随筆「東京モノローグ2009」(7−8月期)
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2009年7月22日 11時28分 何とか部分日食を撮影第286話 七月の空を仰ぐ〜日食と虹と

上中里駅下車すぐ、瀧野川女子学園は必見!第287話 緑被な建造物

6月13日、青山界隈で調べた傘のまとめ第284話 もったいなくない傘のあり方とは

量販店の店頭では圧力を受けることが多々...第285話 客商売における「べからず」五選〜「べからず集」part13

第287話 緑被な建造物(2009.8.15)

 おそらく秋や冬では気付かないのだろう。葉が茂る頃になったからこそ気付くのであって、一度気付くと意識付けがされるせいか、あそこもここもという具合に目に付き始める。

 日常的に利用する埼京線や山手線の車窓を眺めているうち、緑をまとった家屋や建物が飛び込んでくるようになったのである。かつてこの記事にあるように「緑のカーテン」について調べたことはあったが、それを凌駕するようなインパクトある装いのものばかり。カーテンどころではない。およそそんな名称とは無縁の緑が沿線には散在していたのだ。

 概ねツタを這わせたものが多く、それらはツタ屋敷という言い方もされるようだが、稀にゴミ屋敷と呼ばれる類と同一ということもあるので、あまり大っぴらに紹介できないのが悩ましいところ。加えて、乗り降りしやすい駅からほど近く、かつ車窓から見るのと同じような眺めで撮影できる建物となるとどうしても限られてしまう。動いている電車からの撮影はなかなか難しいこともあり、意気込んだ割には成果は乏しかったが、季節ネタ(?)としてお届けしようと思う。

*北は赤羽、西は東中野、概ね城北+新宿区といった範囲で調べた結果を北→南の順で紹介。

*個人宅の場合はあくまで駅間のみを紹介。個人商店については特定できる範囲で図示。(→参考用Googleマップ


より大きな地図で 緑被建造物 を表示

*新宿西口ロータリー、西武百貨店池袋店は、車窓からは見えません。あしからず。


  • 赤羽

 軒先にこれだけの藤棚を配する質屋というのはそうそうないと思う。(京浜東北線 南行で赤羽駅に着く手前、辛うじて見える位置)

 ホテルの背面がとにかく緑。隣接する建物も緑被(飛び火ならぬ飛び緑?)

 埼京線下り列車からよく望める。左は赤羽西交番、右は福寿司。(この近辺は他にも緑被家屋がチラホラ)

  • 十条

 単にツタがはびこっているだけのようにも見受けるが、インパクトはある。

 店名は「にんじん」だが、とにかく緑。(埼京線下り列車、十条駅に着く直前でお目にかかれる)

  • 上中里

 湘南新宿ライン、宇都宮線・高崎線からの方がよく見える。近くで見るととにかく圧倒される。

 瀧野川女子学園の向かいもこの通り。高架橋が緑に被われているのは時々見かけるが、ここはなかなか。

  • 池袋

 「緑のカーテン」は下から丈が伸びていくことで成り立つため、カーテンと呼びにくい面もあるが、ここ西武百貨店の垂れ緑(?)は正にカーテンの如し。どういう構造になっているのか気になるところだが、面としての緑が2つ、堂々と張り付いている。

  • 東中野

 駅東口にあるユニゾンモールも緑化がされているが、そこからまた新宿方面にちょっと進むと、緑をまとった建物が目に入る。(写真は中央・総武線各停(上り)から撮ったもの)

  • 新大久保

 壁面を覆う植物は朝顔だったことが最近判明。民家だが、緑の館とでも呼ぶべき威容を誇る。

 西武新宿線、埼京線、山手線、どれに乗っても目に留まる。ハングルの看板が出ているが、玄関に回って日本語表記を見てやっとその名称がわかった。「東京韓人長老教會」である。

 とあるコーポだが、見つけた時は息を呑んだ。家主の意気込みを感じる一軒。電車からは見えにくいかも知れない。

 駅ホームからも望むことができる。ベランダの緑化例としてこの新戸山ビルに比肩する建物はなかなかないと思う。

 これも西武新宿線、埼京線、山手線各線からバッチリ見える。(今回の調査のきっかけになったのがこれ) 西武新宿駅からも近いが、新大久保散策の際に撮った。奥には屋敷林もあるようだが、緑に埋没していて詳細不明。

  • 新宿

 こうして改めて見てみると化け物のよう。(^^;

 これは南側。穴の内部が緑被していないのは手入れの成果か、自然の作用か...

