随筆「東京モノローグ2010」(5−6月期)
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「このチーズ、切れてる」「え? 賞味期限が?」という会話が聞こえてきそう(?!)第306話 悩ましいネーミング@食料品売場

これを飲んでCO2削減?! (カーボンオフセットカクテル「森の妖精」)第307話 気が付けば環境月間

アキバ・ブリッジを夜歩くことがあればぜひご覧あれ第304話 LEDが眩しい

拙速な左折車にはご用心(ここは比較的安全な例)第305話 左折か左拙か

第307話 気が付けば環境月間(2010.6.15)

 環境月間というのを特に意識していた訳ではないが、ここ1カ月を振り返ってみると、もっともらしい(?)ことをしていたりするので、安直ながらそれらをまとめてみることにした(日常生活上のエコは除く)。ひとつ、ご参考まで。

5/20(木)

 「北区環境大学」というのがあって、今年で3年目になる。初年は、赤羽エコー広場館でやっていたと記憶しているが、今は「みどりと環境の情報館」(通称:エコベルデ)が会場になっている。筆者はその大学(こういう名称でいいのか疑問はある)とは何ら関係ないが、エコベルデという場所には興味があったので行ってみることにした。6月になると大学開講になるので、その前にということで、5月20日、空いた時間を見計らって出かけた。自転車を漕ぎ漕ぎ豊島五丁目へ。豊島五丁目団地に行けばわかるだろう程度で臨んだが、隅田川のカーブ(→参考:「区界の隅田川と雲」)に沿って大回りする形になり、時間を要してしまった。つまり易々とはたどり着けない場所にこのエコベルデはある。(豊島五丁目団地前バス停から広場をめざせばいいのだが、それでもやや距離がある。)

 豊島五丁目遊び場の中に、体育館を見つけたら、それがエコベルデ。普段ならこうした来館者があれば、しっかり応対してもらえるのだろうが、この日はたまたま視察が来るということで、自由見学扱いだった。土壌汚染で問題になった地を再生し、その覆土の上に環境情報の一施設を設けた、というのは逆転の発想であり、好感は持てる。その負の経緯を「土壌汚染対策情報コーナー」としてきちんと公開している点もまた見逃せない。ガランとした体育館スペースには、パーテーションが並び、ちょっとした掲示物が出されている。講座が始まれば、この空間が活きてくる(体験学習には打ってつけ)のだと思うが、何もない時はもったいない気もする。

 パッと見では何の建物かわからない情報館

 豊島五丁目遊び場の入口にある駐輪スペース。むしろこっちの方が目をひく。

 尋ねてみたい事柄もなくはなかったが、また来ようと思えば来られるので、この日は短時間で切り上げた。(掲載予告で「エコベルデ」と出したのは、そのうちちゃんと取材することもあるだろう、と思ってのこと。だが、結局その後は足が向かない。)(^^;

 エコベルデの専用のホームページはなく、この仮称のページで代用しているものと思われる。足を運んでもらうためにあえて情報を小出しにしているのであれば、見上げたものだ。


5/22(土) 生物多様性の日

 名古屋では、COP10開催半年前記念行事というのがあったようだが、東京では六本木ヒルズで何かあったくらいで目立った催しはなし。筆者もこれといった動きはなく、執筆中の中編向けに参考図書を読む程度。「生き物の多様性も大事だが、人間の多様性もまた然り」、そんな物思いに耽ったかどうかはいざ知らず。


5/23(日)

 丸の内シャトルに乗って、有楽町(新国際ビル)から東京(新丸ビル)へ。新丸ビルの地階から、東京駅の地下改札に通じる地下道を歩いていたら、「丸の内地球市民ギャラリー」というのが通路壁面に設えてあって、「日本空訪」展というのが開催中(会期延長?)。思わず見入ってしまった。


5/25(火)

 所用で練馬区早宮に出向くことになった。環八通りをひた走る国際興業バス[赤01]系統ができたおかげで、今は行きやすくなった。春日町一丁目で降り、散策路然とした道を10分も歩けば目的地に着く。道中、大きなケヤキ(「ねりまの名木」の一)、緑蔭広場、そしてこうした長閑な光景を目にし、すっかり「気分はエコ」。


