるとそこはもう練馬区である。消防署の次のバス停は「練馬北町車庫」。この間、おそらく2km弱はある。レインボーブリッジや東京港トンネルを通る路線も停留所間は長いが、内陸でこれだけの距離があるケースは珍しい(もしかして最長?)と思う。

     という訳で、環八をスイスイ走り抜けてしまったバスは、あっと言う間に「平和台駅」に到着。これぞ、環八効果。ここまでたったの20分とは!である。この調子だと、練馬春日町も豊島園も練馬もさっさと着きそうだ。だが、赤羽からの客は筆者らを含め、全員ここで下車。乗り通す客がいても良さそうだが... バスは志村辺りから乗った数人の客とともに去って行った。

     バス利用者はこんな感じだが、新環八によって平和台が活況を呈しているのは複数の商業施設が賑わっていることなどからもわかる。陸路の利便性向上に加え、メトロの方も便利になるので、今後の動向に要注目である。(副都心線が開業すれば、ここから地下鉄一本で新宿も渋谷も、となる。)

    (↓志村消防署を出て、若木三丁目の交差点を抜けた後のバス後方風景)


  • (光02) 平和台駅 13:16発〜池袋駅東口

    国際興業バス 練馬営業所管内 路線図(抜粋)

     ここからは池袋駅を目指す。先の(赤01)が来た道、つまり環八を北町まで戻ったら、そこから右折。あとは川越街道をひた走る路線である。筆者的には不案内なエリアなので、桜川、東新町など、板橋区の知らない地名に面食らうことになるが、これがバス旅の醍醐味。街道の風景もより楽しめるというものである。バスは東武東上線と並行して走っているが、特に上板橋〜大山に対応する停留所間(桜川〜第六小学校)の乗客が増えてきたのには仰天。大山付近は、「緑のカーテン」を提唱する会社の社屋があって、暑い最中に外観を見に行ったことがある。(→参考記事 車内混雑により、反対側の車窓は見通せなかったが、街並みに見覚えがあったのはそのためである。

     「熊野町」で、山手通りと交差する。交差点を過ぎると豊島区となり、首都高速5号線が上を通るようになる。ここからJRを越えるまでの道路は、第246話に書いた「帰宅困難者対応訓練」のルートに重なる。車中からその道程をチェックすることになるが、高速道路が視界を遮る格好になることがわかった。震災時には本当にここを通って帰ることになるのだろうか。やはりちょっと違う気がした。

     「豊島清掃事務所」を過ぎると富士見橋。バスの車高あっての一大景観が広がる。JR各線と池袋駅がよく見えるのである。だが、それも束の間、緩やかなカーブとともに坂を下り、気が付くと「サンシャインシティ」である。ここで降りる客は相当数。東上線並行区間での混雑の理由がこれで判明した。電車で池袋に出てきてここまで歩くことを考えれば、バスで一本の方がぐっと便利なのである。ただし、乗車時の停車時間が長かったためか、平和台から終点まで30分を要した。(ちなみに有楽町線なら約10分)

    池袋駅西口 発車予定時刻表(●印に注目) 池袋駅の東口から西口への移動を伴うも、当初予定よりも早かったので時刻表を再確認する。中野駅北口行きは、関東バスとの共同運行になるので、乗り違えないよう注意を要する。時刻表に●が付されているのは一日乗車券では乗れない便。14時に乗り場に行き、国際興業が来るのを待つことにする。


  • (池11) 往路:池袋駅西口 14:12発/復路:新井薬師前 15:05発

    国際興業バス 池袋営業所管内 路線図(抜粋) 首尾よく国際興業便に乗り込んだはいいが、席の良し悪しまではわからないものである。冬の日射は角度が低いので、西側の席を避ければいい、というものでもない。中野方面は南に向かえばいい訳だが、山手通り〜目白通り〜新青梅街道というルートは、地図を見ると斜めに移動する感じだった。進行方向左側、つまり地図上で東の席に座っていた筆者は、何だかんだで南から来る冬の陽射しをまともに浴びながら新井薬師まで揺られることになる。(+_+;