  • 五反田、大崎

 リビオ五反田〜〜という長々しい名称の建物だが、緑の長さはまだまだこれから、という感じ。どこまで伸びるか、今後が楽しみである。

 JR品川運転区の建物の一部だが、見事に真緑。山手線の緑の方が涼しげに見えてしまうのがまた何とも。

  • その他

 住宅展示場での緑化例(先例と比べると実に繊細な印象を受ける)

 緑のカーテンのちょっとした紹介例

 新宿コクーンタワーの裏手の通路でも緑化実験中

 これは人工的な緑を施した例(王子〜東十条で観賞可。とにかく大作なので見えるはず。)


 今回掲載できなかったが、車中から見かけたものとして、

《進行方向左:中央・総武線各停がベター》
・高円寺→阿佐ヶ谷(阿佐ヶ谷に着く手前)
・阿佐ヶ谷→荻窪(青梅街道の陸橋下)
・吉祥寺→三鷹(武蔵野市御殿山2丁目界隈:御殿山グリーンハウス他)

《進行方向右:山手線がベター》
・池袋→大塚(明治通りをくぐった先の高台)

《進行方向左:京浜東北線がベター》
・王子→上中里(宇都宮・高崎線が離れた後に出てくる千明社の社屋)
・田町→浜松町(芝四丁目交差点付近)

 などがある。原宿〜代々木〜信濃町のエリアもちょこちょこ見かけたので機会があれば改めて、と思う。(坂道の上り下りがネックだが)

 近づいてよくよく見るとかえって暑苦しくなる可能性はあるが、通り過ぎる風景としてなら一服の涼になるだろう。この時期だからこそできる車窓風景の観賞ネタ、皆さんもぜひ(上記以外にも)探してもらえればと思う。

  • こちらもどうぞ ⇒ 「続 東京百景」(BETA version)から「緑がどこかしらに写っている」編

#025 在りし日の文化学院(2006.03.27) / #034 道玄坂レトロ(2007.04.26) / #035 雨上がりの線路(牛込橋にて)(2007.04.28) / #038 表参道の新緑(2007.05.08) / #039 六本木一丁目駅下車すぐ(2004.05.14) / #053 雨の昼下がり(代々木公園)(2007.07.14) / #055 英国大使館脇の緑道(2004.07.26) / #059 暮れなずむ新小岩公園(2006.08.08)

 

第286話 七月の空を仰ぐ(2009.8.1)

 夏休みに入ってからは戻り梅雨?と疑われもしたが、何だかんだで関東地方は晴れ続き。この7月、全国的には日照時間8割以下、降水量1.5倍以上、ということだし、局地的には豪雨禍もあったりで、あまり夏空に恵まれていないようではあるが、東京にいる限りにおいては、とにかく見上げれば夏の空!という日々が続いている。

 それ故、皆既日食フィーバーに沸いた7月22日のあの天気は何だったのか、ということになるのだが、皆既も怪奇も日食のうち、と考えれば諦めもつく。いや、そもそも拝めればラッキーくらいに構えておけばいい話なのだ。

 で、当日はどうだったのかと言うと、ご存じの通り辛うじて太陽が顔をのぞかせた時間帯があった。雲が薄れた部分から現れたため、部分的な部分日食と言ったところ。11時半前後のことである。

左はNHKによる屋久島のまったり映像|右は暗くなった瞬間を捉えたTBSの迫真映像 奄美大島にあるダイエーとwebカメラ経由で各店と中継する催しがあるというので、筆者も地元店舗に出向き、中継映像を見物したりはしたが、PCと液晶テレビをつないで、つまりWindows Media Playerを使っての映像だった上に、皆既日食の正にその瞬間に断線?という有様ですっかり拍子抜け。皆既になったのはわからなくもなかったが、大島店では結局どこまで観望できたのが不明なままにその催しは11時には終了。並行して店頭の大型テレビで各局の中継を見させてもらってはいたが、やはり生の日食を見るのが一番と思い至り、外へ。部分日食最大の瞬間を、と意気込んだのだったが... 太陽は雲に隠れたままだし、予定時刻(11時12分)になったところで別に暗くなることもない。ただ呆然とその時を迎えるばかりだった。おとなしく各地の中継番組でも見ていた方がよかった?と思うも時々空を見上げていたのが幸いする。日食は日食。しかもこのようにそれなりに撮影できたとなれば言うことなしである。

クリックすると大判(2048*1536)でご覧になれます

 当初の落胆が大きかった分、この瞬間の喜びは感動に近かった。これこそ「快喜日食」である。(全くの余談だが、かつて「日食」と称していた日本食堂は、今は日本レストランエンタプライズ(NRE)。改称していなければ、「日食弁当」が出せ、大いに盛り上がったことだろうと思う。丸く切った海苔を梅干の上に置けばバッチリである。)