5/27(木)

 2007年開催分ほか、これまでは招待券やら何やらで無料で入場していたが、今回はご縁無く、初めて実費で入場。元を取るつもりはないにしろ、有料となるといろいろと聞いてみようという気にもなる。出展社の方にとっては顰蹙だったかも知れないが、おかげでマメ知識(?)が増えた。

 一応、ひととおりは見たが、時間を割いたのは「サーマル・環境浄化」と「新エネ・省エネ・温暖化防止」の2つ。Q&Aでお騒がせしたのは、レックインダストリーズ、再生舎、吉澤石灰工業、ユニバース開発、島津システムソリューションズ、日本電工、モリカワ、環境技術支援ネットワーク、Jトップ、カナガワ ファニチュア、日本環境技術開発、日環エンジニアリング、協栄産業、日本バイオプラスチック協会、富士ケミカル、東セロ、東京都環境整備公社、日本グリーンパックスといったところ。

 栃木県佐野市で採れる石灰系材料を扱うメーカーでフッ素をアピールしていたり、道路舗装をカットする際に出る汚水を処理する装置(車載式)の発電機が普通のガソリン駆動(not バイオディーゼル)だったり、PETボトルのリサイクルに注力しているというので「『いろはす』などの植物性PETボトルが混入してくるとやりにくいのでは?」と尋ねたら答えに窮してしまったり、「第四類 固体燃料」という聞き慣れない名称を前面に出しているので「第1〜3類は何?」と問うたら答えられなかったり、とにかくツッコミどころがいろいろあるのがまた同展の特徴だと思う。

 印象に残ったワード(用語?)としては、好気性分解、水冷式LED、ごみ処理事務代行、平成貝塚など。あとは、環境に関する法制度の拡充を受け、その対応として新しく出てきたビジネスモデルの数々が目に付いた。弱みに付け込むと言ってはいけないが、どこかしら煽っているような感じがしなくもない。環境分野を初めて担当し、あれこれミッションを仰せつかって困っている人が思わず飛びつく、そんなケースもあるだろう。専門性+より細心の見極め、が求められそうだ。

 見学している最中はそれほど人数を実感しなかったが、今回の「2010NEW環境展」、4日間で約17万人が集まったそうだ。エコプロダクツ同様、日本最大級の環境展示会と言っていいだろう。


5/30(日)

 530で、ごみゼロの日と称されているが、台所を片付けた程度。この日出てきた古い植物油のボトル類は翌日に新たな局面を迎えることになる。


5/31(月)

新宿西口を走る「油田トラック」(VDF車) 固めてポイというのは面白くないので、巷で聞いていた「東京油田」にその廃油を提供することを思いついた。あいにく筆者地元や周辺には回収ステーションがないので、ちょっと遠出して隣県に行く。東京油田ならぬ埼玉油田である。

びっくりドンキー 下戸田店 びっくりドンキーが協力的というのはある意味びっくりだが、とにかく最寄の下戸田店へ持って行く。ランチタイムのおいそがしい中だったが、無事引き取ってもらえ、「エコアクションポイントカード」ももらった。何本か持って行って、50ポイントというのはいま一つ報われない気もするが、処分する手間を考えれば上々である。(→参考:びっくりドンキーJCB) … 東京油田、エコアクションポイント、いずれのホームページからも、すぐには到達し得ない情報である。)

 その場ですぐに割引券として使えれば、同店でランチをするつもりだったのだが、そうはならないのが役所流。アクションナンバーを登録するにも、このページにすんなり行き着かないし、とにかくわかりにくい。こうした複雑さがせっかくの制度をダメにする!ということにそろそろ気付いても良さそうなものだ。(初年度の平成20年度は複数のモデル事業者があったが、今年度はJCBだけ。案の定、ジリ貧?)

