随筆「東京モノローグ2004」(7−8月期)
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第167話 自動改札破り / 第166話 団扇コレクション / 第165話 エレベーターでの「べからず集」〜「べからず集」part7 / 第164話 「ちょっと待てよ、と思うこと」2004

第167話 自動改札破り(2004.8.15)

 改札を通る。改札付近で待ち合わせする。日常的に駅を利用している以上、改札も日常の一部。それだけ改札でのハプニングやトラブルを目にする機会も多いが、特に目立つようになってきたと感じるのが、明らかな不正行為「強行突破」「改札破り」である。

 有人改札では特に混雑時の定期券客については見逃すことも多かっただろうから、自動改札によって定期券客をより確実に捌けるようにはなったはず。だが、自動改札(改札の無人化)によって新たな逆効果がもたらされてしまった。職務上、制止する人間がいないと、そのスキを突く輩が必ず現れる。周りも注意すべきなのだろうが、一瞬の出来事なのでお手上げである。

 ひどかったのは、カバーを開けて、わざとランプを鳴らして平然と通ってしまったという例。カバーが簡単に開いてしまうのも問題だが、そんな甘い実態を知る者による、意表を突く巧妙な行為。目撃者はただ呆然とするしかなかった。

 突破客は老いも若きも問わず、一見タチの悪そうなのは大概やってのける。(雰囲気でわかる。) 総じて、不届き者は男性に多いが、カップルの改札破りも時折見かける。何とも始末が悪い。

 もちろん、悪意の客ばかりでもなく、JRを例に挙げるなら、

  1. 正規の定期券なのにSuicaの感度が悪いばかりに、結果的に強行突破になってしまった。(利用者としても「自動改札機の通り方」といった解説をきちんと読んでおくべきか。)

  2. 前の人の磁気定期券が出てくるのが遅く、後続のSuica定期券が感知されなかった。(ランプが鳴った時には、すでに改札通過済み。)

  3. 切符が巻き込まれてしまったが、先を急ぐのでそのまま出てしまった。

  4. 複数枚の切符を同時に処理できない改札の場合、指定席券の方を間違えて入れてしまい(つまり、乗車券+特急券を入れ損なった)、ランプが鳴ったものの、面倒なのでそのまま通過。

 などが挙げられる。こうした当人の本意でない強行突破については、鉄道会社側に善処が求められるところ。4.の切符の入れ間違いは、団体のご年配客が多い熱海駅でよく見かける例だが、在来線の自動改札ではどの切符をに通すのか、切符本体に大書しておけば防げるだろう、と思われる。(新幹線の自動改札は複数枚処理が当たり前になっているが、これに慣れている客だと、在来線改札でもつい2枚まとめて通してしまったりする。熱海ではそんな例も多いようだ。) 団体客を捌くのに、いちいち切符が詰まってしまっては、自動改札の意味がなかろう。

 さて、ラッシュ時の強行突破はどんな頻度だろう。普通の平日に調べる方が、より実態を反映できると思われるが、通行量の多さ故、赤ランプが鳴るのは探知できても、悪意の突破かどうかまでは見極められないだろう。(筆者が改札通行の妨げになってしまうのも不本意だし。) という訳で、お盆の時期(世間が夏休みの平日)に調べることにし、8月12日(木)・13日(金)、2度にわたり現場に足を運んだ。初日は池袋。2日目は新宿。JR2大乗降駅での調査である。(「乗車人員ベスト100」によると、2003年度における一日平均は、1位 新宿:746,293人、2位 池袋:565,940人。ちなみに大阪は渋谷と同じくらいの3位級で約40万人。)

 一応、平日の朝なのだが、案の定、車内はゆったり。いつもなら赤羽でギュウギュウになる新木場行きも、新聞を広げて読める程度の楽々状態だった。

 改札を通る人の数を調べ、そのうち何人が改札を突破するかを調べる。100円ショップでついに手に入れることに成功した計数器具「カウント君」(何とも安易なネーミングだが、重宝物)を手に、スタートである。(交通量調査の人の苦労を知るいい機会になった。動体視力も上がったかも?)


