随筆「東京モノローグ2005」(9−10月期)
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第195話 自転車における「べからず集」〜「べからず集」part9 / 第194話 「クイズ!約100人に聞きました」(後編) / 【付録】万博レビュー / 第193話 「クイズ!約100人に聞きました」(前編) / 第192話 つくばエクスプレス開業初日レポート

第195話 自転車における「べからず集」(2005.10.16)

 自転車に乗る機会はなくはないものの、かつて通勤で使っていた時分に較べれば減ったのは確か。そのせいか、乗る側よりも歩行者として自転車に相対することが増え、自転車の作法が目に付くようになる。自省も含めて、ここは一筆と相成った。15話ごとにお届けしてきた「べからず集」、今回は自転車編である。

 ところで、これまでのべからず集は、滞在型の場所での話が多かったため、付近に「べからずな輩」が現れると、その「何とかしたい」度も高かったが、自転車に関しては、過ぎ去ってしまえば(つまり一過性なので)、鷹揚に構えることができる。という訳で、シリーズの中では穏やかな感じになりそうな予感。逆を言えば面白味がないかも知れないが、とにかく列挙してみるとしよう。

※毎度のように、明らかな法令・法律違反、そして、無灯火、二人乗り、信号無視など、一般的な反則行為参考については除くこととする。


  • 次.通行帯を間違える

これは、昭和通り(中央区京橋2丁目)にある自転車/歩行者(分離)通行帯 自転車専用道路が少しずつだが、目に付くようになってきた。筆者が知る有名どころでは、外堀通り(飯田橋と水道橋の間)に設けられた専用道路(参考)がある。歩行者が堂々と歩いていたりするが、逆に自転車も堂々と走れるので、万一接触事故などがあっても抗弁できる(?)のが特徴。それだけに、自転車はきちんと専用帯を走ってほしいのである。(自転車王国、オランダの都市を旅していた時、うっかり自転車道路を歩いてしまい、ベルを鳴らされハッとしたのを思い出す。)(^^;

 ちなみに、横断歩道にも自転車に乗ったままで走れる通行帯が敷かれていたりするが、知ってか知らずか、ここを通らない自転車が結構多い。乗ったまま横断歩道を渡るなら、専用の枠内を走ってほしいものである。(歩行者も要注意!)


  • 10.過積載による接触

     前カゴ、後輪の荷台、どこに積むかは問わず、時として自転車幅をはみ出す程の荷物をぶら提げて走っていくのに出くわす。特に歩行者の多い商店街をそうした自転車が掠めると、何かが起こるのは至極当然。膨らんだレジ袋と接触した経験をお持ちの方もいるだろう。中に卵のパックでも入っていようものなら、そりゃあもう。不運にも硬質な何物かにぶつかってしまったら、また大変。「痛い!」と声を上げている間に、自転車は去ってしまうのである。

     提げるなら提げるで、とにかくうまくやってもらわないとバランスを崩して、また違った展開になるおそれも。フラフラ運転は御免である。どの道、過積載自転車には、要注意である。


  • 9.ハンドルが絡まる

    段違いレールの例 これは狭い駐輪スペースに、自転車を収めたり出したりする時に生じる一件。ハンドルの形状は様々なので、どっちがどうとは言えない訳だが、少なくとも無理やり押し込んだり、引っ張り出したりは避けたいもの。余計にハンドルが絡んでしまって、始末が悪い。これはそもそも自転車の構造上の問題なので、形状の多様性について目を瞑るのであれば、駐輪スペースの方に工夫が求められるだろう。段違いのレールに自転車を載せる方式の駐輪場が多くなっているが、それでもハンドルはひっかかる。ならば、ハンドルの形状別に駐輪スペースを分けてはどうだろう、と思う。


  • 8.すれ違う時のルール

     暗黙のルールになっているのかどうかはいざ知らず、自転車走行中、対向自転車がやってきた時は、筆者流では左舷回避を心がけるようにしている。すると、鏡映りのようにこっちが切った方向と同じ向き(対向車は右舷)にハンドルを向けてしまう方がどうしても現れる。一計を案じ、どうせハンドルを切るなら極端に、とやるようになってからは、すれ違う際のヒヤヒヤはなくなってきた。それでもご年配の女性などは、自転車から降りてしまったり、転倒しかけたり、とにかく危ない。すれ違う際の標準的なルールを決めてほしいものだが...


  • 7.片足スタンド

     自転車メーカーに申し立てないといけない件ではあるが、片足スタンドはデメリットの方が上回る気がする。片足で停めると、自転車に傾度がつくので、垂直式スタンドの自転車よりも、スペースが余分にとられる。駐輪場で自転車がかさばる原因、そして駐輪中の自転車を整理する上での障害、と言ったら大げさだろうか。簡便に使えるために、立て方が十分でない(というか不意に上がってしまう)ことも生じる。気付かぬうちに自転車が倒れ、あれよあれよで他の自転車も巻き添えに。片足スタンドを使うのであれば、とにかく確実に、である。


  • 6.撥ね(水、泥)

     マウンテンバイク(MTB)やバイシクルモトクロス(BMX)の後輪には、いわゆるカバー(泥除け?)が装備されていないことが多い。9.や7.の例にも関係するが、あまり他者に対する配慮を考えた設計にはなっていないのがこの手の自転車。(もともと市街地を走る仕様にはなってないのだから、当然ではある。) カバー不備は、配慮無用の象徴のようなものと考える。雨の日に、後輪カバーレスの自転車が走り抜けるとどうなるか。雨水や泥の撥ねを受けるのは、そこに居合わせた人達なのである。ご用心。