    新井薬師前 発車予定時刻表(▲印に注目) 哲学堂公園の手前で左折。ここから新井薬師までは一寸した風情を楽しめる。バスが通るには狭いが、そのせまこました感じがきっといいんだろうと思う。小高く緩やかな地形をバスは進む。そして西武新宿線の踏切へ。新井薬師駅北口〜新井薬師駅〜新井薬師口〜新井薬師前と、似たような停留所が四つ続く。純粋に薬師にいらした方は最初は戸惑うだろう。「薬師前」で下車。乗車時間は35分だった。参拝時間の方はあっさりしたもので20分。帰りのバスは、タイミングよく国際興業が来た。(ちなみに、新井薬師前停留所の時刻表では、●はなく、▲=国際興業バス となっていた。行きは無印、帰りは▲印、利用者泣かせである。)

     これにて、西新井から新井、即ち大師から薬師の東西移動参りは完了。両者に何らかの関係性があれば、新井薬師が西新井で、西新井大師は東新井とかになりそうだが、名称はさておき新井つながりのバスがあっても面白いのではないか、と思いつく。それは無理としても、一日乗車券の使い方例ということで、両新井参りはアリだと思う。


  • (池21) 池袋駅西口 16:43〜志村坂下

     新井薬師から池袋は、30分。行きより多少早い。これでまた余裕が生じたので、家路はゆったりとなる。要町から山手通りを北上すると、(光02)で通った「熊野町」に出る。ここからはまた帰宅困難者対応訓練で予定されていたルートになる。首都高速5号線を上に見ながら、仲宿、大和町、清水町と検証が続く。高速道路の圧迫感はやはり如何ともしがたく、ここを歩いて帰るのはどうかと思わざるを得ない。バスに乗っていても距離を感じるんだから、徒歩ではどうなることか。「仲宿」はつまり板橋区役所前、三田線の板橋本町は、「大和町」と「清水町」の間、「蓮沼」は本蓮沼に対応する。中山道の「仲宿」から「志村坂上」まで、バスは都営三田線の上を走る格好となる。四駅分に相当する区間だが、この距離感は何とも言えない。暮れ行く景色を見ながら、30分乗車し、降り立ったのは坂上ではなく、「志村坂下」である。次の乗換で一応ツアーは終了(帰宅困難者対応訓練の車上検証も完了)となる。

 中山道と環八通りが交差するのが坂下である。交差点に当たる停留所は、系統によって全然離れた場所にあったりするので、易々と乗換できる訳ではない。どうやら、一つ手前のバス停でも大差ないようなので、環八を歩き「志村三丁目」から乗ることにした。これで合計8回の乗車。余力があればさらに高島平なり成増なりを目指しても良かったのだが、これだけ乗れば十分だろう。

 都バスと違って、どのバスも定時に近い運行というのがまた良かった。参詣、環八チェック、歩行ルート検証等々、複数テーマの掛け持ちではあったが、例えば板橋区各地の見聞をより深めるとか、そんなワンテーマでもこの一日乗車券はかなり有用だろう。またいずれ活用してみようと思う。

第248話 2007年10大ニュース(2008.1.1)

 新年あけましておめでとうございます。今回は控えめに10大ニュースにとどめてみました。(毎度長文ですが)(^^; ひとつご照覧(笑覧)いただければ幸いです。

  • 次.Suicaの活用度アップ

     第230話の通り。ビックカメラのポイントカードとの一体化で、よりパワーアップ。筆者の活用法の一例としては、

     (1)ビックカメラで普通に買い物(ポイントはためる)、(2)ポイントがたまったらSuicaへチャージ、(3)次にビックカメラで買い物する時に、そのチャージした分を使用(単にビックポイントを使うとポイントは付かないが、この使い方だたまとポイントがたまるので、よりおトク)、といった次第。ちなみに、(1)で10,000円分購入、ポイント1,000円をためる、(2)は1,000円からなので、Suicaに1,000円ちょうどを移す、(3)1,000円分使うと、100円がまたポイントとして付く。Suicaへ移さないでそのままビックポイントを使ってしまうと、この100円を逸することになる、という訳。これは高額になる程、馬鹿にならなくなる。(詳しくはこちら

     ありがたいのは、何と言ってもPASMOとの連携だろう。特にオートチャージは、この方法でチャージすることで「ビューサンクスポイント」も付くため、ピピとやる度、ちょっと得した気分になれる。この時に付いたポイントも、たまればビックカメラで使える。ポイントの循環が楽しめるのもポイント。(ビューサンクスは400ポイント=1,000円分になる。券売機で単にチャージするよりも、できるだけオートチャージに頼った方がリーズナブル、となる。)