 という訳で、ポイントはまだ登録していない。いずれ、そのややこしさ加減を実証してみようとは思う。


6/1(火)

 近所の図書館で、リサイクル図書が出る日。今回は経済誌などを少々。


6/5(土) 世界環境デー

 たまには「エコライフ・フェア」に行くのも悪くない、と思ったが、サイトなどを見てもどうもピンと来なかったので、見送り。非営利のイベントのはずだが、「http://ecolife2010.com/」とcommercialドメインになっているところがまた解せない。


6/6(日)

 日テレの「eco ウィーク特番」で「MAKE THE FUTURE 2010」というのをやっていて、しばし観覧。「普通の生活で大量に出てしまうゴミを、一切出さずに生活できるのか?」など、そこそこ感心しながら見ていたが、「人間がやっちまった生態系破壊!」のコーナーの前だか後だかのCMが、よりによってバリバリの殺虫剤! わざとぶつけてきた可能性もあるが、あまりの無神経さにびっくりである(虫だけにムシンケイ?)。通常枠のスポンサーがそのまま特番に入ってしまっただけだとは思うが、これを「やっちまった」と言わずして何と言おう。


6/9(水)

 前にもらっていたチケットバック券を使うべく、近場の「坐・和民」へ。気になっていた「カーボンオフセットカクテル」を初めて注文した。この「森の妖精」、ネーミングよろしく、二酸化炭素1kgを相殺してくれるというんだから、凄いことである。妖精とCOというのが結びつくようなそうでないような感じがまたいい。甘党の筆者には美味なカクテルだった。


6/13(日)

 東京国際フォーラムを通りがかったら、地上広場で「べストフリーマーケット」なるものをやっていた。何も買わないのもエコのうちである。


6/14(月)

 宮脇氏の著書は10年ほど前に読んだが、ご本人を目にするのは今回が初めて。日本財団ビルの中に入ったのも初めてである。やって来たのは、この講演会を聴講するためである。(当日の演題は「いのちと心と遺伝子を守る 自然・環境・経済の共生を求めて −生物社会の掟−」)

 日本の主木「シイ、タブ、カシ(類)」がキーフレーズ、どんなに狭い土地でも立体的に緑を創る、大きくなる可能性のある木を植える(はじめから大きな木を植える必要はない)、「混植と密植」で木は強くなる、といった話を実例とともに聞く。「生物多様性」という言葉は聞かれなかったが、これこそが本分かも知れないと感じる内容だった。

 木の植え方(哲学)が明確な分、自分でもやってみて、育つ過程を楽しみたい、と思わせる。とりあえず、豊島区内の小中学校で宮脇方式による「学校の森」が展開されていることがわかったので、一度見に行ってみようと思った。

 学校の森では、どこでも子ども達の笑顔があふれ、この取り組みの意義の大きさを物語る。ただ残念なのは森づくりの初年、つまり植えた年の児童・生徒しか植林体験が得られない、ということだろうか。あと気になるのは、「イオンふるさとの森」の話が一切なかったこと。失敗例があったとしても、あわせて紹介してほしかったと思う。

 中央防波堤の一角に造られる「海の森」は樹種を見る限り、宮脇方式のようにも見受けられるが、紹介はなかった。(「東京都の緑確保の総合的な方針」でも、特段、この方式の言及はない。) 林野庁は2009年からようやく採用(→参考記事、としているが、賛否あるようだ。

 こうした批評もある。鵜呑みにせず、多様な意見を聞くことも大事だと改めて思っている。


 別に環境月間だから、ということはないにしろ、この時期だからこそ行われる「それらしい」行事があるのもまた事実。あと半月ある。こうした振り返りがまたできるよう、もうちょっと"エコる"とするか。

*筆者的には、「平成22年版環境・循環型社会・生物多様性白書」を読む会(→参考)が一興。月間行事を締めくくるには相応しい?

 

 

第306話 悩ましいネーミング@食料品売場(2010.6.1)

 ネーミングの妙でヒット商品となるものは多々あるが、妙は妙でも、単に珍妙で怪しげな商品が多いのもまた事実。ただ、どの商品分野にも珍名があるかというとそうでもなく、特定の物に集中する傾向があるようで、多いのはやはり日用品や薬品だろうと思われる。食料品もひけを取らないが、調べてみると特定のジャンルに固まっていることがわかる。競争が激しい、ネーミングでひねらないと差別化ができない、どこかがうまいネーミングでヒットしたのでそれに追随するうちに繚乱状態になったなど、あれこれ考えられるが、とにかく見本をもとに考察してみるとしよう。

 今回は至って小ネタではあるが、それなりに真面目な視点で追っている。「これは誤解を与えるのでは?」というのを集めてみたらこうなった、という感じである。ひとつご笑覧(?)の程を。

注)店内撮影禁止の旨、ことわり書きがない店で撮影。一応、価格等が大っぴらに出ないようアレンジ。(順不同)

  • 目に付くのはミルク、されど...