 さて、「続 東京百景」の方でも何かと空ネタを出してはいるが、当の「東京モノローグ」では空に特化して書くことは稀。日食の件以来、何かと空を撮る機会が増えたこともあり、今回はせっかくなので何枚か(東京百景とは別に)空の写真をご紹介しようと思う。


  • 7/24:猿江恩賜公園

 別件(→参考記事でケナフの事情を調べていて、その栽培地巡りをする中で撮ったのがこれ。ここ猿江恩賜公園は毛利小学校と隣接しているが、同校の小学生(5年生)が公園の一隅でケナフを育てているというので探しに来たのだったが... (7月17日に種まきしたばかり(→参考)ということで、あいにくお目にかかれず。)

 →同公園には小学校専用の「毛利農園」が設けられている。(ケナフもここ?)

  • 7/27:府中市南町(分倍河原から南へ1.5km)

 有力な情報を得て、今度こそとやって来た「ケナフ草試験栽培地」一帯の写真。毛利小では種を蒔いた頃合なので、すでに収穫してしまったとも思えず...(実はこっちも種まき直後?) 空は撮れても「空振り」という記念の一枚である。(^^;

  • 7/27:二重の虹

 分倍河原にいた時分から雲行きは怪しかったが、何とか降られずに帰宅できた。土砂降りになった後、外が明るくなっていたのでちょっと出てみたらこの通り。虹の写真ではこういうのは撮ったが、二重に架かるのは初。(せっかく撮ったので、大判のまま載せます。クリックしてじっくりご観賞ください。)

 ちなみに、虹が出る前の西の空はこんな感じ(左下)。右上のやたら紅いのは昨年(2008年)の同日の空。この日は雷雨に見舞われたが、雨が上がったらみるみる変色してここまで紅くなってしまった。正に「仰天」である。

  • 7/30:左は北区、右は足立区

 次作小説の舞台としてこの界隈はどうだろう?ということで、下見がてら自転車を走らせた際に撮影。蛇行しているのは隅田川でこのグネグネはそのまま区界を為している。(ただし、撮影している場所は北区になる。実に複雑!) 上空までの距離はあるにせよ、川の流れに沿うように雲が並んでいるのがポイント。

  • 7/23:新大久保の空

 遡るが実はこの日もケナフ探しの一環で新大久保に。戸山小学校の児童が山手線脇の空き地でケナフを栽培しているとの情報に従い、付近を探し回ったのだが... ケナフのグリーンにはお目にかかれなかったが、山手線のグリーンはこの通り。空の青、雲の白と妙にマッチする緑色だと思う。百景に入れても良さそうな一枚。(なお、モノローグ用の新ネタをこれとは別に撮ってある。何が出てくるかはお楽しみに。)(^^)


 日食や虹はそうそう見られるものではないが、そうしたイベントがなくても空は常々仰ぎたいものだと今改めて思う。

 八月はどんな空模様が待っているだろうか。

  • こちらもどうぞ ⇒ 「続 東京百景」(BETA version)から「空が大きく写っている」編

#001 東京ビッグサイトからお台場方面(2007.12.15) / #006 品川駅西口(2005.01.09) / #009 葛西の東なぎさ(2007.01.18) / #015 北とぴあから南西を望む(2004.02.06) / #021 日暮れ時の日暮里(2007.03.08) / #022 春の城南島(つばさ浜)(2008.03.08) / #023 新河岸川とその先の隅田川(2006.03.17) / #026 千代田図書館の窓から(2008.03.29) / #030 タイムズスクエアと夜空(2006.04.14) / #033 東京タワー 17時(2005.04.21) / #036 墨田区と中央区の境(隅田川)(2006.05.01) / 037 横羽線と大師橋(2008.05.01) / #040 東急大井町線と西空(2007.05.19) / #045 山手通りは工事中(2007.06.11) / #048 品川区役所 屋上ビュー(2008.06.23) / #050 吾妻橋とアサヒビール(2005.06.28) / #051 大久保、夕雲(2007.07.11) / #052 明石町から浜離宮へ(2003.07.12) / #054 右も左も麹町三丁目(2008.07.17) / #057 サンシャイン×サンシャイン(2008.07.28)

*2009年7月までの掲載分からのピックアップです。(#058以降は今後掲載)

 

第285話 客商売における「べからず」五選(2009.7.15)

 今回の「べからず集」は、業種横断的に「客商売におけるべからず」。と言っても、店員のちょっとした不注意や不行き届きをどうこう言うつもりはなく、よりタチの悪い例を挙げたいと思う。店や会社の都合が露骨、または意地の悪さ(意図的・作為的)が目立つ、そんな例である。

