随筆「東京モノローグ2012」(9−10月期)
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尾久の奥には煉瓦塀の道が...第362話 尾久の奥の細道

メンズエステ店らしいロビー(ここに通うこと11回)第363話 リンパマッサージなど

発車ベル、その意義・目的とは?第360話 鉄道事業者におけるべからず集〜「べからず集」part16

尾久駅前に都バスが入構!(9/9、王子〜尾久 代行バス)第361話 代行バス

第363話 リンパマッサージなど(2012.10.15)

 2011年は3.11の影響もあって食生活が乱れた時期があって、年齢的に代謝云々が低下していたこともあって、さらには元々の「非燃焼体質」のようなものが手伝い、不意に体調不良になる日が少なからずあった。素人考えだが、その状況を推し述べるなら、

 食べた物がエネルギーに変わらない→妙な空腹感→食べる時間や量が不規則化→エネルギーにならない分が蓄積→内臓脂肪などが増え、内臓の働き悪化→悪循環...

 といった具合。食べ過ぎから生じる体重増があっても、以前なら食事量を調整すれば元の体重に戻っていたところがそうならなくなってきた、というのもあった。何らかのサポートを受けないと・・・そう考えていたところ、予防医学的アプローチで体質改善をめざすメンズエステがあるのを知り、店舗が通勤ルート上にあることがわかったので、とにかく申し込んでみた。4月のことである。

 4/21にお試しコースを受け、現状を把握。体の冷え・硬さは重々自覚しているが、リンパの流れの悪化で、老廃物がきちんと排出されず、体調不良を招いているという話は正直驚きだった。マッサージする側は、その流れが滞っている箇所がわかるらしく、される側は、「あぁ、言われてみれば」の世界。程度が軽ければあとは自助努力で、の心算だったが、リンパの正常化、加えて内臓脂肪レベルが高めな件は如何ともし難く、「健康体に戻す」をテーマに通うことにした。基本的な流れは、ゲルマニウム温浴→リンパマッサージ2カ所(脚〜背中)だが、施術前に毎回、他のオプションを含めた組合せを確認しながら、ということにして、とにかくお試しの延長で10回分。一括&前払いだが、回数をまとめれば安くなる、というよくある話で「契約」した。当然のことながら、「初エステ」。何が起こるかわからない。不可解な点があれば即、消費者センターへ、という心構えで通い、臨んだ。

 日付は、5/2・9・19・27、6/7・17・28、7/10・24、8/10・30。数では11になるが、うち1回は「フェイシャルコース」(=顔の手入れ関係)というのをサービスしてもらったのが含まれている。よく通ったものだと思う。1回で3タイプの施術を受けられるので、数では合計で30になるが、その内訳はと言うと[ゲルマニウム温浴:9][リンパマッサージ(脚):9][リンパマッサージ(背中):9][リンパマッサージ(腹):2][よもぎ蒸し:1]で、メニューがいろいろあった割にはそれほど試せていない。「そのオプションを組み込む場合は、これらをひととおりやってからの方が効果的」とか「1日で3つのところ、6つにすれば組み込める」とかで、まぁノラリクラリである。要するに1回あたりで驚くべき効果が出ないようにして、長々と通ってもらおうという設定なのだろう。だが、10回通ってそこそこであれば、その先もそこそこと考えるのが一消費者。8/30のラストは、「ゲルマニウム温浴」ではなく「よもぎ蒸し」にしてもらったら、これが驚くべき効き目で、数百gほど体重が落ち、腹囲も数cm減! やってもらったのはいいとして、これを早々に採り入れないあたり、「所詮は店都合?」と客は思ってしまう訳だ。逆に、10回中3回でもこの「蒸し」を入れてくれていれば、あと何回か追加で通うことも考えたかも知れない。効果が実感できるものをしっかり投入する、これが王道なのだと思う。

 ロビーはなかなかの美装。新装店舗に移った次の日(5/2)が初回、というのはラッキーだった。

 左側がそのエステ店のオプションメニュー(一例)。右はその手の店が載っているカタログの抜粋。同じグループ(系列店)なのかも知れないが、違う店で同じ写真が使われる、というのはどうにも…(怪しい?)