 早い話が豆乳なのだが、表題に豆乳と書かれていないので、パッと見ではわからない。裏を返して原材料表示を見て確認しないといけないのが悩ましい。

  • ネーミングの宝庫だったブランド卵

 妙な名前の卵が案外多いことに今回気付いた。しかも、どのスーパーでも共通して見かける品が少なくて、多種多様。ここに挙げたのは一例だが、「K太君」に「かけてご卵」と来た。「きみは半熟」というのもある。呼びかけ調のものが多いのが特長か。

  • 「切れてる」シリーズ

 

 「切れてる」のは一社だけかと思ったら、どのメーカーも一様に出しているから、ビックリやら、呆れるやらである。わかりやすいと言えばわかりやすいが、この「切れてる」には主語の付けようがないため、音だけ聞くと「賞味期限が〜」でも通用するし、「製造元や販売元が〜」でも通ってしまう怖さがある。どこかが名付けてうまく行ったからといって、闇雲に追随するのを商品自らが諌めているようにも映る。実はチーズそのものが「キレてる」のかも知れない。

(参考情報:クラフト切れてるチーズ雪印 切れてるチーズ&チーズ雪印北海道100 カマンベール 切れてるタイプ

 ちなみに、「切れてる」のはチーズばかりでない。「切れてるかまぼこ ドラえもん」もあれば、「切れてる板わさ」なんてのもある。おそらく頭が切れる人が開発したんだろう。

  • こちらは「さける」

 「切れてる」に気を良くした次がこの「さける」シリーズ。これも主語がないので、「お客を〜」というのが当てはまる可能性を秘めている。「さける」というネーミングは「避ける」べきではなかったか。

  • 実体がよくわからないけど、ソフト

 これも原材料表示をしっかり見る必要がある一品。ソフトと書くと、単に味がソフト=やわらか or まろやか、で止まってしまい、ソフト某なのかがハッキリしないので、得体が知れなくなる。(ソフト=ソフトマーガリンというのはわかりにくい。ある意味、ハードである。) 「バター風味マーガリン」というのもある。こっちは普通の(ソフト感が弱い)マーガリンということだろうか。

  • キムチ界もいろいろ

 誰の似顔絵かがわかっていないと、どこかの「ススム君」で終わってしまう可能性大。よく見ると、「こう先生」を指していたようだ。隣の「芳醇キムチ」も何とも曖昧な感じ。食べてみれば、その芳醇感(あまり辛くなさそう?)がわかるということか。

  • 売れ筋パンの名称もまた不思議

 前々から気になっていたが、「超芳醇」「超熟」「湯種」等々、およそパンらしくない名称がバンバン出てきて、今やどれも売れ筋らしい(→参考PDF)から不思議なものである。特に「超〜」は、あいまい表現に当たるので、本来は避けるべきと思われるのだが...(超を超えるものが現れた時のネーミングにせいぜい期待するとしよう。)

  • まず買おうと思わない男子系豆腐の数々

 

 豆腐界に旋風(いや荒波か)を起こしたジョニーさんはいいとして、その二番煎じ系が実に目に余る。「男前豆腐」「喧嘩上等 やっこ野郎」「京都六角男前上ル」...肉食系男子が肉豆腐用に買うのを想定してのネーミングだろうか。(いやはや) さすがに男子色が強過ぎたか、今度は「やさしくとろけるケンちゃん」と来た。男前豆腐店が出す「とろける〜」、何か矛盾してる気もするが。(「とろける口どけ」に至っては、もはや豆腐の域を超えている?)

  • コシ、腰、こし...