  • 5.バイク牽引

     道路交通法はじめ、法的に問題があるケースなので、本来ならランク外にすべきだが、警鐘の意を込めて、記す。自動車につかまって、ということもあるようだが、筆者が目撃したのは、バイクが自転車を牽引する、というもの。バイクの荷台ではなく、確かバイク運転者の肩に手を添えて走っていたような... 物理的に困難な感じを受けるが、ともかくバイクが自転車を引っ張るのを見て、ビックリだったのである。当人達が転倒してケガする危険が高い上、車道上である故に、多重事故につながる可能性も大。取り締まりを受けるのは必至とは思うが、見かけた時点で警句を発したいところ。


  • 4.猛スピード

     人のことはあまり言えないが、筆者が速度を出すのは、車道でのこと。歩道でスピードを出して走る輩については手に負えない。運転技術に自負があるだけに、実際にぶつかることはあまりないのかも知れないが、それは手前の都合。遭遇した歩行者に、運転者の技量を推し量るゆとりはない。身の危険を感じた時点でストレスになる。動力を伴う車両は、危険物として見做されるが、自力でこぐ自転車も速度が出れば危険物。しっかり認識してほしいものである。(ところで、電動アシスト自転車は法的にはどうなんだろう?)

    ※事故が起きてしまったら、こうしたケーススタディの通り、しっかり対応することが求められる。


  • 3.ケータイ&タバコ ながら運転

     いろいろな「ながら」はあるが、特にこの2つは頻度・危険度ともに高いと思う。

     マナーアッププランにも出ているが、ケータイ(通話 or メール)しながらの自転車走行は、注意力が散漫になることからも確かに危険。そして筆者としては、喫煙しながら、というのもぜひ止めてほしいものだと思っている。煙ごと早々に去り行くため、副流煙がどうこう、というのはまだ許せるとしても、吸っている途中のタバコを片手に走っている時は、火や灰が歩行者に接触する危険性が高い点で看過できない。加えて、そうした無神経さは、路上喫煙禁止エリアの交差点でそのまま一服、とか、火の付いたままの吸殻を走りながらポイ捨てとか、目に余る事態を誘発するのがまた悩ましい。マナー以上の注意喚起が必要ではないだろうか。


  • 2.過剰ベル(チリン音)

     「道はだれのもの?」というキャッチコピーがある。本当に危なっかしい場面ではベルを鳴らしてもいいとは思うが、○○様のお通り!とばかりに、ベルをチリチリ・ジリジリ連発するのはいただけない。だいたい威張った感じの初老男性か、ふてぶてしそうな年配女性か、がタイプとしては多い印象。反発を招き、道を譲らない人も出てくるから、逆効果。特に歩道はまず「歩行者のもの」ということを心してほしいものである。心許ない運転でベルをひたすら鳴らす人については、「自分の運転は危ないので、皆さん注意して」という意味が込められているのかも知れない。それは大目に見たいところだが。

     余談だが、警笛に関して兎角横柄なのはタクシーだろう。鳴らすのが商売だと勘違いしていないか。タクシーに乗ろうと思わないのは、日常のそうした不遜な態度が気に入らないからでもある。


  • 1.放置・放棄・投棄

     理由や事情は多々あるだろうが、自転車をそのまま放置してしまうのは不可ない。前カゴが街のゴミ箱と化してしまっている哀れな自転車を目にした人は多いだろう。単に忘れてしまったか、盗られて乗り捨てられたものなのか、憶測は尽きないが、少なくとも自転車防犯登録証がついた自転車は、持ち主を探し出し、何らかの手段で引き取らせるべき。

    あらぬことか、ショッピングカートも一緒に放置。前カゴはゴミで満杯。

    このように、まずは撤去・搬送されてしまう訳だが。

    2003年4月13日、荒川河川敷(千住新橋付近)での収集結果 処分に手間がかかるということで、放棄したのだとしたら言語道断。本人は放置して棄てたことにしたから、放棄くらいにしか考えていないかも知れないが、不法投棄といっても間違いではない。これは例えば河川敷に放り出す、川の中に投げ捨てる、と似たようなもの。(荒川クリーンエイドでも、2004年結果(粗大ゴミ編)の通り、自転車の収集数は常に上位。今年はどうなることやら。) モノにも命あり。モノがあまりにも短命・浮薄に扱われ、その末路が川に集中してしまうと、「千と千尋の神隠し」にあるように、川の神様が「おくされ様」になってしまう。街でも同じことが言えるだろう。放置・放棄・投棄は×。処分せざるを得なくなったら、適切・適法に行いたい。(新品を買う方が安上がりになってしまう矛盾が自転車の寿命を縮めていることはあるが。) サイクルだけにきちんと「循環」させることが自転車としても本望だと思う。


 

  • こちらもどうぞ...⇒ 自転車が出てくる話題

第5話 列島縦横エコリレー in 東京 / 第6話 エコリレーのフィナーレと市民環境フェスティバル御池 / 第36話 川口道路事情 / 第43話 水無月 / 第46話 メンテナンス / 第47話 豪雨と増水 / 第103話 頭上注意 / 第124話 看板類の誤記・誤用など / 第131話 街で見かけた芸能人 / 第138話 止めてもいいけど... / 第153話 北区踏切事情 / 第186話 拾得物預り書

 

第194話 「クイズ!約100人に聞きました」(後編)(2005.10.1)

***前回第193話からの続きです。(万博のレビューについては、本稿付録として掲載します。こちらをご覧ください。)


5.デモンストレーション

 ボランティアスタッフの学生さんが、キャンパスで調査してくれたり、というのと並行しつつ、クイズ画面の制作は進む。集計済みの分を使って、画面の基盤を作ってもらい、後から上がってきた集計結果をそこに足し込んでいく形。デモンストレーション(画面を使ってのプログラム進行の検証)に向けてステップ by ステップである。