 ともあれ、多少は健康体になったので、そこは一旦終了。で、その体質が維持された状態で、セカンドオピニン的に別のリンパマッサージを受けに行くことにした。職場の近所で、帰りにフラリと寄れること、チケットをクーポンスタイルで割安で買えることも後押しになった。行ったのは「グローバル治療院」。9/12、60分の「全身リンパマッサージ」を受ける。エステ店とは手法が異なり、とにかくじっくりやってもらった感じ。翌日以降の反動が心配だったが、思っていた程ではなく、しばらくは"痛・気持ちいい"感覚が続いた。月に1回ペースで通うにはいいかも知れない。(と言いつつ、今月はまだ予約していない (v_v) )

 グローバルスポーツ医学研究所のサポートオフィスがあるGS水道橋ビルに治療院も併設

 個室で60分。長いようで短く感じた。

キャッチコピーは「トータルリラクゼーション」。入口から受ける印象は開放的。 さて、脚や上半身はまがりなりにもケアしたので、残るは足(要するに足ウラ)。折りよく赤羽駅隣接の商業ビルにリフレクソロジー系の店が開店し、「得クーポン」にて「リセットコース」(足ウラ+上半身各20分)が約3割引というのがあったので行ってみることにした。破格のOPEN記念コースはボディだけだったので、足ウラ志向にはこれでOK。9/29、細君同伴で臨み、ひとまずリセット完了。足ウラのガチガチはそう易々とほぐれるものではないが、幾分軽くなった。前回第362話の奥・尾久の取材は、その足で向かったものである。

 体の流れを改善すべく、一定の流れで施術を受けてきたここ半年だが、どういう訳か10月に入ってから風邪系の症状が出たり治ったりしている。ウイルスの通りや流れもよくなった?ということなのか、単なる気の緩みなのか、周囲で流行っているので体が追随しているのか...
 そんなこんなで本稿もいま一つパッとせず、嗚呼あしからずである。_| ̄|○

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第308話 約8年ぶりの献血 / 第312話 ツボ押しするなら公園で

 

第362話 尾久の奥の細道(2012.10.1)

 第356話で西日暮里を取り上げるきっかけになったのが、名著「都市に自然を回復するには」。この本に従うと荒川区や台東区を中心にまだまだ訪れるべき場所が多くあって、都バスの一日乗車券を使ったとしても、どこまで廻れるか見当がつかないというスケールである。特に未知な一帯が隅田川が大きくカーブする2箇所で、一つは尾竹橋から京成本線の間の川沿い(荒川区町屋七丁目・八丁目など)、もう一つは千住汐入大橋から水神大橋の間(汐入公園など)。いずれも鉄道駅から離れていて、行くなら都バスか自転車か、の地。同著に載っている概略地図で示すところの「荒木田」「ハンノキ山」「汐入」が含まれ、それらを考察するのが主な目的になる。

 かつて、尾竹橋まで自転車で行く機会があった(→参考が、この時は荒木田には下りず、旭電化通りを西進し、尾久の原公園を周回して、荒川線沿いで帰ってしまった。以来、京成線の車窓から眺めることはあってもすっかり縁遠くなってしまったのが、当の町屋七丁目・八丁目(筆者は「奥・町屋」と勝手に呼んでいる)である。都バスでは[草41]系統で、「町屋一」〜「尾竹橋」の4つの停留所からアクセスできるが、さらに奥、つまり隅田川沿いに出るには少々距離がある。そう、こういう時は迷わず自転車である。で、「奥・町屋プラン」を練る訳だが、その際あわせて思いついたのが、「奥の尾久プラン」。今回のお題である。

 時間があれば、「奥の尾久」も「奥の町屋」ももちろん掛け持ちは可能。ただし、まとめてやってしまうのはもったいないし、尾久は尾久で、"奥"が深いため、分けることにした。予告で先行して「尾久を往く」とやっていたのはそのためである。