 この男性の見本通りのポーズをとると、どれかで腰を悪くしそうでコワイ。腰痛持ちの人にとっては、朗報のように映るネーミングだが、それが狙いだろうか。(→詳細:こしの極(きわみ)

 同じく永谷園は、「そうめんののどごしとラーメンの味わいが同時に楽しめる、夏にぴったりの麺メニュー」として、「そうらーめん」というのも出している。耳にしただけだと、「ソーラーメン」。太陽光発電の戦隊ヒーローのようになってしまわないかと懸念してしまう。

  • 即席めんも多々あるが

 ツッコミを入れるとしたら、この「行列のできる」シリーズだろう。単に客を捌くのがイマイチで、行列ができることも往々にしてあるが、それはさておきの行列店(としておこう)。だが、これが売れると行列ができなくなり、いつかはネーミングに偽りあり、にならないか。余計な心配をさせてくれるシリーズである。

  • ウィンナーソーセージも見逃せない

 袋の形状上、商品名が読みにくいのがソーセージ類の宿命だが、このように目に付くなら付くで、ちょっと待てよということもある。贅沢の贅なのはわかるが、どうも贅肉の方に頭が行ってしまうのだった。(このように引っかけるためのネーミングだとしたら、お見事である。)

  • 華麗は「かれい」と読む

 「華麗なる一族」にちなんだカレーパンは記憶に新しいが、その続きのようなのがあった。本体はカツで、そのトッピング的要素にチーズとカレーが加わっていると考えればいいのだが、それら要素の順番が前後しているため、瞬間的に何の商品だかわかりにくくなっているのが難点。順番を間違えると「チーズカツカレー」になってしまいそう。(あまり華麗とは言えないがする。)

  • どっちが目立つか

 上段は「激旨バーベキュー味」が、下段は「リッチカット」がセールスポイントと映る。激旨というのがどうも誇張表現に思え、敬遠したくなる一方、リッチカットの方は何を間違えたか「リッチカツトオニオン」という札が出ていて、否が応でも目立つ。店員にインパクトを与える表現とは何かを問うケースと言えそうだ。

  • ここで言う「まがり」とは?

 「切れてる」に通じそうなネーミングがこれ。おそらくその特殊な形、即ち「曲がり」をアピールしたいのだと思うが、ひらがな表記のため、別の解釈が可能になる。商品棚を「間借り」するせんべい?ということになりそうな予感...

  • 名前を変えてそろそろ10年

 当初はこの申告書にあるような指摘がされ、速やかな変更がなされたという過去がある。そうした過去があっての10年目ということをサイト(→参考で紹介してほしいものだが、どうやら不都合だった点はさっさと氷結してしまい、今に至っているようだ。

 氷結果汁はいただけなかったが、その後のリカバーが奏功し、今や立派なブランドである。印象度という点で「氷結」は優れたネーミングだと思う。

 他にもいろいろあったのだが、今回はこんなところで。モニター(覆面調査員?)気分で、皆さんもお探しになってみてはどうだろう。

  • こちらもどうぞ ⇒ 関連する話題いろいろ

第61話 短縮形ネーミング / 第70話 行列のできる店 / 第78話 中華まん / 第136話 試食生活 / 第155話 定食ネーミング考 / 第178話 恵方巻と中華まん / 第198話 198円は特価か否か / 第225話 スーパーマーケットにおける「べからず集」

 

第305話 左折か左拙か(2010.5.15)

 横断歩道が赤の時は、次に青に変わったと同時に歩き出せるため、安心。横断歩道に着いた直後に青に変わった場合は、信号運がよかった、ということにして、程々に喜々として歩く。厄介なのは、青になってしばらくしてからの横断だろう。

 スクランブル交差点など、歩車分離式の場所であれば何ら問題ないが、世の多くの信号は、歩と車がシンクロするタイプ。歩行者が横断し始めるとともに左折車を待たせる構造になっていて、これが悩ましい事態を招いている。

 渡り始めの時は、左折車は待機してくれているので、安心して渡れる。だが、渡り始めがひと息ついた後は、もう安心できない。歩行者が皆無であれば無論、構わない。大きく隙間ができるくらいの歩行者数であれば、徐行して左折していく分にはいいだろう。問題は、まだ点滅するに至っていない段階で、一人渡ろうとする時の間のとり方である。左折車が多い交差点では、こうしたパターンにおいて、自発的に停車してくれるクルマが案外少なかったりするのだ。左折の勢いが加速していると、後続に追い立てられることもあってか、一人二人の歩行者には目もくれず、とにかく止まらない。そうこうしているうちに点滅状態になり、あわてて一歩踏み出すと、止まってくれることもあるが、クラクションを食らうこともあって、どうにもいただけない。間をとるというのはせいぜい左折車が途切れそうな加減を見計らうくらいなもので、事実上、青になってしばらくしてからの横断は、(左折車頻発交差点では)困難極まりないのである。