 アンケートサイトを使った調査は、100人分集まるまでに、時間がかかることが判明。答えやすい質問かどうかも大事だが、回答欄の設計にもひと工夫必要な感じだった。50人に達したら集計をとるつもりで、それでも達しなかったら、ボランティアスタッフの皆さんにも協力してもらう目算を立てた。この時、「クイズ100人〜」ではなく、概ね50〜100人分の回答をもとに、ということで「クイズ!100人〜」で臨もうと、意を決した次第である。

 6月11日のボランティアスタッフミーティング(研修&デモ)には間に合わなかったので、その次の機会に満を持しての公開となった。7月16日は、クイズ画面を動かしながら、解答者を5人1組にして順繰りで答える、という方法で試してみた。進行役によって、波ができるものの、高視聴率番組の手法を採り入れているだけあって、一定の盛り上がりは保証された感じ。出展プログラムとして、晴れてゴーサインが出た瞬間でもある。

 「100人に聞きました」で肝心なのは、ちょっとしたBGM(画面反転前のドキドキ感を高めるもの、正解・ハズレの音など)だったりする。この時点ではまだ、画面本体の動きと、音声の操作が別々だったので、噛み合わない部分もあったが、そこはしっかりとデモ本番に間に合わせてもらうことができた。感謝感激の極みである。

 8月6・7日は、スタッフ総出の研修&デモとしては最終回。音声一体型のクイズ画面は、8月7日に納品。クイズの本数も増えて、だいぶ張り合いが出てきた感じ。進行役もひととおり試してもらい、感触をつかんでもらえた模様。あとはとにかく出題数を増やしつつ、進行役用の台本やら、解説の仕込みやら、をせっせとこなすのみ。もともと、街頭調査(兼PR)がメインで、クイズそのものはお手軽企画のつもりだったので、解説やコメントに力を入れることを考えていなかった筆者。加えて「意識調査」(直感的・主観的)という性格上、回答内容と回答人数は必ずしも実態に即していない面があるのは百も承知。ただ、解説やまとめが何もないのは確かにプログラムとしては物足りないので、ボランティアスタッフの皆さんからの知恵を借りつつ、本番に備えることにした。

 さて、中国からの中味の濃い調査結果については、翻訳が早めに届いていたので、単純に回答部分を抽出し、MS-ACCESSで分析・集計。回答者一人につき、4つも5つも答えがあったものだから、合計数が100にならないというオマケつき。総じて、説得力のある結果が得られた。8月12日時点で、11問分のクイズ画面ができ、さらにありがたいことに、夏休み中に日本科学未来館で2問分(小・中学生対象)を調べ上げてくださった方からの追加分も届き、幅広い客層に対してクイズが実施できるメドが立った。

 反転音など音声のサンプリングに苦労したが、これも何とかギリギリ間に合って、プログラムの実行ファイル一式をUSBフラッシュメモリに入れる。「いざ万博へ!」である。


6.クイズ画面のブラッシュアップ、そして実機操作

 回答数は集まったもののクイズにできなかったものが一つ。「アジアの中で環境問題が深刻そうな国は?」 思いがけず回答が「中国」ばかりになってしまったので、やむなく見送り、欠番とした。韓国からの調査結果は残念ながら届かず、日本調査分10、中国(北京)調査分4、合計14問分で、ひとまず開幕に臨むことになった。

 地球市民村のパビリオンは月替りメニュー。8月組から9月組への入れ替えは、閉村から開村までの時間帯に限られるので、8月31日の22時頃、シャプラニールさんの撤収が済んだ後、夜通しで朝の8時まで設営作業。スタジオ用のPCが到着し、明け方一段落したところで、フラッシュメモリからプログラムを投入して、実機で動作をチェックしてみることにした。ところが...

 「アプリケーションが動かない」などとおどかしてくるのでビックリ! 幸いインターネットにつながるようにしてあったので、原因をサーチしてみたところ、「.NET Framework」(?)不足によることがわかり、何とか対処・始動できたという状況。焦ったのなんのって(^^;

 欠番だったところは、キャンパスで別に調査されていた方から追加(というか送付してもらっていたのに見落とし?)を入手し、うまく収まりがついた。他に画面サイズの微調整や、用語や表記の修正、音声ファイルの差し替えなどを経て、9月5日からはアップレード版(全15問)でリスタート。お客さんの反響も上々である。


7.お客さん、そしてスタッフに支えられ...

 当初、進行役、画面操作役、賞品引換券配布役、それに解説等のための「屋根裏アナウンサー」役の4人が付くようなイメージで考えていた。初日は、解説はあまり考えず、進行役、画面操作役、配布役(プレゼンター)の3人で何となくトライしてみたが、単にクイズをやっておしまい、のような流れになりがち。プログラムとしての深みが出しにくいことがわかった。街頭での回答が「解答」に変わった時には、なぜこういう答えが出たのか、など何らかのフォローがやはり必要。そして、クイズの中味は、パビリオンの他のプログラムともリンクできる可能性を持たせてあるため、それを3人が了解していないと、クイズだけが浮くような感じになってしまうのも歯痒かった。