  • 8月12日(木) 8:36〜8:56の約20分間

JR池袋駅 中央口改札のOUTレーン
(隣に有人改札なし。)

出札者数:1571人 ±10人

 赤ランプが鳴ったのは10件程度。そのうち、強行突破は2件。1件は遮断部を飛び越えてダッシュ。1件は乗り越し切符がエラーになって、そのまま突破。(いずれも若者。飛び越えは男性。乗り越し突破は女性。)

 20分間の計数後もしばらく様子を見ていたら、9:02に男2人1組による連れ添い突破を目撃。いかにもタチの悪そうな若い連中だった。

 Suicaで引っかかる人はやはり多く、その度に流れが止まるため、通行数を計る際の思わぬ障害になる。あくまで通過に成功した人だけに絞って、出口に視線を固定してカチカチやることにした。それでも、この夏休み時期、サンシャインシティ目当てと見られる早くからの親子連れなんかも多いものだから、こどもによるトラブルも頻発。親御さんが出場しかけて、また戻ってなんてのがあると、忽ち計数がブレる。複数のレーンで赤ランプが相次いだ時には、どの人まで数えたかが途端にわからなくなってしまう。なかなか難儀である。

 人の流れや速さはレーンごとにかなり差が出ることもわかった。4秒かけて通過するお年寄りの傍らで、1秒ちょっとですり抜けていく若手サラリーマンがいる。当然、カチカチもバラつきが出てくる。てな訳で、誤差は10人前後と算出。10人どころでは済まないかも知れないが、あくまで概数調査ということで。まぁ閑散期の平日朝と言ってもやはり池袋だけに、その人数の多さはさすが。特に埼京線と山手線が同じタイミングで到着したりすると、改札を通過する人は膨大な数になる。だが、人数があまりに多い時は、突破もしづらいようで、2件はいずれも何となく人の流れが少なめの時に発生した。逆に、大量の人が押し寄せている時に、正直に何度もランプを鳴らして引っかかっているのを見ると、ここはあえて突破した方がいいのではないか、とも思ってしまう。混んでいる時ほど律儀な人が現われるもので、何とも皮肉に思えた。


 集中するとこんな感じ。この人波が来る前に改札破りがあった。(突破後の赤ランプが点っている。)


 「カウント君」は999件までカウント可能。まさかいきなり1000件を超す計数作業をすることになるとは!

 ちなみに、inのレーンでも赤ランプが点くことが多いのは意外だった。Suicaをバシバシやっているのも目立ったが、東武線、西武線からの連絡乗車券が受け付けられない(?)といった切符トラブルもあったようだ。

 8月12日の帰途(終電時刻)では、新宿駅南口の小田急線との連絡改札で、男女2人がダッシュして飛び越えという複合型の突破を目撃。とんでもない放縦ぶり。無人改札は随分とナメられたものである。(それにしても、改札の入場記録なしで、どうやって下車する気だろう。降りる駅でまた強行突破するつもりか。)


  • 8月13日(金) 8:43〜9:03の約20分間

JR新宿駅 中央通路の延長にある中央東口改札のOUTレーン
(隣に有人改札あり。但し、大きな柱の影。)

出札者数:1429人 ±10人

 12日と同じ新木場行きに乗って、同じく中央口で調査。池袋は改札を出たところで調べたが、新宿は定期券経路ではないので、外には出ず、改札の内側で調査。(立ち位置が確保しづらく、数えにくかった。)

 乗降客数トップの新宿駅だが、改札の設置数が多いため、改札1カ所あたりの人数だと、池袋よりも少なくなることがわかった。だが、小さめのこの改札で、この人数はやはり凄い。

 赤ランプが鳴ったのは、やはり10件程度。8時台は少なかったが、なぜか9時台に頻発していた。

 そのうち改札破りは2件。いずれもさりげなくスーっと行ってしまった。(1件は、改札手前でグズる子どもに気をとられていたので、特定できなかったが。) 有人改札が隣にあるので、駅員の目は届きそうなのだが、柱が視線を遮ってしまうため、突破の抑止にはならないようだ。

 通り慣れた乗客が多いせいか、Suicaで引っかかる人は稀。どんなに急ぎ足でもスイスイ通る人が多かったのは新宿ならではのリズムというか... それでも、切符を手に出ようとする客(つまり非常連客)が投入手前で切符を落としてしまう、つまりリズムに乗れないケースを何度か見かけ、定期券客とのアンバランスを感じた。

 たまたま改札の前に、鍵の落し物があって、それに気をとられている人も多かった。そのせいか、人の流れに時にムラが出て、池袋とは違う数えにくさが発生。加えて、自動改札を通りそうで通らない(=踵を返してしまう)人がいたり、直前で有人改札に進路変更する人がいたりで、カウント君ともども困憊状態。また、切符や定期が引っかかって、有人改札に廻る人が出た時、即座にカウントから差し引けないため、カチカチに狂いが生じる。動体視力を研ぎ澄ませて、集中してカウントしないとリアルな数字にならないのが新宿駅である。(池袋ほどの集中通過はなかったので、数えやすかったはずなのだが、何だかんだで誤差を大きくとることになってしまった。トホホ。)