 さて、毎度おなじみ「アド街ック天国」では、「都電荒川線」や「日暮里・舎人ライナー」の特集などで一部を掠ることはあっても、いまだタイトルとして設定していない(事実上、未放映)のがこの「尾久」。尾久と付く町名が西尾久と東尾久を合わせると極めて広範になるため尻込みしているのでは?とも思うが、尻込みしてもらわないと困る、という見方はある。ワイドでディープ、それが尾久であり、その奥を掘り下げるのであれば一定の覚悟が必要、と思えるからである。

 「都市に自然を回復するには」では、p.90「江戸道」の項で、「荒川区町屋や尾久の町を歩いていると、しばしば東西南北どちらへ向かっているのかさえも、わからなくなることがある。そうした曲がりくねった通りは、江戸時代の村絵図にある昔のままの道筋なのである」という記述がある。町の一部にアクセスする、という前提で言えば、西尾久は尾久駅から、東尾久は田端駅から行き着けるが、その範囲ではおそらく昔のままの道というのはわからない。駅からアクセスしにくいエリアが東尾久五丁目と西尾久一丁目の境、西尾久二丁目・五丁目 対 西尾久一丁目・四丁目の境などいくつかある。都電荒川線、日暮里・舎人ライナーからも距離があるその界隈に出れば、曲がりくねった感じもあるし、ある意味、「奥」に来た印象も受けるだろう。筆者が考えたプランの一つはその行けそうで行けない「奥の尾久」または「尾久の細道」であった。・・・が、荒川区発行の「まちあるきマップ」を見て、もう一つの奥の存在を知る。都電荒川線と隅田川の間、町名では西尾久六丁目・三丁目、東尾久八丁目に当たる範囲・・・この川に沿った辺りこそ「奥の尾久」ではないか!となり、急ぎ向かうことにした。決行日、9月29日(土)。コース起点の荒川遊園地前に着いたのは17時過ぎである。

 以下、画像を交えて見どころなどを紹介する。

 大まかなルートは、あらかわ遊園前〜煉瓦塀〜小台橋〜寶蔵院前〜華蔵院前〜尾久橋下〜熊の渡し商店会〜はっぴいもーる入口となる。

 

 荒川遊園地前の電停すぐ、いきなり「都電グッズ」のお店を発見!(時間が時間だったので、入店は見送り) 荒川区にありながら、「あだちや」というのがまたシュール。

 

 あだちやの近くに延命子育地蔵尊がある。小学生がきちんとお参りして行ったのにはおそれいった。隣接の「ネパール・インド家庭料理 エベレスト&富士」もこの辺りではスポットだろう。

 「都市に自然を回復するには」のp.80に「レンガ工場」の項がある。先述の「荒木田」で採れる土がレンガに適していたそうで、隅田川沿いに煉瓦工場がいくつかでき、一大産物に。その名残の一つがここ。工場跡地があらかわ遊園になったと言うんだから、その敷地の広さが窺い知れる。煉瓦塀も長々と続く。

 煉瓦塀の東の端(この奥で終わり)。一般住宅の外構としてそのまま使われているという点が味わい深いというか。

 

 煉瓦塀を背にした位置にはこうした空き地も。(西尾久六丁目10番地)

 

 曲がり道を西へ進み、小台橋に着く。丸い月がうっすらと見える。

 

 隅田川と小台橋。橋の向こうは足立区。

 

 まさかの図書館。「奥図書館」と言ってもいい。地図はこちら

 

 図書館の向かいに尾久八幡中学校があり、その一角に「外記(げき)屋敷跡と経塚」がある。大亀を捕まえて食べたら熱病に罹って...のくだりは戒めのようにも見える。

 今度は広大な空き地。フェンスの奥は隅田川だが、これではわからない。公園にすれば、川伝いに生き物が移動するのに便利な中継地(またはオアシス)になりそうだが、そうした発想はおそらくゼロ。

 尾久橋の袂に到着。橋の先を行けば、尾久のさらに奥、東尾久七丁目に通じ、最も奥まっている都立尾久の原公園に行き着く。「奥・町屋」とセットの際は、そのルートを取ることになるが、今回の「奥・尾久」ではここまで。