 各人の連係をとるのに時間が要しそうだったことと、慣れてきたところでスタッフの交代(○○さんはいつまで、□□さんがいつから)が生じるので、プログラムの進行を円滑にし、パッケージ化(スタイルとして確立)するには、スタッフ配置の合理化が必要と判断。試行が可能なのは最初のうちだろう、ということで、筆者自ら、進行+画面操作+解説、で切り盛りすることにした。するとこれが我ながら大当たり。クイズの全体像を把握しているせいもあるが、アドリブでどうとでも盛り上げられることがわかってしまった。もちろん、お客さんに恵まれたことが大きいのは相違ないが、ポイントとしては、お客さんに納得してもらえる何か(なぜこういうクイズをやっているのか、何を伝えようとしているのか)を提供しつつ、お客さんを盛り立て(気を悪くさせず)、できるだけ滑らかに進めることができたのが良かったのでは、と僭越ながら思う。(本家「クイズ100人に聞きました」が番組としてよくできていたことと、実際の番組をご存じの方が多かったことにも助けられたが。)

 意外とバラエティ向きであることがわかってしまった筆者。掛け合い、間合い、呼吸...やればできるもんだなぁ、と。「楽しい」「面白い」「次!」といった声や感想に支えられ、開幕から何日間かは、クイズショーのような枠で登板させてもらえてありがたかった。バラエティ番組の醍醐味とは、お客さんとの丁々発止、臨場感&高揚感。そうしたことが実感できてしまったのがまた発見だった。

 夜はじっくり、しっとり、語り合うバラエティに。ふだんはなかなか話を聞いてもらえなかったりする(^_^;が、ショー形式だと進行役のコメントをしっかり聞いてもらえるので、幸いなことこの上ない。逆にお客さんから教えてもらうことも多々出てきて、それが双方向感を醸す。空間演出的にも好結果が得られたと思う。

 ツッコミがあればそれはそれで妙味。うまくボケて交わせば会場に笑いが起こる。社会科見学で立ち寄ったマジメな小学生をどう引き込むか、が難題だったが、笑いをとるばかりのプログラムでもないので、臨機応変に淡々と進めたこともあった。(もっとも、笑いをとりつつも、解説は裏付けのある、しっかりしたものをお伝えするよう努力した。要はメリハリである。)

 授業とは無関係でやってくる子どもたちは、こっちのペースなどお構いなし。荒川クリーンエイドや出前授業などを通じ、少なからず経験則があったのが奏功したとは言え、バラエティにおける仕切りとなると、勝手が違う。こどもたちにも随分鍛えられたものだ。指名したり、ジャンケンしたり、「せーの」で発声してもらったり、何人かまとめて答えてもらったり、その場の思いつきながら、周りの大人の方々の助け・厚情や、スタッフのアシストを得つつ、何とか無難にこなせた感じ。(元気に手を挙げてくれるのはいいけど、他のお客さんが解答できなくなってしまうのもちょっとねぇ。)

 全問やらないと気が済まない向きもあって、ウレシイ悲鳴。他のスタジオネタ(ニュースステーションなど)に影響が出ないよう、時間をやり繰りするのがひと苦労だった。(もちろん、お客さんの都合や時間も考慮に入れ、1問ずつ区切るようにはしたが。) 「クイズ!約100人〜」は一日あたり、7〜10回は実施。1回あたりの所要時間は2問の場合で15〜20分だから、パビリオンの開館時間(9〜21時)のうち、4分の1前後はこのクイズをやっていたような計算になる。ニュースステーションは、午後を中心に5〜6回で、1回あたり10〜15分。2つのスタジオネタが開館時間の3分の1ほどを占めていたことになる。LIVE感のあるプログラムが相当時間動いていれば、自ずとパビリオンも活況を呈してくる。好循環が生まれてくる。

 賞品の配り方では、いろいろと悩ましい面もあったが、中国、韓国から提供してもらった数々のノベルティのおかげでバリエーションが確保でき、引換券最多枚数の人に選択肢を付与することで乗り切ったり、という状況だった。引換券の数を競うような設定にはあまりしたくなかったが、解答する動機付けとしては致し方ないだろう。でも賞品狙いになってしまうとキビシイものがある。「何がもらえるかはあとのお楽しみ」というお断りを徹底して、特に子どもたちが極度にヒートアップしないよう努めた。(時に、狡猾かつ粗暴なお子さんが来ることもあって手を焼いたが、その子のためを考え、ビシっと温情的指導をすることもあった。)

 クイズの答えは多種多様。ヒントを出さないと開かないこともしばしば。だが、最後に開いた解答が「えっ!」というもの(あまりにサプライズ系)だったりすると、盛り下がってしまう(逆効果?)ことがわかった。何となく誘導気味になるが、ラスト1枚は希望が持てるような(開いてよかったと思えるような)ものに持ち込む術も必要なのである。

 あとは、進行をより滑らかにするため、明らかにノリの良さそうなお客さんに加わっていただくのもポイント。たとえ少人数でも、始めているうちにいつしか人垣ができ...という展開がまた、このプログラムの妙味なのである。途中からの入退場が自由、つまりお客さんの裁量が利けば利く程、活気も出てくる訳だ。

 いろいろと経験知の積み上げ(進化の過程?)があった訳だが、如何ともし難いものが2つ。それは、野外ステージ(大地の広場)から不意に飛び出す音響、番組進行中のケータイ着信、である。長久手の地域気象か、猛烈な雨が降った時は、あまりの雨音で進行も中断気味。でも自然現象なら諦めもつくし、かえって集中できるというもの。(不意の豪雨で足止めに遭ったお客さんに少しでも有意義な時間を過ごせてもらえたなら何よりである。) だが、人為的な中断要因については、何とかできる。でも、それが何ともしようがないとなると。w(-_-)w