 で、具体例を並べてみたところ、いくつかの傾向・類型があるらしいことがわかった。集約するなら5つ。これまではワースト10方式だったので変則的ではあるが、この方が直感的でわかりやすいと思われる。(どれも似たり寄ったりなのでランク付けはなし)


圧力

 競争が激しいので、落ち着いて考えることができないのだろう。量販店の店頭で日々ワイワイガヤガヤやっているのが、ネットブック+データカード系通信業者の類であるが、ここの店員の無為・無思慮ぶりは目に余るものがある。デモ用・お試し用で置いてあるはずのネットブックだが、これを使わせたいのかそうでないのかがまずよくわからない。

 Yahoo!の画面が開いているPCがあるとする。その前に立って、何となく操作を始める。するとどこからともなく説明員が現れて、圧をかけてくるのだ。通信速度がとりあえず速いとされている「イー某」は、試す間もなく声をかけてくるケースが多く、第一声は大概「速いですよね」と来る。こっちはろくに動かしていないので「わかりません」と答えるしかないのだが、思うにこれは単なる妨害? そう邪推したくもなるのである。(同じ速いでも店員の速さは客として求めるところに非ず) 店によっては説明員が何人もいてウロウロしているのを見かけるが、あまりに非効率。誰か一人が離れたところからデモPCの様子を見て、例えば2分経ったくらいで声かけするとかすれば済む話ではないだろうか。(「今、試してますので...」を3人の店員に対して伝え、待ってもらったこともある。) そんなこんなで最近はすっかり懲りてしまったので、イー某についてはそれらしき人物が近づくとすかさず立ち去るのを心得としている。声かけしないと仕事にならない、というのはわかる。悪質な客がいて、こういう対応にならざるを得ないというのもわからなくはない。それでも、そのタイミングや話の切り出し方がどうにも好かないのだ。圧力をかけるような態度はどうかと思う。

(参考)別の業者ではこういうことがあった。(→今では改善済み)

2009/2/11筆者問合せ

2009/2/12業者回答

通路に設置された「お試しコーナー」(試用しにくくするための便法か)

・データカードを使ったインターネット接続のお試しを店頭でよくやってらっしゃるので、他社サービス(特にネットブック)との比較の意味でその操作性や速度を時々試させてもらっています。

・本日2/11の15時過ぎ、△△店1Fの同コーナーがたまたま空いていたので、特定のページから特定のクリックをいくつか試し、そのアクセス時間を調べていたら、店員さんが近づいてきて「データカードのご説明を...」とのことだったので、「あとでいいです」(つまり操作を試した後で説明を求めたい)と返事しましたら、「ここは通路」「プライベートでの使用の場合、他のお客のジャマ」と強い調子で言うので、ビックリさせられました。

・いつもなら時計を片手に、検証していることがわかるようにしているのですが、今日は通路の出入りが激しく、こちらも気を遣って邪魔にならないように態勢を変えたりしていたので、それができず、店員さんに誤解を与えてしまったようです。

・いずれにしても十分な確認もないまま「プライベート」云々と断じた上、人を「ジャマ」呼ばわりする態度は承服しかねます。こちらもその場で抗議させていただき、然るべき陳謝も受けましたが、今後同じようにイヤな思いをするお客が出ないために、以下の提案をさせていただきます。ご参考までにお取り計らいください。

1.通路の妨げになる場所にお試しコーナーを設けない

2.メールやチャットなどプライベートで使う客が出るのを防ぐため、PC周りにことわり書きを付しておく(あるいは、コーナーの趣旨を明示する)

3.それが難しいようなら、いっそこうしたコーナーは設けない

・通勤途中で通ることがあるため、本店は時々立ち寄りますが、他の日時だと店員さんが同コーナーに張り付いていて、ある時などYoutubeで動画を楽しんでおられるようでした。(今日もYoutubeは開いた状態) 動画が見られる環境というのをPRするため、と解釈したいところですが、単に店員の娯楽用として置いてあるのであれば考え物ですし、まして客が試しに使うのを拒んでいるのだとすればなおさら問題だと思います。(今日の一件は「店員は使ってもいいが客はダメ」と言っているようなものです。)

・とにかく貴社の同サービスは使う気がなくなりました。毅然とした対応は感心しますが、売場での対応はより慎重を期したいものです。重々お気を付けいただくことを切望します。

 ○○ショップでは、お客様の立場に立った、正確かつ迅速で明朗な対応を心がけておりますが、この度は、○○ショップ△△店および店員の対応について、ご指摘をいただく次第となり、大変申し訳なく存じます。