 鍵の落し物は、カウント終了後に届け出ようと思っていたが、8:50頃、若い男性が拾って、有人改札に届けていた。スピード重視の改札の人の流れの中で、こうした違った流れを持つ人の存在は重要である。だが、鍵が足元からなくなってからは、人の流れが単調(進め進め型)になり、面白みがなくなってしまった。

 よく見ると、「足元注意」と書いてある。鍵に目が行く人が多かったのはそのためか。

 何しろ大規模な工事中なものだから、案内図もこの通り。中央東口改札に辿り着くのにひと苦労だが、それでも大勢の客がここを通る。

 中央東口改札は、埼京線ホームに近いため、埼京線上り列車到着でひと波来るのが特徴だが、山手線・中央線側からも常時人が流れてくる感じ。(池袋は繁と閑の差がハッキリしていた。) ランプを見遣ると、赤と緑の他に見慣れないランプが時々点灯することにふと気付いた。大人が通る際に結構点いているから、小児通過時のランプではなさそう。不思議に思ってよく見ると、「小田急・京王ランプ」とある。西口にある両線の連絡改札を出て、JRの東口を通る時に点灯するものらしい。小田急・京王利用客もここを通るため、間断なく人が流れてくる訳である。

 思いがけない赤ランプ点灯。後続がいない場合はいいが、人の流れが続く中ではツライ。

 手前レーンを見ての通り、ランプの種類は3つ。最左が「小田急・京王ランプ」。前から2つめのレーンで、緑でも赤でもない、そのランプが点灯している。

 限られた調査なので、全体的な傾向を概観するのは憚られるが、ひとまず改札1カ所につき、10分間に1度程度の突破というのは実証性ある数字だと思う。仮に700〜800人に一人の割合で突破者が現れるとして、新宿駅の乗降客数で概算すると、1日に約1000人に上ることになってしまう。決してバカにならない数だろう。Suicaの付加価値を拡張するのも結構だが、より円滑で利便性の高い定期券の通し方、突破されにくい自動改札のあり方・人員の配置などをしっかり考える必要があると思う。

 

  • こちらもどうぞ...⇒ 駅で気を付けたいこと

第75話 駅構内でのマナー / 第160話 新宿駅から各地へ

 

第166話 団扇コレクション(2004.8.1)

 予定テーマはいろいろ出てきているが、ネタ集め&実地調査に時間がかかりそうなものが多いので、夏に因んだネタで急場しのぎをすることにした。ここのところの連日の暑さをweb上で少しでも緩和できればと願い、東京モノローグ初、「団扇コレクション」をお届けする。

 それにしても、7月5日の最高気温29.4℃を最後に、7月中はとうとう26日連続で、30℃オーバー。特に20日の39.5℃、21日の38.1℃のワンツーパンチは強力だった。20日は職場の近所(神保町・小川町界隈)を自転車で走っていたが、タイヤが溶けそうな程の灼熱だった。あとで都心の最高気温39.5℃と聞いてビックリ。おそらくこれまでの人生での最高気温体験だったようだ。(^^;

 荒川クリーンエイド・夏の恒例行事「なつやすみ水辺の楽校」の前日は、「川に学ぶ体験活動講師養成講座」(通称:荒川・遊び案内人講座)の実習編で、キャンプ&野外料理。野外で火を起こす際に欠かせないのが団扇だが、2002年の同実習時に、筆者宅で整理してまとめておいた古団扇を全て提供してしまったので、今回2004年では提供できなかった。という訳で、自宅には比較的キレイなのが残っているのみ。団扇を再度眺めながら思いついたのが今回のコレクションである。(何となく興趣があるものをセレクトしたところ、18本になった。)

 一般的な大きさのもの。「ビビサージュ」のたいせつレポートによると、平柄、丸柄タイプに該当。いわゆる「面」に当たる部分のみ画像を掲載して紹介する。


  • 清涼系

夏の元気宣言 西新橋にあるNatural LAWSONで入手。いかにも爽やかでいいのだが、うちわ自身の環境配慮は不明。

風 七輪 社名は控えめで、文字をドドンと大書したインパクト型。文字の力で涼しくなりそう。

  • 環境配慮アピール

今年も猛暑だ! 第157話で紹介したが、Bカメラさんは努力の甲斐あって、栄えある「第一回省エネ型製品 普及推進優良店」日本一に輝いた。その記念を兼ねた1枚。(うちわ本体もエコマーク認定!)