 長さのある横断歩道の場合、左折車と同じ方向での渡り始めは待つにしても、左折車と向き合う方向で渡ってくる最初の歩行者に対してまでは及ばない(ことが往々にしてある)。隙あらば左折してしまえ、という心理が働く訳だが、左折車による渋滞を防ぐ上ではいいとしても、歩行者軽視かつ事故誘因であることも確か。強行左折とも言えるこの現象は、大きな交差点ではどこでも見受けられるが、最たる「当事車」は、タクシーだろう。台数が増えていることの弊害の一つとも言えるが、客を乗せているならまだしも、空車のタクシーにこれをやられると正直頭に来る。停車したとしても、ズルズルと進んで行くせっかちなタクシーもまた多い。(こっちはそれを見越して、その拙速ならぬ「拙タク」の後方を通るようにし、とっとと往ってもらっている。) 左折時にあえてノロノロやることで客を拾う、という悪弊があるそうだが、筆者的には見かけない。見かけるのは客を拾うどころか、とにかく強行! そればかりである。

 タクシーの件はいいとして、とにかく現場を検証してみるとしよう。(思ったほど事例が集まらなかったのは、歩行者に対してカメラを向けにくいこと、被写体が動くこと、撮ってはみたが構図がイマイチなのが多かったこと、などによる。あしからず。) *概ね北から南の順。撮影日は、画像ファイル名の通り。

 王子駅から北区役所方面へ。権現坂という坂道を上がっていくと、このX字のような交差点に出る。都道455号、即ち本郷通りから西へ曲がる左折は、角度が緩やかなため、直進並みのスピードで入ってくることもしばしば。筆者はかつて、自転車で横断しようとして、足止めを食ったことがある。

 湯島方面から中央通りに進入(左折)する様子を撮った例。このようにバス上58系統のみ)が来る分には安心だが、そうでない場合は、急かされることがしばしば。

 同じく上野松坂屋の前から、上野広小路交差点方向を撮った一枚。春日通りから中央通りに入ってくるタクシーが見える。人通りが多いので、易々とは強行できない。

 本郷三丁目から本郷通りを南に行くと壱岐坂上に出る。形状的には交差点だが、事実上T字路。西へ伸びる壱岐坂通りへの左折が激しい。ここに写っているのもタクシー。

 聖橋方面から左折してくる流れを撮ったもの。通行量が多いためか、クルマ優先の信号制御になっており、歩行可能時間は短め。そのため、歩行者は何とかして渡ろうとし、方や左折車も早々と行こうとするので、どうにも危なっかしい。歩車分離にしても良さそうな場所なのだが...(ちなみに、この左折の方向=本郷通りになる。左折した先が上述の壱岐坂上に通じる。)

 この万世橋交差点でしばらく観察していると、この向きの左折だけでなく、四方向、どの左折も皆、似たり寄ったりということがわかった。渡り始めは当然停車。少し歩行者の間が空くと徐行が増え、一人二人だとあまり停まらない。警察署が近くにあるためか、程ほどに抑えが利いている感じはあるが。

 左折ではなく、番町方面から四ッ谷駅の麹町口を右折して新宿通りに入ってくるクルマの例。その麹町口から新宿通りを横断しようとすると、やや距離がある分、右折車にとにかく出し抜かれる。スクランブル交差点になっていればどんなに気が楽か、と思わせるのがここ。

 ここも新宿通り。三宅坂方面から四ツ谷方面に向かう際の左折の例である。クルマが左折を始めてから横断歩道に差し掛かるまでの距離が長いため、歩行者が追い立てられることは少ない。

 ちなみにこれは、青山通りを跨ぐ歩道橋から赤坂見附交差点を撮ったもの。これくらいしっかりレーンが分かれていれば、左折渋滞も起こらないだろう、と思わせる一枚。(それにしてもタクシーの多いこと)