 この度お客様よりいただいた、○○ショップ△△店のにお試しコーナーの設定状況などや店員の対応については、担当部署へ報告を行い、教育・指導を一層強化してまいる所存でございます。

 お客様には、ご不快な思いをおかけし誠に恐縮でございますが、弊社といたしましては、お客様にご満足いただけるよう、カスタマーサービスの向上ならびサービスの提供に努めてまいりますので、今後とも○○をよろしくお願い申し上げます。

 

この2業者については、比較的緩やかに試させてもらうことが可能(通信速度もまぁまぁ)

専断(=店都合)

 これはどの店でも共通、つまり会社方針と思われるので店名を明かそうと思う。ワンコインランチでおなじみ「さくら水産」である。ご飯などのおかわり自由もあり、それなりに満腹になるため、500円相当のサービスというのはこういうもの、と妥協すればいい話ではあるのだが、神保町でも本郷三丁目でも市ヶ谷でも半蔵門でもとにかくどのさくら水産に行っても必ず「こちらの席で」と強要されてしまうのはいかがなものかと思う。

 ランチタイムは14時までだが、時間までに入店すればある程度はいられる。それでも時間前からそこここと片付けは始まり、落ち着かないのが常。片付けを進めやすくするには客を一定のエリアに固めておくのが得策な訳だが、それはあくまで店側の論理。とにかくどんなに空いていても、客を分散させることなくひたすら集中させるのだ。一人客=カウンター、というのはある程度はわかるが、遅くに来た一人客を次々と狭いカウンターに押し込んでいくような捌き方はいただけない。まして、その卓に「ご自由にどうぞ」の品々(卵、海苔、ふりかけetc.)がなかった時には「何のための集中か!」と一喝したくもなるのである。

 挨拶の励行も他店より秀でているし、接客態度が総じて悪くないだけにこの「着席指示」がどうにもやりきれなかったりする。

軽視・軽侮

  • ファストフード店において一列待機でない店は多々あるが、公平を期すべき工夫というのがあって、概ね「お先にお待ちのお客様」と声かけすることで何とかなっている。ところがMで始まるおなじみ某店ではこの声かけがなされないことがあり、筆者は時に割を食う。客への目配り・気配りができていないことを示す一例だろう。

  • デパ地下を歩いていると、試飲や試食を勧めるのに出くわす。ところがターゲット客とそうでないのを選別しているらしく、筆者などはこれがなかなかありつけない。この意味するところは何か? プロの勘のようなものがあるにせよ、選別とは即ちどの客も軽視している、ということではないだろうか。

  • 池袋東口にある「宮城ふるさとプラザ」は、入ってすぐのところでよく大盤振る舞いをやっているが、ここも例外ではない。しっかり目を見て呼吸を合わせているのに渡さない店員がいるのである。よほど問い質してやろうかとも思ったが、どうということはない。行かなければいい、ただそれだけのことである。

 →今は「試飲会」実施中。(試食でなければ大丈夫?)

  • 分煙が不完全なのに、堂々と禁煙席を語る店はまだまだ多い。特にファミリーレストランでは曖昧な店ばかりなので、まずは自分で煙から遠い席をしっかり見定めてから入店するようにしている。きちんと仕切るのが難しいのはわかる。ならばせめて表現を変えてはどうだろう。煙の近くはズバリ「弱煙席」。禁煙席とは区別してほしいものだ。

  • さて、客軽視の最たるものはやはり「挨拶なし」だろう。某クイックメニュー業態店では示し合わせたように挨拶不励行(または無礼講?)が続いたので、さすがに投書することにした。そのやりとりは以下の通りである。

2006/6/9筆者問合せ

2006/6/13業者回答

 □□店に限らず、●屋はどこの店舗に行っても、挨拶がきちんとできていない印象が強いです。入店時はまだしも、店を出る際の「ありがとうございました」はまず聞くことがありません。(出る際に声がかかるのは、概ね10回中、1回程度。□□店でまた記録を更新し、ここ6〜7回連続で挨拶なし。)

 いそがしいのかも知れないですが、客の出入りに関心が向かない・目線を向けない、というのは接客業における基本ができていないのと同じであり、お客に対して不敬千万。総合的なサービスの質も当然落ちてきます。入店時の挨拶すら散漫なところは、概して店内の清掃状況やカウンター備品の手入れもだらしないことが多く、「まぁそんなもの...」と諦めています。せめて、挨拶はしっかり励行して、印象を良くしてほしいものだと思います。(より良質なクイックメニュー業態店は他にいくらでもあるのですから。)

 平素は●屋をご利用いただき厚く御礼申し上げます。この度はメールによる貴重なご意見ご感想をありがとうございました。

 はじめに、従業員の教育不足により、ご不快な念を生じさせてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。

 早速ご指摘を頂戴いたしました□□店へは、店舗責任者をつうじまして、同様のご指摘を頂戴することの無いよう、お客様より頂戴致しました貴重なご指摘を、今後の店舗指導に活用させて頂きます。

 多々至らぬ点はございますが、お客様のご期待に副えるよう努力してまいる所存でおりますので、今後とも変わらぬご愛顧と、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 この後しばらくはどの●屋に行っても店を出る際の「ありがとうございました」が聞かれるようになった。投書が少なからず貢献したものと思いたいが、はたして?