資源循環型? エコうちわ デザインセンスはともかく、廃プラスチック製品を原料にして作られた「エコうちわ」がこれ。このうちわを再度リサイクルできればスゴイのだが。(そこまでは書かれていない。)

  • 博覧会タイアップ

EXPO'90 1990年の大阪花博に行った際に入手した一品。サントリーらしくない不思議な絵柄。

愛・地球博 花博から15年。来年は「愛・地球博」の年。15年も経てばもうちょっと進化してても良さそうだが、同じ博覧会用のうちわとして、大きな変化は感じられない。

  • キャラクター系

ピーターラビット 第66話に書いた通り、当時の銀行のキャラクター合戦は目に余るものがあった。2000年夏、三菱信託銀行は、ピーターラビットでサマーフェアを展開。

ポケモンジェット ANAのポケモンジェット就航記念バージョン。1998年てことになっているが、いつどこでもらったのやら...?

  • 公共機関製

銀河宇宙オデッセイ ウラを見ると、日本放送出版協会とあって、〒150 TEL03-464-...となっている。郵便番号3桁はまだしも、都内の電話番号が3桁ー4桁だった頃のものだったことに気付いてビックリ。「銀河宇宙オデッセイ」がそんなに古い番組だったとは。

飛騨路 下呂温泉 典型的な観光地うちわ。温泉地のものにしては、温泉場の写真がないのが不思議。ちなみに今では「下呂市総合観光案内所」になっているはずである。

  • 湾岸系

東京湾大華火祭 1995年の東京湾大華火祭で配られていたものだが、うちわのスポンサーは東京都社会保険事務所。国民年金の加入を呼びかける内容になっている。こうした努力の甲斐はあったのか、なかったのか。

palette town パタパタやりながら、目的の施設やフロアがわかるスグレもの。よく見ると、ヴィーナスフォート「8月25日オープン」と書いてある。オープン前に行った時にもらったようだ。

  • 東急系

東横特急 東横線特急については、第109話などに記した通り。デビュー当時は、渋谷から4駅目が横浜だったことが一目瞭然である。PR色が強いが、実用的な一品。

HANDSMESSE2003 ハンズメッセに関しては、第24話第96話で書いている通り、筆者的には年中行事。これは昨年入手した一本。2004年はスタートがさらに遅くなり、8月31日から9月5日までの予定。

  • 単色&白文字

ChibaWalker この画像で見ると青らしい青色に映るが、実際の色は紺色に近い。千葉のカラーは確かに濃い目?

GANBARE! NIPPON! ふだんはあまりお近づきになりたくないブースで配っているものだが、ひょんなことから手に入れることができた。これを持つのはいいが、いったいどこで応援すればいいのやら?

  • バザールでござーる

バザールでござーる1991 筆者かつての勤務先だたこともあり、集めてみたら歴代のバザござ団扇が出るわ出るわ。実に9種類出てきた。そのうち、初代作品と思われるものがこれ。当時の景気を反映してか、柄の付け根部分に社名が型抜きされている(手が込んでいる)のが特徴。

まいどアリゲーター その5年後の1996年「夏の大感謝祭」では、ごく普通の骨組みのうちわになっている。ちょうど8年前の今頃までやっていた「まいどアリゲーター」。月日の経つのは早いもので。

 以上、少しでも涼しくお過ごしいただけたなら幸いである。(8月初旬も引き続き30℃超えが続きそうだし。)

 

  • こちらもどうぞ...⇒ コレクションシリーズ

第117話 割り箸コレクション / 第149話 続・割り箸コレクション

 

第165話 エレベーターの「べからず集」(2004.7.15⇒17)

 べからず集も回を重ねてきて、そろそろネタとしては小粒になりそうな予感。今回は「エレベーター」。(ちなみにエレベーターの日は、11月10日だそうな。ちと時期外れ。)

 これは避けたい、というのをカウントアップして紹介する。(いわゆる自動運転型、公共スペースの中層階クラス、各階停車のタイプでの話。)


  • 10.降りたい階のボタンを間違える

 デパートで多い気がする。「あらヤダ!」という声が今にも聞こえてきそうな...

  • 9.乗ってから考えて、あわててボタン!

 ちょうどいいタイミングでエレベーターが来て、しめしめと乗ったはいいが、さて目的階がわからない。フロアガイドを懸命に眺めるも、時すでに遅し。たまたま7階までノンストップになっていて、降りたい階が5階だったとする。4階を通過したあたりであわててボタンを押すも、「あ〜ぁ」である。これもデパートに多そう。

  • 8.降りる階に何やらヒト癖

 上層階から筆者が一人で乗り込んだとする。途中階から少数の人が乗り合わせる。普通は1階が押してあればだいたい良さそうなものだが、B1階、B2階なんかがあると、ちょっと考えてから、あえて押す人が必ず出てくる。まぁこれは必要なことなので「べからず」とは言えないが、本当にその階に用があるのだろうか?と訝しみたくなるクセのある(個性を出したい?)人が何となく多いような。
 ちなみに、3人程度の場合でも、降りる階が複数に分かれる確率はかなり高いと筆者は見ている。(特に地階がある場合。)