 万博だからと気負うでもなく、場の雰囲気に合わせて進めていたら、時間が経ち...というのが正直なところ。一日一日は本当に早かった。9月上旬時点で、ボランティアスタッフの中から、次々と進行役が登場し、それぞれの多様な(正にバラエティ!)クイズ進行が可能になったことも、プログラムの充実(=時間の加速)に貢献。本当にありがたく、心強い限りだった。若手スタッフの皆さんから学ぶこともいろいろ。こうなると研修ツールとしても使えそうである。

 9月24日は、ラスト2Days特別企画として、パビリオン来館者の方々に対して追加調査して、クイズ画面を再設定。24日に集まった結果が翌日にはクイズ画面になって公表できてしまう、これは画期的なことだったと思う。(プログラマーボランティアのY.K.さん、本当にありがとうございました!) この結果については、ボランティアスタッフ全員が知っている訳ではないので、スタッフが再会する機会に改めて発表するつもり。従って、今回は伏せさせていただくこと、ご了承の程を。


  • 以下は、ボランティアスタッフMLに宛てた筆者談(抜粋)

・日程後半になって思ったのですが、客席から答えが出た時、それは言葉が力を持つ瞬間だったのではないか、と感じました。

・いくつかの答えをまとめて聞き出した時は、それらを会場が共有することにより、イメージがふくらんできます。クイズを通して、一人ひとりの想像力や伝達力を高めることに自然となっていたなら、プログラムとしての意味も結構大きかったのではないかと思った訳です。答えるという行為が、ズバリ発伝所のテーマ「伝」だった、ということになりますかね。

・アタリ/ハズレは、盛り上げる上でのツールのようなもので、実はいろいろな言葉を導き出せたことが、クイズの盛況につながったように今では思います。

・かけ声の「ある!ある!」も、答えた人に対する共感や共鳴があるからこそ出るものなんだと思います。大事な言葉ですね。

・コメントやまとめについては、十分な用意ができませんでしたが、用意がなかったことで、特に進行役を務められた方々の持ち味や力量が発揮されて、結果的には良かったのかなぁと思います。ありがとうございました。

  • 「クイズ!約100人に聞きました」の15問分の結果は、こちら(「クイズ約100人〜」web)をご覧ください。ご来館ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

  • おまけ:会場からのその他の解答
    *こうして並べてみると、イメージがふくらんできますね。(順不同)

・日中韓に共通するもの(Q2.Q8.Q11.)

 気候、水害、着物、履物、陶磁器、畳、布団、シルクロード、経典、書道・習字、寺、竹、木造住宅、武道、卓球、DNA、祖先、真面目...

・地球環境と聞いて(Q7.)

 海、山、空、空気、風、雲、雨、台風、洪水、公害...

 

 

第193話 「クイズ!約100人に聞きました」(前編)(2005.9.15→29)

 「愛・地球博」(地球市民村)でのパビリオン出展を無事、盛況裡に終え、9/26の深夜に帰宅。一昨日・昨日は、万博関係の残務などをしつつ、安静を保ち、今日から何となくいつもの自宅作業モードの筆者。

 報道等でご既知の通り、9月の万博来場者は相当数に上り、概ね一日あたり20万人という盛況。長久手会場にありながら、少々目立たぬエリアに位置する地球市民村にも、リピーター客を中心に、総入場者の1割強に当たる方々にお越しいただき、9月は記録的な数字になった。(入村者累計(185日)では、200万人超)

 筆者が関わった「日中韓・環境見聞館」も台風前後を除き、総じて満員御礼の盛況をいただき、様々な言葉が交わされ、満たされ、ハコモノでないパビリオン運営(=空間創造?)ができたのではないか、と述懐しているところ。9/17から閉幕日までの9日間は、当館リピーターも大勢いらっしゃり、フル稼働状態。おかげ様で充実した25日間を過ごすことができた。(東京モノローグはすっかりペースが乱れ、本稿は何と2週間遅れになってしまいましたが...)(^^;

 地球市民村のレポートについては、ご案内中の「地球市民村blog」の通り。(出展期間中に綴れなかった分を引き続き書き足していく予定です。) 万博全体のレビューについては、次の第194話に譲ることとして、今回は、筆者担当のプログラム「クイズ!約100人に聞きました」について、ここ半年ほどの経緯や実施結果などについてご紹介しようと思う。(今回はひとまず前編)


1.クイズの仕様とスケジュール

 往年のクイズ番組「クイズ100人に聞きました」(1979年4月2日〜1992年9月21日放映)にヒントを得て、とにかく意識調査をしつつ、東アジア環境情報発伝所が万博に出展することをPRできれば、と考えたのが今年になってからのこと。回答に協力してもらった方に、PRカード(兼 プレゼント引換券)を配ることで、ふだん環境に関する情報やNGO/NPOに接点のない人達に何らかのアピールができれば、というのが主目的だった。

 仮に100人分の答えが集まったところで、それをどうクイズ画面に加工するかについては、後回し。発伝所のメールマガジンを使っての簡易調査(メール返信方式)も試みたが、やはり実地重視でいきたい。街頭調査用のキットを作って、まずは実際に調べてみることにした。次は、何を尋ねるか?である。

 1)答えが極端にバラつかず(一定数の多数回答が得られる見込みが立つ)、2)ある程度、連想・回答がしやすく、3)回答そのものに共感できる、といった条件に基づく設問を考える必要があった。そして、東アジア環境情報発伝所と関連付けて、「環境」「東アジア」に因んだ問いを考えることにした。

 あとは、いつ・どこで調査するか。4〜6月は、環境にちなんだ催しも多く、屋外で調査するには気候的にも打ってつけ。概ね、左図のような候補を立て、早めに多くの調査をこなし、6月のうちにクイズ画面の作成とデモンストレーションを、とスケジューリングした。