 かつて「熊野の渡し」があった地に架かるは「渡し橋」。自転車で渡る際はこのように順番待ちができる。この尾久橋の途中から足立区に入る。

 

 ここばかりは細道ならぬ「太道」。尾久橋の袂近く、東尾久八丁目の24〜25番地の間に位置する。

 

 熊野前に向かうにあたり、あえて細道を選んだところ、「熊の渡し商店会」に出た。照明灯がいかにも昭和な感じ。

 

 商店会の先を行くと、荒川線の道路に出る。左に行くと「熊野神社跡」があるが、実際には跡を示すものは見つからなかった。横断歩道を進むと「はっぴいもーる熊野前」、さらに「ふれあいCITYおくぎんざ」と続く。いずれ行ってみようと思う。


 都電に出られれば、奥まった感じも薄まるので、「奥の尾久」は先の「太道」界隈まで、としておこう。この後は、荒川線の車両を追ってみたいというのもあったので、線路伝いにノロノロ。暗くなってしまったためパッとしないが、この日から運転を始めたらしい「都電ハロウィン号」を小台付近で撮ることができたのはよかった。あわてて組んだプランにしては上出来である。

 車内をよく見ると何となくハロウィンチックなのがわかる

 小台と言えば「あっぷるロード」。この日やっと北の端を撮影。

 前の第361話では第二下田端の橋桁について触れた。9/8はその足でさらに歩いて、「あっぷるロード」の南端に来ていた。さすがにそのまま北に向かうには距離があったのでここで引き返した次第。

 尾久の奥だか、奥の尾久だかよくわからなくなってしまったが、ともかく尾久が広いことはよくわかった。次に尾久を紹介する回では、「あっぷるロード小台」の真ん中あたりから、西尾久と東尾久の境界、さらには、熊野前から東尾久四丁目に抜ける道筋(はっぴいもーる&ふれあいCITY)、はては「東尾久」と「荒川」の町境なども「奥」と考えて、行ってみる心算。「曲がりくねった」状態が体感できること必至なので、迷子になる虞もあるが、それはそれでお楽しみである。

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第215話 自転車で23区を走る / 第259話 人と里を結ぶ新交通

 

第361話 代行バス(2012.9.16)

 前話に続き、鉄道事業者関係だが、鉄道車両が出てこない話。9月20日がバスの日でもあるので、今回は「列車代行バス」を取り上げることにした。

 日常的に鉄道各社のリリース等を見ていると、ポツポツと出てくるのが線路切替や高架化などそれなりの規模の工事とそれに伴う列車運休、そして代行バスである。ただ、この場合は、工事期間・時間中の運行なので、限定的。ある意味、レア度は高い。2012年、この手の代行バスの首都圏での例はこれまで4つ。

リリースのタイトル

代行バスの運行予定

久留里線「運転保安方式更新工事」に伴う列車の運休及び代行バスの運転について(PDF)

3/17(土)初列車〜8時頃、久留里線全線(木更津〜上総亀山)

中央線武蔵小金井駅切換工事に伴う列車の運休等について(PDF)

5/19(土)17時半頃〜5/20 7時頃、東小金井〜国分寺

京王線調布駅付近の地下線への切り替えに伴い、8月19日(日)一部列車を運休します

8/19(日)初電〜10時頃、八幡山〜府中、調布〜京王稲田堤

東北本線橋桁交換工事

9/9 5時頃〜10時半頃、尾久〜王子

 

 東小金井止まりは折り返しで東京行きに

8/18、調布駅下りホームにて(橋本発・本八幡行急行入線) このうち、中央線は東小金井での折り返しの様子を見に、京王線は地下化される前日に地上の沿線風景を見納めにそれぞれ出かけたが、バスには乗らなかった。直近で代行バスに乗ったのは、東北本線絡みの一件。工事箇所は尾久と上野の間で、運休区間は赤羽〜上野間につき、尾久駅方面に出たい人が影響を受ける。そのため、王子〜尾久間で代行バスが走り、そういう事態になると何はなくとも乗りに行こうとする筆者のような人物が現れることになる。