  • 7.低層階利用

 比較的混んでいる中で、若い者が3階とか4階を押すのはどうか、と思う。逆に、5階程度しかない電器店などでは、最上階の5階が押してあれば不思議と誰もそれ以上押さない、という紳士的な場面にしばしば遭遇する。

  • 6.降りる階を間違える

 扉が開いてすぐ、ここは○階というのが大書してあったり、目立つようになっている建物は意外と少ない。降りる人のためにいったん出るのと違い、階を確認せず、人に釣られてつい降りてしまう人が多いのも事実。本人には悪いが、間違いに気付かない分にはまだいい。だが、途中で気付いてあわてて乗り込もうとすると、そこには悲劇が...

  • 5.開と閉を間違える

 自動運転の場合、扉脇に立つ人に自ずと課される役割が開閉操作。シブシブの人は致し方ないにしろ、率先してやっていただくタイプの方で、時として開と閉を間違える方がいらっしゃる。ありがた迷惑な部分も。(挟まれてしまっても、それは自己責任の範囲、と言うならとにかく素早く降りるしかないが。)

【←|→】と【|→←|】 もっとも、「開」も「閉」も文字が似ているからいけないのであって、やはり写真のように【←|→】と【|→←|】にすべきだろう。(このあたりのガイドラインはないのだろうか。)

【好ましくない例<1>】

 赤羽会館のエレベーターの開閉ボタン。色違いなのでまだいい方か。だが当エレベーターの欠点は、年代物のせいか、エレベーターの扉が開くまでの時間が5秒と長いこと。「早開け」ボタンがほしい。

【好ましくない例<2>】 北とぴあの高層階(一応)用エレベーターの左右それぞれのパネル。開閉ボタンが左右で逆になっている上、[>|<]と[<|>]では大変わかりにくい。よく誤操作される方を見かける。

北とぴあ高層階エレベーター(左パネル) 北とぴあ高層階エレベーター(右パネル)

  • 4.開閉コントロールをしない

 シブシブでも、開閉操作をしていただく分には恐れ入る。だが、明らかにその役割が求められているのに、全く与しない人も中にはいる。正に自己責任の世界。
(余談だが、素早く降りられることが明白なのにも拘らず、あえて「開」を押して、まだ上へ行く客の時間を引き延ばす方もいらっしゃる。闇雲に操作すればいい訳でもなく、コントロール役も状況判断が求められるところ。) 筆者はむしろその逆(「開」は自動に任せ、適度なタイミングで素早く「閉」を押して時間短縮を図る)を買って出ることが多い。

  • 3.駆け降り

 降りる階に着いたのに、ボーっとしていて、「あっ」と気付いてあわてて降りる。混雑した電車でのケース同様、これは危ない。

  • 2.飛び乗り

 エレベーターの知能が高くないせいか、兎角ノロノロした感じで乗客を捌くのが巧くないエレベーターに出くわすことがある。複数台設置してあっても、なぜかどれもシンクロしていて、上からトロトロ降りてくるエレベーター達。それを待つ客は当然イライラさせられることになる。上へ急ぎたい客は、やっと降りてきた最初のエレベーターに殺到。人を詰め込んだエレベーターはようやく上に向けて動き出す訳だが、ただでさえイライラ感の募るその1台に、なぜか飛び乗ってくる迷惑な輩が必ず現れる。もうちょっと待って、シンクロ中の隣のエレベーターに乗ればいいものを、と思うが、せっかちな都会人はそうは行かない。哀しい哉。(筆者はシンクロしてようがいまいが、できるだけ客数が少ない状態で乗るようにしている。心理的負荷が少ないし、それほど大差が生じないように思う。)
 エレベーターの知能がそれなりで、運行が客の流れに順応であれば、イライラも減るし、マナーも向上する可能性は高い。

  • 1.閉まりかけを対処しない

 「開閉コントロールをしない」に通じるものがあるが、こっちは確信犯的で、より始末が悪い。エレベーターによってかなり差が生じるところだが、まだ降りようとしている最中に自動的に無理やり閉まろうとする扉をよく見る。ここはボタンの近くにいる人がビシっと「開」を押して救うべきなのだが、それをしない。何とも冷ややかな光景である。「開」を押して事態打開を図ろうとしたが、逆に誤って「閉」を押してしまい、事を悪化させてしまうケースもある。咄嗟のことなので仕方ないし、何しろその人に悪意はないのでよしとしないといけないが、これもありがた迷惑というか、(-_-)ムムムである。
(筆者は妻君に倣って、最上階、最下階に着いた際は最後まで残って、「開」を押し続けるよう心がけている。(より思慮深い方も時には現れるので、そんな時はその方にお役を譲っているが。)