2.試行開始

 4月1日は万博会場の見学日。その後、3日までは中国、韓国のメンバーとの会合などもあって名古屋に滞在。クイズについては、意見交換の結果、左図にあるような問いを3カ国共通で調べてみることを確認した。

 そして、4月3日(日)の自由時間に、名古屋の中心街、栄にて、街頭調査を試行することにした。この時のお題は、「日本・中国・韓国に共通するもの」。調査状況は、概ね以下のような感じ。結果は左図の通りである。

 [1] 設問について

  • 3カ国に共通するもの〜は、確かに思い浮かびにくい面がありますが、即答される方もいるので、難しい設問とは言い切れない感じです。

  • 結果を見てもわかるように、その人の日常生活や関心事に伴うものが回答として出てくる場合があります。(サッカー、テレビ、料理) 想像が働きやすい質問、身近なものが答えになりそうな質問がいいかも知れません。

  • そういう意味では、「ゴミを捨てる時にムダだなぁ〜」というのはいいのですが、「絶滅しそうな動物」というのは、かなり答えにくいのではないか、と思いました。(答えられたとしても、すでに絶滅してしまったものを挙げるケースが多そう?) まぁ試してみないと何とも言えませんが。

 [2] 質問方法について

  • 単刀直入にフリップを見せた方が手っ取り早いようです。(ビックリする人もチラホラいましたが。)(^^;

  • 団体の紹介や、調査の趣旨は、フリップの裏側に付けておくと説明しやすいことがわかりました。

  • 一人になりたそうな人は避け、何となく時間がありそうな人(2人以上)に、何気なく近づくのがいいようです。待ち合わせなどで、腰掛けている人がベター。

  • 「愛・地球博」のPRが大きく出ている場所で実施した、というのが良かったのかも知れませんが、概ね、今回の方法で良さそうなことはわかりました。

 [3] 感想など

  • 聞きにくそうな人のパターンがわかってくると、それなりに時間がかかる感じです。

  • 逆に、人が人を呼ぶようなシチュエーションが作れると、まとめて何人か聞くことができることもわかりました。

  • 中学生・高校生くらいだと、自分の世界優先(?)で、あまり想像力を働かせる機会がないような印象を受けました。答えが出るのにすごく時間がかかったり、結局回答なしだったり... 今の世相を見る思いでした。(逆に想像を少しでも働かせてもらえたなら、趣旨的にはOK?)

  • プレゼント引換券は概ね笑顔で受け取ってもらえました。(感謝や激励の言葉もいくつかいただき、張り合いがありました。)


3.とにかく100人分!

 100人分の回答を集めるのはなかなか大変なことがわかったので、とにかく調査スタッフがそろうタイミングをしっかり見定めて、集中的に調査を実施することにした。ズバリ、4月23日のアースデイ東京イベントの日が好機。

 渋谷公会堂前からNHKホール横を通り、代々木公園B地区(アースデイ東京メイン会場)経由で、原宿駅をめざしつつ、代々木公園をひと巡り、といった感じで調査し、昼食をはさんで、概ね4時間で2問、200人分の回答を集めることができた。この時の成果でメドが立ち、その後の展開に弾みがついたことは言うまでもない。(調査にご協力いただいた皆さんには改めて御礼申し上げます。)

 *当日の状況は、こちらを参照。この日のアースデイ東京イベントについては、第184話の通り。

 4月29日も「みどりの日のつどい」に乗じて、新宿御苑での調査を予定していたが、あいにくスタッフがそろわず、見送り。気を取り直して、翌日30日、実際の番組を「放送ライブラリー」で視聴して、勘がつかめたのは大きかった。進行役の軽妙なトークが番組を支えていたんだなぁ、と。

 番組の本も借りて、検証してみることにした。隣接区の図書館巡りについては、第185話に書いた通りだが、足立区の中央図書館に2冊あったのは大きかった。(ちなみに、番組本にはこんなQ&Aがあった。「前橋市で大人100人に聞きました。答えは7つ。『こんなもの捨ててもったいないなぁ』と思う粗大ごみ、といったら何?」⇒「テレビ:27」「冷蔵庫:24」「タンス:15」「自転車:11」「ベッド:6」「ステレオ:3」「イス・ソファー:3」... だそうな。) 代々木公園でも単なるゴミではなく、粗大ごみに絞って聞いたらもっと集まったかも知れない。


4.街頭調査のカベ

 調査場所の候補は立てたものの、しばらく実地調査は休止し、確実に調査可能な場所を模索することにした。調査予定日は、6月5日(日)の世界環境デー(日本では「環境の日」)。

 場所は上野公園。特に動物園のお目当て客に対し、「絶滅しそうな動物は?」で行こうと計画していたのだが... とにかく公然と調査ができるよう、東京都公園協会に問い合わせたまではよかったが、案の定、お役所的な返事が届いた。東京都 建設局 公園緑地部 公園課 都市公園係からの発信である。一部引用すると、「公園内では公園の本来目的に関する事(例えば公園の利用実態や野鳥の生態調査など)で、東京都が行う調査以外については、使用の許可をしておりません。」とのこと。正攻法で尋ねてこうだから、仕方あるまい。

 街頭調査にはカベがある。公然と調査をするためには、やはり道路使用許可を取得しないとダメなんだろうか。(相当の手数料がかかるのが難点なのである。)

 6月5日は、「環境」をテーマにした調査をするには絶好であることには相違ない。何とか言い訳もつくだろうと見切って、新宿三丁目界隈の歩行者天国エリア〜新宿御苑付近などでとにかく決行することにした。

 1)「愛・地球博」と聞いて、どう思いますか? 形容詞で一言! 2)今日は「環境の日」です。「環境」と聞いて思い浮かべる色は何色? の2つを用意したが、1)は一人二人聞いたところで断念。「楽しそう」「広大」とか出てくるかと思ったが、サッパリなのである。即、2)に切り替えて臨んだのだが、結果はと言うと...