     これでSuica定期券も兼用にするとかなり強力な一枚になるが、筆者的にはそこは別。自動改札通過時や料金精算時にはまだリスクがつきまとう。定期は定期。Suicaは云わば電子財布のような感覚で使い分けるようにしている。


  • 10.GPN 衣料ガイドライン

     筆者が担当していた「制服・事務服・作業服」のグリーン購入ガイドラインは、7年半を経て、新たなガイドラインに改定される見通し。その名は「衣料」ガイドライン。改定前のガイドライン策定にも回数を要したが、今回は実に足掛け一年以上。12月27日、13回目の会合を以って、ひとまずガイドライン一次案がまとまった、ことになっているが...(前回は事務方だったが、今回は会合メンバー。きちんと制定されるまでは口外できないので、詳しいことは差し控えます。)


  • 9.帯状疱疹、歯科、etc.

     寄る年波か、不摂生が祟ったか、10月に入ったら、いろいろな症状が出てきた。体としては浄化のつもりもあったんだろうけど、立て続け、というのは考え物。冠歯が取れてしまったので、9月に補綴に行ったのはいいが、そこから軽度の虫歯がいくつか見つかったのが、今にして思えば事の始まり。後述のソウル出張から帰ると、ある朝、脇腹に紅斑がポツポツ出てきて、何となく痛みを覚えたので、もしや?と思ったら案の定「帯状疱疹」と来た。幸い初期治療が奏功し、1週間後には治まったが、こうした体からのサインは厳粛に受け止めねば、と認識した次第。皮膚科と歯科とで充実の秋となった。(疱疹明けは、出勤日数などを調整したり、今なお何となくスローモードで過ごしている。)


  • 8.設備機器関係、不調とやりくりと

     持ち直して使っていた東芝ノートPCが、年度の変わり目で見事にダウン。(明らかに何かの思し召し) 代わって、富士通のノートPCを譲っていただくご縁があり、複数の職場で今はそれを使い回している。ダウンしたPCからはメモリを移し、ライセンスが余っていたXPを以ってアップデートしたり、それなりにメンテした甲斐あってか、2001年5月製造品とは思えない働きぶり。これを使え、という思し召しだったんだと思う。

     片や自宅では、2002年8月製造品PC付属のCD-RW/DVD-Rドライブがおかしくなってきて、やはり受難モード。今のところ、外付DVD-RWでしのいでいる状態である。

     PCばかりでなく、エアコン室外機、廊下の電球ON/OFF用スイッチ、なんかも不調に陥った。筆者の体調と連動している訳ではないんだろうけど、決して無関係とも思えない。室外機は連日の猛暑日のせいで一時的にダウンしていたようで、9月になったら動き出したのでセーフ。埋め込みスイッチの方は、使用頻度の激しさ故、パチパチを制御する小スプリングが金属疲労で折れていたことが原因だった。然るべき部品を買ってきて、試しに直したらちゃんとパチパチが戻ったので、今は喜々としてパチパチやっている。(調子に乗ると、また壊しそうだが、直し方がわかっていれば何の其の?である。)


  • 7.GoogleとDNN

     SEO対策がどうのという話を聞き、Googleのウエブマスターツールなどを使い始めたのが2007年初め。一度Googleアカウントを取得しておけば、このツールの他に、Adsense、アラート、カレンダーなんかも使えるので、何かとお世話になることとなる。それでも、g-mailは使ってないし、YouTubeに投稿することもないから、さほどGoogleユーザという訳でもない、か。(余談だが、筆者氏名をGoogle検索すると、概ね30の媒体で、件数にして500を超えるようにはなった。「逆ユーザ」という意味では、やはりお世話になっていると言えそうだ。)

     上述はweb利用者側としての新境地。web制作者側としては、cms(contents management system)サイトの一つの形、「DotNetNuke」を試用し始めたことが大きい。秋頃から自分のPCにDNN環境をインストールして試行錯誤を繰り返していたが、Version4.7.0にして、ようやくちゃんと動いてくれるようになった。折りよく、とあるポータルサイトの設計を受注したので、早速このDNNでアプローチしているところである。(PCでは動いても、webサーバ上で動いてくれるかどうかが次の課題。一応、ご指定のWindowsサーバ業者を選んだのだが...)