 乗ってみてわかったのは、王子と尾久は案外近いこと、尾久駅前は一応ロータリー状になっているので、バスが入ろうと思えば入れること、といった具合。使用車両は都バスだったため、池袋と浅草を結ぶ[草64]で王子駅〜尾久駅の間を乗っているのと感覚的には同じだが、途中の停留所での乗り降りがないため、やはり新鮮。驚いたのは、尾久駅に着いた際の運用で、向かって右の開放部から入り、Uターンで自動改札を通り、尾久での降車を処理(Suica、切符とも)というもの。王子駅では自動改札は通らずに開放した通路から定期や切符を提示して出ていたので、これで正常になる。なかなか巧みな方法だと思った。入場時は向かって左の自動改札にて、Suicaの場合は手前でタッチ、切符と磁気定期券の場合は挿入して、奥から出てきたところを引き取り、戻る(Iターン?)という設定。王子駅では再び開放通路を通り、目的駅で自動改札を通っておしまい、となる。

 まずは赤羽 駅での珍しいシーンを一つ(車内清掃の作業員が到着専用ホームで待機)

 王子駅での代行バス乗り場案内標示

 「代行」という表示がないので「貸切」(@王子駅前)

 通常の都バスはここには来ません(@尾久駅前)

 尾久駅で下車される方はこちらへ・・・最右の開放ゲートを案内中

 「代行バスご利用専用入場口」が出現(@王子駅北口)

 工事時間帯の運転計画

 この日は代行バス以外にもいろいろとポイントがあったので、それらを掛け持ちすることになる。(1)宇都宮・高崎線が上野まで行かないため、赤羽駅で折り返し、(2)寝台列車の3つは赤羽折り返しという訳に行かないので、工事箇所に並行する「回送線」を通過して上野へ、(3)上野ではその「カシオペア」「北斗星」が相次いで地下ホームに入線、(4)橋桁、即ち「第二下田端ガード」の交換後、運転再開(最初の列車が通過)... である。

 王子からバスに乗ったのが9:07頃、尾久にいたのは9:18〜26頃、王子に戻ってきたのが9:37頃。一方、寝台特急の2つは、「カシオペア」が上野着9:39、「北斗星」が同9:52となっていた。王子駅ホームで見張っていれば「北斗星」が通過するシーンは押さえられそうだったが、これが来ない。尾久に早々に着いて、回送線に入るための準備をしているとしたらすでに遅し、である。そこで上野に急ぐことにしたが、9:55過ぎに地下ホームに着くも、停まっていたのは「カシオペア」のみ。そう、「北斗星」は単に遅れていただけだったのである。実は尾久ではバス発車後に、ホームの一部が垣間見える場所で「カシオペア」らしき車両が停まっているのを見つけていた。9:28に尾久にいた「カシオペア」が10分で上野に着くとも思えないので、この時点で5分遅れと読むのが正解だったのだ。

左:13番線「北斗星」/右:14番線「カシオペア」 王子でもうしばらく待っていれば...とも思ったが、程なく13番線に「北斗星」が。「北斗星」「カシオペア」が並ぶ! これぞ今回の工事の賜物と言えるのではないか。並んでいたのはほんの数分で、10時になると「カシオペア」は尾久へ向け発車。この数分間のために動いていた、そう考えれば全て好し、である。

 次は田端。東に進み、田端駅下仲通りを抜け、橋桁交換工事の現場へ。前後の変化を見るため、前日9/8も見に来ていた甲斐あって、違いは一目瞭然。真新しい薄緑色のが収まり、都道が拡張してもいいようにしっかり据えられている。これまでの古い橋桁を支えていたコンクリの太いのが要らなくなるのは、写真を見ればわかるだろう。これが除かれ、道路が拡がれば、人やクルマの流れが少なからず変化するであろうことは明らか。また日を置いて見に行ってみようと思う。

 前日9/8の「第二下田端」の現場。薄緑色の橋桁はまだ仮設の構造物の上で待機。→

 9/9、交換工事後。橋桁はここからは見えない位置に設置済み。

 「第二下田端踏切」と「回送線」。上を覆っているのが橋桁を置いていた仮設構造物。

 尾久から上野に向け、工事後の下り列車として走る予定の「回送」が通過。(9/9 10:24)