 少々淡白だったので、おまけ情報「エレベーターひと工夫」を2つ追記する。(あくまで筆者流)

・7階や8階程度へ行く場合はエスカレーターを使う。

・急行エレベーター・直行エレベーターは進んで利用する。10階までノンストップのエレベーターに乗って、階段などで9階に戻るというのも有効。

 東急ハンズ渋谷店にある飛び石停車エレベーターは秀逸だと思う。階段での上り下りがしやすい構造ゆえにできる、同店ならではの芸当だと思うが、他の施設・店舗でもいくらでも応用可能だろう。(奇数階のみ、偶数階のみ、3の倍数など...)

第164話 「ちょっと待てよ、と思うこと」2004(2004.7.1⇒3)

 第98話では、いささか義憤が過ぎたような面もあったが、当時の思いを綴った「ちょっと待てよ...」。2004年も半分が過ぎたところで、シリーズ続編「ちょっと待てよ、と思うこと2004」を満を持して起筆することにした。ここ半年ほどのニュースや筆者日常の中から、いくつか実例を引きながら考察・言及させていただく。(参院選が近いことなので、政治的な事柄で物申したいこともない訳ではないが、当モノローグでは基本的に政治にまつわる話題は差し挟まないことにしているので、生活側面の中からお届けする。)

 皆さんの身の回りにもきっと多種多様な「ちょっと待てよ」があるに違いない。ここに少しでも共鳴するものがあるなら幸いである。


 6月18日に、DVDとビデオが発売されて、再び巷で目に付くようになったディズニー映画「ファインディング・ニモ」。貴重な生物種が個人宅の水槽で占有されてしまうこと(人間の身勝手さ、自然への不敬など)への批判が込められていた映画だったと思うのだが...。俄か「ニモブーム」により、カクレクマノミの生息海域には乱獲の魔手が。(映画と全く同じ!)

 この映画を観て、カクレクマノミをこの手で飼いたいと思った人の心理や行動原理は何なのか。映画から何を学んだのか、理解に苦しむところである。(ニモの心情を解せなかったのだろう。むしろ、飼い主(コレクター)の歯科医を羨ましく思ったか、共感したか、そんなとこだろう。)


  • 字幕(文字情報)拡大機能のオチ (⇒参考情報

 某公共放送で、テレビ画面のユニバーサルデザイン(主に高齢者向け)技術の一環として、字幕などで出てくる文字を大きくするデモが紹介されていた。感心しながら見ていたら、その文字を拡大表示するためのリモコンの操作ボタンがてんで小さくて押しにくそうなことと言ったら! このオチには苦笑した。大きくしたい時に使うボタンが小さくて見つからないのでは意味がない。せっかくの技術なのに、肝心のユーザビリティーが伴わなかった好例と言える。


  • 本人確認書類っていったい... (⇒参考情報

 某保険会社の某金融商品をインターネットで注文。申込に必要な書類が届き、首尾よく送ったはずだったが、本人確認書類が不備、とのことで差し戻し。保険会社の関係なので保険証券を送ったのだが、それではNGだったらしい。本人確認書類系で有効そうなものとして、消費生活アドバイザー証のコピーが手元にちょうどあったので、それを同封して再送。が、しかしそれも不受理。最初の差し戻し時に、公的なものであればいいようなことが書いてあったので、経済産業大臣認定の同アドバイザー証にしたのだが、「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律(本人確認法)」によると、それは「無効」ということで、返戻されてしまった。なら最初から、本人確認に有効な書類の例をきっちり示してほしいものである。(しかも、同法「対象外」と書けばいいものを、「無効」とはいかに。資格そのものを否定するような文言である。) 「無効」という書き方に対する抗議とともに、結局、運転免許証(ゴールド)のコピーを送って、3度目の正直でようやく申込完了。(ヤレヤレ) 本人確認法に伴う手続き工数の増大が社会的なコストアップ要因にならなければいいが。


  • ネイチャーゲーム=虫捕り?