[感想など]

  • 街頭調査らしい場所ではあるのですが、やはり新宿は心理的に"アウェイ"でした。実に多様な人種がいるものだとつくづく感じました。(正に「日本人は変わった?」状態...)

  • 待合せなどで一人でいる人、会話しているカップル、親子連れ、いずれも今までは聞きやすいタイプだったのですが、今回は逃げられてしまうケースもあり、逆風モードでした。

  • キャッチセールスや怪しいアンケート調査が多い場所柄ということもあったんでしょうけど、その警戒レベルは予想以上、という感じですね。(-_-)

  • マスコミ関係を名乗る方にも聞きました。街頭調査の苦労に理解を示してもらえたような印象でしたが、どのようなリアクションが来るか、予想不能です。渡したカードが吉と出ればいいのですが。(これも新宿らしい?)

  • こうした状況に、27℃(?)という暑さも加わり、調査は難航。実質2時間余りをかけて何とか50人分(複数回答あり)という結果でした。

  • ふだんはアクセスすることのなさそうな多様な人達に、東アジア環境情報発伝所、愛・地球博、環境の日などをPRできたのは、大きな成果だと思います。

  • 総じて、3〜4人のグループで、談笑している感じの人達に聞くのがベターなようです。

  • 逆風下ではありましたが、回答していただいた方々は概ね良心的で、ねぎらいの言葉をかけてもらったり、手を振ってくれたり、質問フリップに意見をもらったり、「愛・地球博、行く行く」と盛り上がったり、「プレゼント、へぇ」といった感じでカードを眺めたり、といった感じで、救われました。これも新宿が多様であることの証しですかね。

 色に関するQ&Aは、至ってシンプル。だが、ごく当たり前と思われる答えをきっちり答えられると、クイズ解答者としては「よっしゃー」となるし、逆に少数回答をうまく解答できた時の喜びも格別だろう、ということで、この結果はそのまま採用。(はてさて、何色が出たでしょう?)

 インターネットのアンケートサイトなども活用しながら、ひとまず日本で集まった分から、クイズ画面の制作開始。Visual Basicに長けたスタッフがいらっしゃり、これといった仕様書もない状態で作り込んでもらうことができた。7月2日には試作品の動作確認ができ、いよいよデモンストレーションに向けて前進、と相成ったのである。

 ***この続きは、万博のレビューと合わせて、次回第194話に掲載します。

 

第192話 つくばエクスプレス開業初日レポート(2005.9.1→12)

 筆者、予定通り「愛・地球博」〜地球市民村パビリオンにて、ほぼフルタイムで実働中。(おかげ様で、軌道に乗り、連日盛況です。) 9月12日は、出展後2度目のOFF日で、本稿第192話にようやく着手できた次第。万博出張前に何とか掲載したかったのだが、各種準備に追われ、叶わず、東京モノローグ始まって以来のインターバルになってしまった。(ちなみに9月15日で、まる8年になります。いつもありがとうございます!)

 さて、すっかり万博モードの筆者にとって、8月24日の「つくばエクスプレス」(以下、TX)開業日の出来事となると、実に遠い話。記憶もボンヤリしてきているが、メモを基に回想しつつ、試乗レポートをお届けしたいと思う。(いっそ「名古屋モノローグ」にして、リニモのあれこれについて書いた方がリアリティはあるんでしょうけど。)(^^)


 首都圏における新線開業は、第162話に記した「みなとみらい線」以来。間髪入れず、続々新しい路線ができる観がある。ただ全長50kmを超えるとなるとスケールが違う。茨城県南部や千葉県北西部など、これまで交通不便だった一帯が一躍して活性エリアになる訳で、インパクトは大。それゆえ、開業初日も期待を反映して、大いに賑わったんだと思う。

 東京メトロを乗り継いで、秋葉原に到着。どちらかと言うと、岩本町方面に近いTX秋葉原駅の出入口広場は、すでにかなりの人だかり。12時過ぎだったが、出入口をA1の一つに絞って、入場制限をかけていた。300人を目安に、一定間隔で改札階に通している、ということだが、ホームにたどり着くのに何と2時間とか!(ちなみに、万博に向かう際に、地下鉄東山線からリニモに乗り換える待ち時間(藤が丘駅)は、混雑時で30〜50分程度。)

 この日は東京メトロの一日乗車券で動くことにしていたので、秋葉原でのTX乗車はさっさと断念し、日比谷線で秋葉原から仲御徒町へ移動することにした。仲御徒町からは、少々歩けば、TXと都営大江戸線の駅「新御徒町」にアクセスできる。ここならすぐ乗れるだろうという読みはズバリだったが、入場制限も何もなく、あまりにあっさり改札を通過できてしまったので、拍子抜け。予想外だったのは、大江戸線とTXの改札が離れていて、乗換には不便そうなこと。TXの方は「新御徒町東」とかにした方が良さそうだ。

 秋葉原での混雑を考えると、平常通りには動いていないだろう、とタカを括っていた筆者。TX秋葉原発12:32の快速列車にあわよくば、と思っていたが、すでに発車済み。お次は上り・下りともに12:39発である。ここはどちらか空いている方で思ったら、どちらも閑散。初乗り運賃の切符片手に、ならば一つ秋葉原に戻ってみよう、ということにした。