 赤信号でも左折可(ただし、直進や右折がないことを重々確認の上)にしてはどうか、という意見もあるようだが、信号ルールがなし崩しになる虞があるので、まず実現しないだろう。歩車分離式が増えてくれるのが何よりだが、クルマ優先社会が続く限り、そうそう切り替わっていくとは思えない。

 左折車、特に左拙車にはくれぐれも注意を要する。どのパターンの青でも、気を付けながら横断するに超したことはない、と改めて思う。

  • こちらもどうぞ ⇒ 横断歩道が出てくる話題

第36話 川口道路事情 / 第49話 事故連鎖 / 第139話 待ち時間考 / 第195話 自転車における「べからず集」 / 第238話 駅前といえば銀行?

 

第304話 LEDが眩しい(2010.5.1)

 部分的にLEDを紹介することはあっても、まとめて一話にすることはこれまでなかった。ここ何ヶ月かでとにかく目耳にすることが増えてきたので、季節性はあまりないが、今回はLED(Light Emitting Diode=発光ダイオード)ネタを一つ。


LEDの動向など

 次世代の照明として存在感を増しているLED。長寿命や省エネといったメリットが大きく伝えられながら、広く普及するのに年月を要したのは、発光効率(一定のエネルギーでどれだけの明るくできるかを表す指標、単位は lm/W)が蛍光ランプより劣っていたことなどが挙げられる。今では蛍光ランプの発光効率に相当する100 lm/WをLEDが上回り、2010年には150 lm/W、2020年には200 lm/Wに達する見込みであることから、今後は加速度的に普及していくことが予想される。

2010家電エコポイント制度〜LED電球がよりお求め易く 同じ明るさ(光束比)で考えた際、白熱灯の約300倍、蛍光灯の約21倍という価格の高さも普及の妨げになっていたが、徐々に値ごろ感が出てきた。4月からはエコポイントでLED電球と交換できるレートが有利になった(例:4,000円分のLED電球と交換する場合、3月31日以前は4,000点、4月1日からは2,000点で交換可)こともあり、家庭でもLED電球が広まっていくだろう。(普及率は不明だが、金額ベースではすでに5割とか?)

 環境省が進める「省エネ照明デザインモデル事業」でも、LEDを巧みに採り入れた事例が大半を占め、こうした事例以外にも新規の出店では、LED照明の導入が当たり前になってくるなど、事業者部門におけるLEDは今やトレンドと言っていい。商業施設、飲食店、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、消費者にとって身近な場所ほど、LED化は進んできている。近所に新しく店ができた時は、注意して見てみるといいだろう。

 駅や公共施設も例外ではない。目に付くところでは、行先表示のLED化、駅名標の照明をLEDに交換、といった取り組みがあるが、阪急京都線の摂津市駅(3/14開業)に至っては、オールLED駅舎というから驚きである。

 これまで照明の導入・調整に苦慮していた分野での貢献度も大きい。熱線や紫外線を出さない、虫が寄って来ない、低温に強い、といった利点から、光の熱に気を遣う場所(美術館、博物館、冷蔵品を扱う店舗、各種倉庫等)での照明、寒冷地の街灯、展示会やショールームのスポットライトなど、広く応用されつつある。

 寿命の長さ(白熱電球の40倍、蛍光灯の4〜5倍に当たる40,000時間まで点灯可能)、省エネ、つまり消費電力量の少なさ(例:交通信号灯の場合、従来電球式70Wに対して、LEDは12W)の2つの代表的な利点に加え、

頻繁に点灯・消灯を繰り返しても寿命に影響しない
さまざまな色を表現できる
小型化や薄型化が可能

 といったこともまた大きな特長とされる。一概には言えないが、落としても割れる心配がない、というのもあるようだ。

 いいことずくめのように思えるLEDだが、外に熱を出さない(照射する対象物は熱くならない)代わりに、内部では熱が蓄積することから、その熱をいかにうまく放散させるかが性能面に影響する点、注意を要する。実際に点灯中の電球に触れてみたら、器具自体は結構な熱を持っていることがわかった。迂闊に手にすると、「アチチ!」となる。