 6月19日午後、荒川赤水門の島で、ネイチャーゲームとクリーンエイドのジョイントイベントを実施した。(ネイチャーゲームは主に「おうじネイチャーゲームの会」さん主催、筆者はクリーンアップと水質調査を担当) 筆者を除く大人12名、こども10名での開催だったが、おうじネイチャーゲームの会スタッフの呼びかけもあり、近所の児童館関係の親子連れのご参加が半数を占めた。人数が多い分にはいいのだが、児童館職員の方の計らいかどうかはいざ知らず、自然をあるがまま楽しむはずのネイチャーゲームの場に、虫捕り網と虫かごを持ったお子さん達が集結してしまって、ヒャー!w(--)w 「ネイチャー」と名が付くと、それは「人間都合で自然と接すること」といった誤解がまだ残っているらしい。ここはネイチャーゲームの正念場とばかり、「今、そこにある自然」を見つめ、「そこに生きる動植物」を慈しむ、そんな思いに気付いてもらうべくゲームをしながら、虫捕りに関してやんわりとクギを刺す。最終的にはチョウもカミキリムシも開放されたので良かったが、こうした人間本位の行動心理は正に「ファインディング・ニモ」の例と同じか?


  • 世界遺産は部分禁煙?

 北陸のローカル私鉄&路面電車のちょっとした取材を兼ねて旅に出て、6月24日は、五箇山に足を伸ばした。世界遺産に指定されている相倉合掌集落を訪ね、集落一帯が全面禁煙であることを記した案内板[写真左]を見て唸っていたら、程なく現れた休憩所を併設した土産物店でタバコを売っている[写真右]ことにビックリ。単に売っているだけかと思ったら、何と休憩所で喫煙できるようになっているではないか!(煙が流れてきて、さらにビックリ!) 世界遺産を訪ねる時くらい、ゆったりとイイ空気を吸って、その場を堪能したいもの。(つまり世界遺産の趣旨上、タバコは無用。) 世界遺産の意義を解さない物見遊山客に迎合した結果だとしたら情けない。

 


 筆者が何となく応援している番組、「出没!アド街ック天国」。95年4月にスタートしたので、今年で10年目を迎える。だが、さすがに10年も経つと、出没できる街にも限度が出てきたか、最近は過去に登場した街が再度〜再再度放映されることが増えてきた。

 「アド街掲示板」では、地方重視 vs 東京重視で議論がよく交わされているが、東京生まれの人間としては、やはり東京を中心に、「街」「まち」(=東京ローカル)を放映してもらいたい、というのが正直なところ。東京を中心にした放映が多いのには文句はないが、「それにしてもなぁ...」なのがここのところの傾向。メジャー志向が強くなってきたのである。(視聴率とも関係あるのだろうか。つまりマイナーな街より、視聴者が見込める街の方がいい、というか。)

 これまでとりあげられた街(第1回の代官山から)について、過去の新聞(年鑑)などを頼りに、データを蓄えてチェックしてきたが、そんな記録を拙作ながらweb化して「放映リスト(『街』リスト)」を同掲示板にお知らせしたのが5月の初め。その後、筆者同様の「ちょっと待てよ」の輪が少なからず広がり、公開後2カ月で1200件を超すアクセスをいただいた次第。冥利に尽きる。

 7月3日までのまとめでは、

■少なくとも4回放映:浅草

■少なくとも3回放映:神楽坂、吉祥寺、下北沢、代官山、中華街、二子玉川、町田

■少なくとも2回放映:青山3丁目、秋葉原、浅草橋、浅草六区、麻布十番、熱海、アメ横、池袋、伊東、上野、恵比寿、荻窪、お台場、小樽、表参道、学芸大学・都立大学、合羽橋、金沢、鎌倉、蒲田、亀戸、河口湖、川越、川崎、木更津、北鎌倉、北千住、銀座4・5丁目、錦糸町、高円寺、公園通り、後楽園、駒沢、三軒茶屋、柴又、自由が丘、白金、新宿2丁目、新橋、神保町、巣鴨、成城、高田馬場、茅ヶ崎、築地、月島、東京、道玄坂、中野、中目黒、西麻布、西新宿、日暮里、日本橋、人形町、博多、函館、箱根、府中、三崎、三宿、みなとみらい、向島、山手、湯島、横須賀、横浜元町、代々木、両国、六本木

 といった状況。3回目予備軍がたくさんあることがわかる。(逆に、東京近郊でもまだまだ放映されていないエリアは多い訳で、23区内の一例では、大山、堀切、船堀、豊洲、白山、馬込、池上、祐天寺など、枚挙にいとまない。)

 全国の要所・名所も含め、皆さんにもチェックしていただければと思います。


  • 公設公主導?