 さて車内に入るとまずは、床面の|||||といった縞が目に付く。あとは特に変哲なく、すでに沿線の商業広告の類が貼り出されているばかり。乗客はそこそこにこやかにしているが、新線特有の新鮮な感じがあまりしなかったのが不思議。秋葉原からの折り返し。さぞ大量の客が乗り込むかと思いきや、これまた程々でビックリ。いったい、地上での入場制限は何だったんだろう、と訝しく思う。

 ともかくTX始点から試乗することができた。快速ではなく、区間快速だが、北千住まではどれも各駅停車。TXならではの快走感を体験できるのは、北千住以北、ということになる。南千住〜北千住はいったん地上に出て、JR常磐線と日比谷線に挟まれた線路を進む。このように地上・高架部分で異なる3線が並走するのは首都圏ではここくらいなものだろう。(ちなみに、3線という意味では、JR・有楽町線・南北線が並ぶ、飯田橋〜市ヶ谷の区間があるが、そろって写真に収められるという点ではこっちが上か。) それにしても思いがけない区間が厚くなる(乗車の選択肢が増える)ものだとつくづく思う。

 北千住駅では、案の定、カメラの放列が待ち構えていた。が、しかし乗客の乗り降りという点では期待外れ。試乗しようというところまでは気が向かないのだろうか。荒川を越えるところまで、千代田線と並んで走る。徐々に加速が始まった。東武伊勢崎線と交差する手前、TXは再び地下へ。青井、六町と足立区内の地下駅を結構なスピードで通過していく。ホームドアがある故に為せる業だと思うが、地下をこれほどの快速で飛ばす電車は早々ないだろう。

TX秋葉原駅への入場を待つ人だかり

新御徒町はこの通り、スイスイ

流山おおたかの森までは600円

北千住駅ホーム先端に集う人人

 県境近くになって、高架に入る。三郷界隈はまだまだ空き地が目立つ。新しい道路に工事現場の数々。これらを横目にとにかく疾走していく。駅間が長い分、速度も出しやすいようだ。秋葉原から20分程で、三郷中央に到着。かつては武蔵野線〜常磐線と乗り継ぐなどして、倍以上はかかったはず。時間短縮効果の恩恵は大きそうだ。

 江戸川を渡り、続いて南流山に。この辺りでは珍しく地下駅である。快速が停車するため、基幹駅と位置付けられているはずだが、降りる客は少々。乗り込む客は、当車両ではゼロ。少々先が思いやられる。

 三郷一帯と違い、流山の沿線風景は緑地や森が基調。あまり開発してほしくないのだと思うが、TXが通ってしまった時点で、何らかの影響はすでに出ている訳だから、完全な生態保全はどの道、困難だろう。車窓から緑が楽しめることをウリにするくらいの度量があればいいのだが。

 そんな緑の豊かさを示すような名称の駅が「流山おおたかの森」。今回の試乗はひとまずここまでと決め、降車。(ここから先、終点のつくばまではまた別途、ということで。) 下りはポツポツだが、反対側、上り方面のホームを見遣ると、結構な人出がある。ここに来てようやく沿線住民の具体的ニーズを見ることができた気がした。

 きっぷ売場に列ができていることからも需要の高さが窺える。東武野田線もTX乗換用に新駅を設置。やはり鉄道相互のコネクションができるというのは人の流れを作る上で重要なのである。しかしながら、野田線の方はと言うと、あまり活況は感じられず、今まで通りローカルな感じ。TXとの比較は酷だが、車両も旧式なため、TXから乗り換えると、そのギャップにクラと来る。

上りホームはそこそこの乗客の姿が見られる

駅番号を併記した駅名表示もTXならでは

野田線 柏駅の券売機にて(「流山おおたかの森」は取り急ぎ付け足し表示)

 

 という訳で、流山おおたかの森から野田線に乗って、柏に着いた筆者は今度は常磐線でトンボ帰り。北千住〜南千住は、一日乗車券で日比谷線を利用。南千住から再度、TXに乗り換えて、浅草をめざすことにした。

 南千住駅は、常磐線と結合した感じになっているが、改札は道を挟んで別々。両線を乗り換えるには少々面倒なことになる。もともとこれといった目玉がなかった南千住なので、駅前広場や駅ビルなどもこれから整備されていくのだろう。再開発が終わると、おそらく乗換もしやすくなると思われる。

 14:41、秋葉原行きのTXに乗り、お隣の浅草へ。南千住と浅草の間は、都バスが2系統走っているが、鉄道でつながるのはこれが初めて。歓迎される向きが強そうだが、浅草駅ホームは何と地下4階の深さ。バスだと時間はかかっても乗り降りは楽。どちらを選ぶか、悩ましいところだ。

 大江戸線の六本木並みの深度を上り、改札階に到着。人が集う浅草だけに、きっぷ売場など、ちょっとした混雑を見せている。帰りは銀座線の浅草か田原町か、と思案していたので、その方面の出口からとにかく出てはみたが、はて見当がつかない。左手にはビューホテル、右手にはROXビルが見える。なじみがないエリアである上、出入口付近に案内地図がないものだから、戸惑ってしまった。程なく、バス停が目にとまり、地図も発見。何とここは「浅草公園六区」になる。田原町に該当する停留所「浅草寿町」へは「浅草一丁目」を挟むので、実にバス停2つ分。これまたビックリである。銀座線や東武のご本家浅草駅はもっと距離がある。TXの浅草駅は、「新浅草」「西浅草」いやいっそ「六区」とかがいいと思いながら、ようやく田原町に逢着した筆者だった。

日比谷線車窓から見た南千住駅周辺の工事現場

TX浅草駅の位置は、これでご確認を

 

 


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