 また、適切な照明効果を得るには、取り付け器具の適性、色温度(K)、演色評価(Ra)といった要素も考慮する必要がある(→色温度等が載っている例載っていない例とされるが、その見極めが一般消費者には難しいといったことも課題だろう。白熱電球では気にしなくて済んだが、照明器具が調光式かそうでないかによって使い分けなければいけない。これもLED電球ならでは、と言えそうだ。

 急速なLEDの普及の影で、不要になった従来型の電球や電灯がどれだけ適正に処分されていくのかも気になるところ。そして、いくら長寿命でも、一定の期間が経てばLEDも用済みになることに変わりはない。大量に処分される時期が来ることを見越した動きがあってよさそうだが、どうなのだろう。

 LED照明の総合展示会である「LED Next Stage」の来場者登録の際、事前に質問できる設定があったので、試しにその辺りを尋ねてみたら、

弊社のLED蛍光灯では、ガラスを使っておりません。素材にはアルミとポリカーボネートを使用しております。
鉛や水銀などの有害物質も使っておりませんので、使用後は分解して、不燃ごみでOKです。

 といった返答をいただくにとどまった。業界としては、どのように考えているのかを知りたいところだが、特定非営利活動法人LED照明推進協議会のwebサイトにも特に見当たらない。不燃ごみでOKということで、果たしていいのだろうか?

 せめて素材別のリサイクル指針のようなものがあっていいと考える。循環型モデルが構築できるようなら、LED社会の展望はより明るくなるだろう。


最近目にした実例

 さて、実際にどの程度LEDを目の当たり(直に見ると本当に眩しいので要注意!)にできるかをいつもの調子(?)でまとめてみようと思う。下調べをある程度しないと遭遇できないが、そこそこ日常的になっていることはこれでおわかりいただけるだろう。(2010年撮影分、順不同)

 地元赤羽はスズラン通り(LaLaガーデン)にて。ボックス状の店名表示物の一面にLEDが取り付けられている。(点灯していないとわかりにくい) →詳細

 情報がないとまずわからないのがこうしたちょっとしたLED灯。りそな銀行のATM(@東十条商店街)の入口にて。→詳細

 第302話で紹介した馬場商店会(ばんば商店街)は、街灯をLED化。北区各所の商店街で同様に進行中だが、このように「LED」と明記してあるところはあまりない。せっかくLED化したのだから、このように見上げたくなる工夫があっていい。

*余談だが、『宮城県涌谷町と栗原市の商店街に設置されている街路灯の電球を3月下旬、LED電球に取り換えたところ、「テレビやラジオの受信障害が発生している」と町などに苦情が...』といった話も聞く。ここは大丈夫だろうか?

 サブウェイ(赤坂見附店)では、あくまで演出的に使っているとのこと。LEDの特性を活かすなら、サンドイッチの具材が並ぶおなじみのケースの照明に取り入れてもいいかも知れない。

 三菱自動車 本社ショールームでもLEDを採用。ただし、目立つのはHID照明の方なので、LED目当てで訪れると肩透かしに遭う。

 LED専門のショールームもあちこちにお目見えしているが、こうした専門店(→の方がオススメ。カラーバリエーションが豊富なのはこの展示見本からもわかる。

 太陽光とLEDを組み合わせたタイプも「日の目」を見るようになってきた。街角にこういうのがあると、つい見入ってしまう。

 他にも、こうした導入事例集があったり、比較的新しい商業施設ららぽーと豊洲ラゾーナ川崎プラザ など)は、この手の情報がmustになっているので、探し当てやすくなっている。

 で、かような情報を頼りに、過去の画像を探っていくと、チラホラ出てくるから面白い。知ってか知らずか、撮ってしまうのがLED。とにかく目に付くものであることは確かである。

 通称「アキバ・ブリッジ」の路面照明。この時は、単に青色が良かったので、撮ったまで。(LEDというのは承知していた筈だが、動機が異なる)

 車体は青だが、照明は通常のLED照明(→参考。これで青色LED照明だったら圧巻だが、違う世界になってしまうこと請け合い?

 東京駅とグラントウキョウ(ノースタワー)。このタワーの照明、LEDだそうな。(これだけ使うといくら省エネでも消費電力量が心配)

 このPDF情報によると、どれかしらはLEDということになるが、果たして?

 

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