制限・制約

 クーポンの類は時にトラブルのもとになる。決して間違った使い方をしている覚えはないのだが、難癖を付けてクーポンを反故にしようとする店が少なからずある。こちらも傾向がわかってきたので最近は遭遇しなくなったが、かつては、@「ランチタイムは除く」と書いていないのに適用外にしようとした、Aドリンクサービスの適用例を予め聞いて頼んだのに、会計時にそのドリンクは別と言い出した、B予約時にクーポン利用の旨を伝えたのに、当日になったら予約したコースに最初から特典が含まれているとか言い出してサービスをゼロにしようとした、というのがあった。クーポンを使う客はとにかくその店をめざしてくる訳だから考え方によっては上客である。それを無下に扱おうというのだからいい度胸である。

*案の定、潰れてしまった店もあるが、しぶとくやっている店もある。Aでひと悶着あった例としては、ここ、Bはここを指す。くれぐれもご注意を。

 悩ましいのは、アリオ川口の例だろう。併設する映画館にて「映画サービスデー」など特定の日に鑑賞し、その日の半券を協賛店舗に提示すると各種特典が受けられるという「シネマ・デ・ラッキー」という設定があるが、これがとにかく使えない。2008年9月1日はフードコートの某店で渋る店員と交渉して何とかドリンク一杯を勝ち得たが、よくよく考えると「なぜ客が交渉しないとサービスを受けられないのか」に尽きる。去る7月1日は「モールのセール期間中(今回は6月24日〜7月20日)ならびに土曜・日曜・祝日の場合は、映画の割り引き以外の特典は行わない企画」ということで今度はアウト。店内ではさんざん「シネマ・デ・ラッキー」のリーフレットが配られていたので、事情がわからないと痛い目に合う。ホームページなどで事前にしっかりチェックしてから臨むことを強く推奨したい。

 →ホームページの「What's New」には確かに出ているが、店内ではここまで明示されてはいなかった。

欺瞞・偽装

 会計後のレシートを見てびっくりすることがままある。最もひどかったのは「いろはにほへと」青山学院前店(とうの昔に閉店)だろう。青山在勤のある日、大勢で打上げをやった際にそれは起こった。クーポン&会計担当だった筆者は頼んでいない品が飄々とレシートに打ってあることをその場で発見。クーポンによるサービスを払拭してあまりあるその粉飾会計にさすがに頭に来て、過剰請求分を即刻返金させたのだった。

 外食においては何かとリスクがつきまとうが、見本と明らかに異なるのが出てくるのは如何ともしがたい。顕著なのはこの「万博カレー」の一件だろう。

 欺と偽の2つのギ、さらに付け加えるべきは「疑」か。3つ合わせてギギギ。おそらくこの手の事例が最も多そうだが、今日のところはこの辺で。


 結局のところ、食ネタ中心になってしまったが、この5つの「べからず」は他業種にも通じるところ大だと思う。あまりに理不尽な待遇だった場合は遠慮は要らない。特にホームページを持つ相応の企業の場合は、ホームページ中「問合せ」(フォームメール等)を探し出し、一筆投じるに限る。この時、@できる限り細かく(5W1H等)事実を書くとともに、A建設的な提案をふまえつつ、B回答を引き出しやすいような書き方で、が望ましい。(かく云う筆者は、年に5回はこのパターンで「問合せ」している。店のため、他のお客のため、と心しているつもりだが、どうだろう。)

*次回の「べからず集」は15話間隔を保つとズバリ第300話に当たりますが、「続 東京百景」をかねてから予定しているのでシフトします。(気が変わらなければ、第315話あたり?)