  • 6.アースデイ記録集 復刻着手

     これもcmsの一種と言えるだろう。「XOOPS」を使っているのが、earthday.jpである。かねてからの懸案だった「アースデイ記録集」の再掲をこのearthday.jpの中に設ける旨、調整したり打合せしたりしたのが4月のこと。アースデイ当日4月22日に何らかの形を整えたかったが、何だかんだで掲載開始は5月になってからとなる。その後は少しずつ8月初旬までかけて、何とか部分的に掲載できた、という感じ。かつて筆者がアースデイニュースに関わっていた頃は、ニュースのまとめとwebサイトへの掲載を並行して行っていた(あくまでボランタリー)ため、その期間の分は、HTMLファイルのバックアップが手元に残っていた。だが、1990年から1996年、あるいは2000年の後半、といった辺りは、少なくともテキストファイルがありそうなところ、見つからず、記録集本体をスキャンしてPDFファイル化して、リンク記事を載せる、という体裁となった。テキスト認識できるPDFならまだ良かったが、コピーのコピーのような媒体なので、あいにく認識できずじまい。SEO対策として、掲載後にMETAに関する記述を追加することとし、一応の復刻を見る。(スキャンとMETA追記作業に関しては、ENVIROASIA社会人ボランティアの方にご協力いただいた。) 続きはまた今春、再開しようと思う。

    ...パフォーマンス的なエコが目に付く折り、かつて環境活動に関わった多くの蒼茫たる市民の方々の記録(1990〜2000年)は、「それでいいのか」といった問いかけのように映ることでしょう。当時のニュースや記録をしかと踏まえ、これからの取り組みに活かしていただければ、と切に願うところです。(→参照


  • 5.乗降駅が増えた

     JRの駅構内などで入手できる「首都圏鉄道路線図」は、Suicaご利用可能エリアの案内を兼ねたものになっている。この路線図をもとに、Suicaを使ってスイスイ、でもいいのかも知れないが、筆者の場合は何を措いても一日乗車券ありき、である。首都圏各所をどれだけ巡ったかの目安として、この路線図は大層重宝していて、これまで第115話(1200駅)、第197話(1300駅)でお届けしてきた駅数も今はこれが基準。青春18きっぷは勿論のこと、各線のフリー乗車券(期間限定)などを使い、乗降駅の上乗せを図っているところである。

    柳小路駅では、これでオートチャージ 1300駅を超えたとなると、それなりにカバーできている筈だが、23区内で乗り降りしていない駅がチラホラあるのも事実で、2007年はその辺をテーマに、隙あらば乗り降り、であった。PASMOのオートチャージは、そうした初乗降駅で使うよう心がけ、記念と同時に記録に残るよう努めた。オートチャージを開発した皆さんは、こういう利用者がいることを想定していただろうか。乗降記念&記録としてのオートチャージ。自分でも感心頻りである。ちなみに、オートチャージデビューは京急空港線の糀谷(第234話)。その後、穴守稲荷(同線)、柳小路(江ノ電)、はるひ野(小田急多摩線)などでピピとやってきた。この他、京急空港線 大鳥居、りんかい線 大井町の乗り降りを果たしたことで23区内で未乗降の駅は、東京モノレール 新整備場、つくばエクスプレスの秋葉原、青井、六町を残すのみとなった。(日暮里・舎人ライナーが開業する前に行きたいところだが...)

    西武池袋駅 AM 5:50 数え違いがなければ、2006年までで1331駅。2007年は、4月1日の18きっぷ一人旅で、高崎線や内房線での乗降を増やしたのを皮切りに、8月3日にはやはり18きっぷで宇都宮線方面、8月26日にもまたまた18きっぷ(単独)で、中央線や上越線、といった具合で着々と駅数を増やす。9月15日は、鵠沼での「国際ビーチクリーンアップ」の帰り。午後、時間が許す限り相模鉄道を極めるべく、1日乗車券(7/21〜11/30期間限定)を使って11駅。11月14日の埼玉県民の日に至っては、国分寺に出勤する前と退勤後に西武線。埼玉県内フリー乗車券(県民の日一日限り)で以って、池袋線や秩父線など未乗降駅9駅を乗り降りする。合計すると49駅。これは近年にないハイペースである。(あと19で1400駅達成、となる。) 相鉄、はるひ野に関しては、第243話参照。