     江戸川区の「えどがわエコセンター」、そして筆者が3月まで勤めていた「北区・NPOボランティアぷらざ」もご多分に漏れず、公設民営と言いながら、形だけ「区民や市民とともに=「民」との協働」を謳うスタイル(公設公主導)が、今あちこちの自治体でトレンドになっていて、かつ問題になっているようです。区の場合は特に、他区との比較論もあって、目立つための不毛な独自策やスタンドプレイ傾向が強いようで、「民」がそんな公主導に翻弄される可能性も高くなるんでしょう。

     某区の男女共同参画条例(最近になって議会で否決)も、いかにも「民と一緒に創っている」ように見せかけて、その実は、行政側の都合、即ち予め設定された「ロードマップ」に沿って、民をコントロールしていくという、悪しき典型例だったのではないでしょうか。表向きを「民協働型」にするために、行政の都合で動いてくれる(一応、民側としての)学識者や有識者を予定調和のように座長に据える訳です。(純粋な「民」の委員はお飾り扱い?) 極論ながら、行政と手を組んだ「擬似市民有識者」により、最終的にはロードマップ通り、行政のお手盛りが完成する、という図式ですね。

     これだと、「協働」のあり方を研究・実践してきた本来の市民活動(+市民学者の方々)がないがしろになるばかりでなく、産官学の構図を民官学に置き換えただけの旧態依然型社会モデルが続くだけです。しかも一層タチが悪いのは、民官学の民が本来の民でないこと、だと思います。

     筆者が北区のNPO支援センター勤務を区切らざるを得なかったのも、行政側の都合が露骨だったこと、その都合を強要する民側の歪んだ理事会(意思決定機関)がいつの間にか出来上がってしまったこと、が大きな理由です。

     こちらとしては、これまでの経験から、いわゆるNPO支援センター型のノウハウを採り入れつつ、これまでの活動で得たNPOならではの市民中心型の運営を、その「北区・NPOボランティアぷらざ」において模索しようとしていたのですが、物言わぬ事務局の一スタッフ(=言うことを聞いていればいい)が望ましい、ということのようでした。(公主導の論理だと、当方の思いや資質が、逆にありがた迷惑のようになるようです。) 民の知恵や力を求めつつも、それはあくまで形式的な関わり(行政にとって都合のよい展開ができる人材や場を設ける?)に限った話、ということなんでしょうね。

     4月以降の「民営」を担う組織として、急遽「市民活動推進機構」(以下、機構)なるものができ、「機構のスタッフとしてどうだ」という何やら強引な展開に。まぁこうしたモデルでは仕方ないのかも知れないですが、言わば「公設公主導民営」のような形です。そうなるとこちらの思いや見識とは大きく相違してきます。

     

  • 市民活動推進機構の意思決定

     さらに悩ましいのが、市民活動推進機構の理事会です。民営に移行することで、意思決定機関としてこの理事会が作用しますが、理事の一人が極めて民意に逆行するタイプで、「事務局は、理事会の言うことを聞いていればいい」との不穏当な発言を平気でされます。(公主導に都合がいいので、強引・ワンマンタイプの方がいる訳です。)

     たかが事務局スタッフなのでしょうか。その人がそこにいる存在意義を考えてもらいたいものですよね。一人一人の「思い」が尊重されるべき市民社会モデルに明らかに反します。(機構の設立趣旨の一つに「多様性の尊重」云々とありますが、何を云わんやです。) このような状況で、機構スタッフとして働くにはあまりにリスクが大きいと思い、辞退しました。

     市民活動の現場や痛みを知る人、市民団体に敬意や誠意を示せる人、市民からの共感を得られる人、が理事に就くべきなのでしょうけど、区の事情からして、必ずしも適切な人選ができない(自縛状態)ようです。

     特定の理事の専横を許す形で、「民」(機構)に委ねてしまうのでは、区が描いていた協働の姿、市民社会像からは遠いものになってしまうでしょう。「NPO・ボランティアぷらざ」は公設民営どころではなく、「公設公主導・非民主的民営」になりかねません。上述の旨、区長宛に投書するなり、理事長に直談判するなりしましたが、変化が現れるにはまだ時間がかかりそうです。

 ともあれ、北区非常勤職員としての半年間は、こちらとしてはある意味、いい体験になりました。(開設当初の基礎工事的なものに多少なりとも役に立てたかなとも思ってますし。)

 「公設民営」の舞台裏の経験者として、本来の民営のあり方を問うべく必要に応じて情報発信するなり、各地で進む「公設民営」の動きを注視しないといけないですね。

*東京都北区のNPO・ボランティアモデルはまだまだ途上。侃々諤々です。一つの事例として参考にしていただくのと同時に、先例や他事例に基づくご助言等をいただければ幸いです。

 という訳で、筆者は再び(自称)NPOワーカーに戻りました。どこで何をしているかについては、また別の機会にお知らせします。

*次回は恒例、15話刻みの「マナー&べからず集」です。「ちょっと待てよ」系が続きますが、ひとつお楽しみに。


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