  • こちらもどうぞ ⇒ 関連する話題いろいろ

第29話 消費税還元 / 第70話 行列のできる店 / 第114話 禁煙席 / 第136話 試食生活 / 第139話 待ち時間考 / 第175話 新札と両替機 / 第181話 手荷物への配慮 / 第188話 アンケートハガキ等 考察評価 / 第203話 グランドステージと東横イン / 第220話 回転寿司店頭にて / 第234話 車内で買えない?京急バス一日乗車券 / 第257話 外食におけるアップダウン

 

第284話 もったいなくない傘のあり方とは(2009.7.1)

 関東地方の梅雨入りが発表されたのは6月10日。平年より2日遅かったそうだが、その翌日の11日は傘の日だそうだから、雨と傘の動きがうまくつながった観がある。入梅後は晴天が続いたりもしたが、六月半ばからようやく雨本番になり、報道等でも傘ネタをよく見かけた。景気の方の雨降りは困るが、雨を歓迎する業界や関係者というのがある。その動きがとにかく目立ったのは偶然ではないと思う。

 売るための傘というのが勿論多い訳だが、テーマとして「エコ」が前面に出ているのが今年の特徴か。売るための便法として用いている風もあるが、具体的な環境行動と結び付けている例もあり、さまざまだ。その主だった例を筆者なりに整理したのが次の3つである。

  1. 1.要らなくなった通常の傘を集め、リサイクル(再使用ではなく再利用)する

  2. 2.使われなくなったビニール傘を集め、リユース(再使用)に供する

  3. 3.良質な傘を販売し長く使ってもらう

 3Rの優先順位とは逆順になるが、それぞれご紹介する。


1.リサイクル

 横浜島屋では、いわゆるビニール傘ではない通常の傘を店内で回収する取り組みを行っていたそうだ。(〜6月23日。一人5本まで。) 傘は複数の素材でできているため、処分時に分別するのは難しい。それを店が肩代わりしよう、という試みである。分解して金属や布地などを再利用するのだと言う。(開国博覧会(Y150)開催中ではあるが、横浜へはそう易々と出られるものではないのであくまで伝聞。)

新宿タカシマヤでの「傘パラダイス」 ただし、同店では「傘パラダイス」と称する催しも開いており、こちらは販売目的。「雨の日も晴れの日も楽しく!」をテーマに、雨晴兼用傘の他、機能性(両手が使える、視界が隠れない等)や環境負荷を考慮した傘などを売っている。(島屋共通、ただし回収は横浜店のみ) 他の百貨店でも同様に、アイデア傘などを扱うイベントが開かれている(今となっては過去形か)。


2.リユース

 逆にビニール傘を専門で集める取り組みもある。都内での代表格は「シブカサ」だろう。東京・渋谷区(+港区のごく一部)に限られるが、渋谷の傘ということで「シブカサ」。提携店のカフェや本屋などがビニール傘を置き、不意の雨の時にその場で無料で貸し出す。言わば街ぐるみのレンタル傘(一応、雨がやんだら提携店に返却するのが条件)である。借りた後で返しに行くと渋谷の地域通貨「アースデイマネー」(50円相当)がもらえ、提携店で割引券として使うことができるため、借りれば借りる程おトクになるような仕掛けになっている。(ただし、アースデイマネー提携店の全てでシブカサを扱っている訳ではない。両者のホームページで提携店リストを見比べる必要があるのがネックか。)

 「データに基づく算出をすると、例えば渋谷区で雨が降ると、1日で1,000本以上の傘が購入されている計算」ということで、一時的に使われて用済みになってしまう本数もまた膨大。傘を循環させる、少しでも長く使ってもらう、というのがシブカサの趣旨である。

取材されることが多いシブカサ(デモンストレーション?の様子) 毎度おなじみ地球環境パートナーシッププラザで現物を見、実際に使い、と試しはしたが、他の提携店ではどうなのだろうという素朴な疑問から、渋谷駅周辺と青山学院大学界隈での状況を調べてみることにした。渋谷駅から行きやすかったのは渋谷一丁目の数軒。ただ、パウダールームやネイルサロンなど何故か男性が近寄りがたい店が占め調査不能。代わって青学側、主に渋谷二丁目についてはカフェやレストランが中心で、いずれも店頭で見ることができた。夕方から開く店については不明だが、仕組みとして成り立っていることは概ねわかった。(貸し借りの頻度は不明だが...)

渋谷一丁目にあるカフェの入口でもシブカサ(推定)発見 シブカサはオシャレ感覚がウリ。従って、これを自分の傘として使いたいという人が出ないとも限らず、返ってこないことには空転してしまうことも考えられる。しっかり循環させるためにはもうひと工夫必要かも知れない。(ICチップや小型発信機を付けるとか?)(^^;


3.長期使用

 再使用も大切だが、しっかりした傘を長く使うことも大事。毎日新聞社と伊藤忠商事が推進していることでおなじみの「MOTTAINAIキャンペーン」では、今回「傘プロジェクト」を実施中で、一つはシブカサと連携したビニール傘の回収、もう一つは「MOTTAINAI傘」(マイ傘)の販売を掲げている。