  • 4.発伝所ツアー

    京浜島海上公園の岸壁はこの有様! ちょっとしたニュースネタがあると、できるだけ自分の目と足で確かめに、というのが筆者の本分。東京モノローグネタと掛け持ち、というケースも多々あるが、当「環境ニュース」オンリーというのもある。どっちにしても、どうせ取材に行くのなら単独よりも有志を募ってというのもアリだろう、となるのは当然の理。かくして「東アジア環境情報発伝所ツアー」企画が生まれ、4月7日:有明・豊洲、5月19日:平和島・城南島第234話7月7日:墨田区、7月21日:アキバ、8月11日:再び城南島第239話 冒頭)10月27日:品川清掃工場、12月8日:城南島(解散後、筆者のみ京浜島(左写真)も)、12月15日:「エコプロダクツ」と8回分、催行させていただいた。(詳細については、上記を各リンク先をご参照ください。)

    当初プラン(AKIHABARA Trend-Watch Tour) ガイドとして面目なかったのは、韓国の環境NGO各位をお連れしたアキバ編(次段参照)だろう。とあるツアープランを参考に組み立ててはみたものの、やはり予測不能な動きというのが必ず出てくる。アキバでは日本土産どうこうというリクエストは聞いてなかったのだが、Yokoso! Japanの関連ショップ(非アキバ系?)なんかがあったものだから万事休す。アキバならでは、のスポット(アニメ、フィギュア、各種ホビーショップetc.)を案内する時間がなくなってしまった。トホホ。(どこであっても、お土産やありきたりな観光要素もしっかり組み込まないとなぁ、と思った次第。) 韓国の皆さん、それなりに喜んではいただけたようなので、良しとしないといけないとこだが。

    日本のラーメンがお気に入りという韓国の皆さんは、ここで長居されてました。[7/21行程] AKIBAヨドバシ〜駅前広場(青果市場跡地)〜ラジオ会館(コトブキヤ他)〜石丸電気駅前店(Yokoso! Japan系ショップ)〜ツクモ本店(ロボット王国)〜チチブデンキ(おでん缶など)〜中古PCパーツ街〜ガチャポン会館〜AkibaNoodleさくら〜UDX(ラーメン昼食)〜アキバブリッジ〜ドコモショップ〜秋葉原駅電気街口(コスプレ関係者(?)見物)...


  • 3.佐渡、ソウル

     2004年は「対馬と韓国」をトップニュースに挙げた。2007年はそれと似たパターンで、佐渡とソウル。要するに本州を離れたのがこの2カ所だけだった、ということである。首都圏各線各駅は多々出没したものの、いざ長距離となると、本当に少ない。北と西はいいとして、南と東に関してはどうだろう。おそらく4月1日の千倉駅が2007年最南端、最東端は成田空港てとこだろう。

     それはそれとして、まずは佐渡。メインはあくまで「海ごみサミット」だが、日本海の漂流・漂着ゴミを見に行かない手はない。

    白島(→地図

    素浜(→詳細

    宿根木 「清九郎家」路傍にて いずれも、写真にあるように結構な量。だが、道路アクセスが確保されているため、然るべき処置を講じれば除去は可能なのが佐渡の強みである。同島はとにかく広いので、島に来たという感じがしないのが難点だが、左の宿根木(しゅくねぎ)のような集落を訪れると、やはり隔絶した何かを感じざるを得ない。小一時間ほどの歴史散策は、夏の佳き想ひ出。

    鷺梁津水産市場 ソウル出張の件は、先の第247話で触れた通り。2004年は初韓国だったので、正直訳がわからなかったが、二度目となると多少余裕も出てきて、「これがソウル」というのを実感できた気がする。筆者的には清渓川も目玉だったが、明洞、仁寺洞、ソウル中央駅をちゃんと見ようというのもあった。その三点は同行メンバーの協力もあって果たせたものの、あと一つ、地下鉄や在来線に時間の許す限り乗ってみて、特に漢江とその中州の島(汝矣島=ヨイド)にアクセス!というのはあと一歩のところで叶わず、だった。水産市場のある鷺梁津駅で下車するも、市場の向こう、汝矣島を視野に入れながら、島へ渡り損なった、という顛末である。どう探し歩いても人道橋が見つからなかったのだから仕方ない。その分、市場内をくまなく歩き回り、正にソウルフルな魚介の類と対面することができた。この鷺梁津水産市場、穴場かも知れない。(写真でこうして賑やかな市場を見ていると、頭をよぎるは重油流失事故である。おそらく少なからぬ影響が水産物市場にも及んでいるものと思われる。)