 日本の傘の年間推定消費量は約1億3000万本だそうで、その大半がビニール傘だと言う(日本洋傘振興協議会推定・・・9割という説もある)。傘を安易に消費しないため、マイ傘を広めるのがこのプロジェクトの狙いだそうだが、タレントやアーティストらがデザインしたその10種類のマイ傘は、8,400円または12,600円とかなり高価。植林活動への寄付金も含まれるというが、買うのが「もったいない」と思われてしまう可能性は否めない。(ネットショップ上に素材などの詳細情報は出ているが、再生材使用といった記載は特にないようで、環境配慮の程は不明。修理や交換のしやすさも気になるところだが見当たらない。)

 価格を高めにすることで、より大事に使ってくれる(置き忘れ防止も)というのを期待しているのであれば上々だが、単に「スタイリッシュなエコ」を提案するため、ということならどうかと思う。新聞社と商社がやることは所詮そんなもの? 多少カッコ悪くても共感できる取り組みを!と望みたいところだが、今から路線変更するとなるとそれこそもったいない、か。賛否を含め、傘のあり方を考えることにはなるので、その点では有意義なプロジェクトと言えるだろう。

←MOTTAINAI傘のパンフレット|シブカサを寄付した時にもらった種つきシオリ→ 余談だが、シブカサには本部事務所がないため、いわゆるビニール傘を寄付しようとすると普段はひと手間かかる。ところが、このキャンペーンイベント中はその場で受け付けてくれるというんだからこれを逃す手はない。先のMOTTAINAI傘の展覧会場でもあるスパイラルにて、ヨレヨレの一本を手渡す。これを105円相当とすると、高額MOTTAINAI傘1本に対し、実に120本分になる。この格差からして、どっちがもったいなくないのかがよくわからなくなるが、寄付するともらえる「種つきしおり」にしてやられ「まぁいいか」状態。これまたスタイリッシュな一品だが、このしおり、本当に環境配慮になるのかどうか...

 せっかくなので気になる件を一つ問うてみた。「壊れたビニール傘を修理してシブカサに、ってのは?」 シブカサデビュー時のコンセプトはその辺だったような気がしていたので訊ねてみたのだが、使える状態の傘が大量に出るところに着目した取り組み(つまり修理はなし)、とのことだった。大雨や大風の後でよく見かけるのは壊れたビニール傘である。何とか救われる仕掛けがあれば、と思うのは筆者だけではないだろう。

 シブカサが扱うのはビニール傘。ビニールとは一般的にはPVC(塩ビ)である。百円均一ショップの類では塩ビ製が幅を利かせているが、EVA(エチレン酢酸ビニル:ethylene vinyl acetate)傘も出ているようで、同じビニールでも種類があることがわかった。

 コンビニではどうかと言うと、こっちはAPO(非晶質ポリオレフィン:Amorphous Polyolefin)傘が主流のよう。渋谷一丁目のセブンイレブンではズラリとAPOの刻印入りが並び、圧巻。セブカサと称したくもなるが、これが寄付されるとシブカサになってしまうところがポイントである。要するにPVCでもEVAでもAPOでも、この手の形状の傘であればシブカサになれる、という訳だ。

 → 6月13日のまとめ...シブカサ、コンビニ傘、MOTTAINAI傘


 さて、1.2.3.の他に忘れてはいけない大事な取り組みがある。それは「壊れた傘を修理して長く使う」だ。シブカサにしても集めているのは壊れていない傘。あくまで使える状態のものをしっかり再使用するというのがテーマなのである。直すのには費用も手間もかかる(新品を買う方が安い)ため、というのが決まり文句だが、そこを何とかするのがMOTTAINAIの精神ではないだろうか。(すでに持っている傘をまず見直す。その上で傘を新たに買う必要が出てきたら、適切な価格、素材等の情報がしっかりしている、壊れにくい(または直しやすい)、といった点を考慮するのが望ましい、と考える。)

 ところで傘の修理が可能な店というのはすぐに見つかるのだろうか。「エコー広場館」では一応受け付けているようだが、その手の業者も調べたところ、Riat!というのがヒットした。どんな感じで営業しているのかを探るべく、店舗一覧から傘修理実施店を見定め、川口のララガーデンにある一店に行ってみることにした。あいにく店頭に傘云々とは出ていなかったが、店内には学童用の黄色い傘が保管してあったので、やってなくはないことはわかった。あまり一般的ではないかも知れないが、利用できるなら利用したいサービスだと思う。

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第46話 メンテナンス / 第210話 べからず集「傘」 / 第229話 Let's リサーチ 自動販売機 / 第241話 「漂着モノログ」スタート!

 


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