  • 2.大規模修繕

     同じところに長く暮らしていると、こういうこともある。人生初の「大規模修繕工事」である。ベランダを片付けたり、網戸を室内に収納したり、2月の寒い時節にバタバタが始まり、高圧洗浄だ、ベランダのシート張り替えだ、玄関扉枠の錆止め塗装だ、と続く。立ち会わないといけない工事もあるから、生活時間に与える影響というのは少なくない。足場が組まれたり、外されたり、も圧巻だったが、共用の廊下・通路の通行が制限されたり、エントランスのドアが開放されたままになったり、というのもなかなかのインパクト。大方の工事が終わったのは6月だったので、一年の三分の一、日常に工事あり、となった訳だ。(こうなると、モノローグ的にも上位なので、堂々の2位にしてみた。) いろいろあったが、終わり良ければ何とやら。修繕委員会、工事関係者の皆さんには頭を下げねばなるまい。

     おかげでベランダ床面、窓、網戸はきれいになったので、年末大掃除では特に労を要さずに済んだ。ベランダにあった雑多な荷物は、とある倉庫に搬出し、再度運び込む際には処分などして減量したため、今は以前よりはスッキリしている。定期的にこうした工事が行われるのは、各戸にとっても有意義。つまり棚卸なのである。


  • 1.モノローグとモノログ

    随筆「東京モノローグ」 NPO小説「漂着モノログ」

     2006年9月を以って、本編モノローグは10年目を迎え、その一年後の2007年9月、今度は「まる10年」(240話)となる。(これもひとえに読者の皆様の蔭なるご支援ご賢覧の賜物と受け止めています。いつもありがとうございます。) ここまで来たら、より多くの方の目に留めていただくのも悪くなかろう、ということで240話掲載時に「アルファポリス」に登録。拍手代わりにバナーをクリックしてもらうことで、ポイント(投票)が積み上げられる仕組みになっていて、今はこのポイントが加算されていくことが筆者にとってはちょっとした励み。「東京23区」カテゴリーでも上位に顔を出すようになってきて、ありがたい限りである。

     2007年は、環境ニュースネタ以外にも足を運んで調べるネタ(#225#229#234#235#238#239#242#243#246#247)が兎角多かった。こうした現場主義的アプローチを評してもらえて、ということなら、この上ない。

     随筆と言えるかどうか定かならずも、とにかくそれで続けてきたんだから、随筆なのである。(正しく「筆、随う」の境地) で、随筆があるなら、小説があってもいいだろう、と思いついたのが春先のこと。あとは、第241話の通りである。(「漂着モノログ」(REAL Version)もあわせてご覧ください。)

     書き出してみると、案外止まらなくなるもので、徐々にボリュームもアップ。6月まではそれほどでもなかったが、7月以降は、閑暇を縫ってはただただ筆を進める、という日々だった。

     チラシ(青山限定で配布中)にもあるように、今は十二月から一月にかけての展開を執筆中。webでの掲載(連載)は書きためた中から小出しにしているため、今書いている分が載るのはおそらく春頃になる予定。執筆が止まるのは予想では4月頃なので、web掲載が完結するのは夏以降ということになる。ここまで長編になるとは作者としても想定外だったが、こうなったらとことん長編にこだわろう、という気になってきた。(ちなみに、12月末時点で約42万字超。最終的に何万字になるのか、見当がつかない。)

     折り返し点は過ぎたので、ここまでを振り返って一言、みたいなものを紹介してもいいのだが、やはり「あとがき」でしっかり書いた方がいいだろう、と思う。てな訳で、これまた先の話になりそうだが、ひとつお楽しみに。

 モノローグとモノログ、2008年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

  • こちらもどうぞ...⇒ 2006年のふりかえり

第224話 2006年15大ニュース(後編) / 第223話 2006年15大ニュース(前編)

 


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