 9/8の「第二下田端ガード」。グレーの覆いが旧橋桁。→

 9/9、薄緑の橋桁がお目見え。コンクリの塊の張り出し具合がよくわかる。


 さて、代行バスにはもう一つ種類がある。自然災害などで線路等に支障が出て、鉄道が不通になってしまった場合である。この手の代行バスには、学生の時分、「九州ワイド周遊券」で九州各県を旅した際に乗ったのが最初。区間は豊肥本線の緒方〜宮地間で、13時過ぎから100分ほど乗ったことになっている。列車で見る景色よりもより変化に富んでいる?と考え、それなりの枚数を撮ったものの、これといった一枚はなし。ここでは、車内(前景)、宮地駅前、宮地駅に停車中の急行「火の山」と待機中のSL「あそBOY」の3枚にて失礼する。

 奇しくも今年、「平成24年7月九州北部豪雨」で豊肥本線などが不通となり、今なおJR九州で復旧途上なのが豊後竹田〜宮地間。あの当時とはまた様子が異なるとは思うが、代行は代行である。あえてまたバスに乗りに行く、というのもありかも知れない。

 不通区間を走る代行バスは、その豊肥本線以来ご無沙汰だったが、今夏の「東北ローカル線パスの旅」第358話参照)で、機会を得た。パス発売時の有効区間内で利用できる代行バスは、常磐線(相馬〜亘理)、石巻線(渡波〜女川)、只見線(会津川口〜只見)、仙石線(松島海岸〜矢本)、岩泉線(茂市〜岩泉)の5つ。岩泉線は大いに魅かれたが、どうしても行程に組み込めず、断念。東日本大震災発生から500日目に当たるということもあり、7月22日に仙石線区間で乗ることにした。

仙石線沿線地図(陸前小野〜手樽) 乗車したのは矢本から高城町まで35分ほど。しばらくは仙石線と並行し、陸前小野駅を過ぎてからは仙石線と離れ、鳴瀬大橋を渡ったところで走ってきた石巻街道を離れ、再び仙石線と合流すべく鳴瀬川に沿って河口をめざす、といった道程。河口が見えてきた辺りから、津波の爪痕と言っていい光景が続く。野蒜から東名にかけてが特に顕著で、あとは陸前大塚から先、松島湾が見えるとその手前の仙石線は架線柱がまだ倒れたまま、といった状態で息を呑んだ。500日ではまだまだなのである。

 こうしたことがなければ訪れなかったであろう矢本駅

 代行バスは2台

 鳴瀬川と河口方面

 野蒜駅の南側、東名運河に架かる橋はこの通り

 東名駅に線路はなし  陸前大塚と陸前富山の間

 バスはこの先、松島海岸駅が終点(「ホテル壮観」前にある「高城町」で下車)

 旅行者向けとは言い難い代行バスだが、乗車できたことで得たものは小さくなかった。目の当たりにした光景を心にとどめつつ、仙石線全線を再び電車が走る! その日が一日でも早く来ることを祈るばかりである。

(参考)→「駅ログ」#2711 矢本 /  #2712+2713 小鶴新田&陸前原ノ町

 なお、2012年10月1日時点で、引き続き代行バスが運行されるのは次の区間。

*只見線は、10/1から運転再開見込み→リリース(PDF)

 一つ試してみたいと思うのは、18きっぷで都区内から名松線をめざしつつ、予め「近鉄週末フリーパス」も用意しておいて、名古屋〜伊勢湾沿い各地の間を行ったり来たりしやすくする旅。名古屋〜鳥羽は、JRと近鉄が並行、つまり層が厚くなっていると考えていいので、両社が接近する駅での乗り換えをうまく組み入れれば、時間的ロスの少ない細かい移動ができる(と思われる)。名松線+代行バスに加え、廃線の危機にある近鉄八王子線・内部線にも乗れば初日は上々。2日目は近鉄三昧、3日目は再び近鉄+18きっぷ・・・どんなものだろうか?

 

  • こちらもどうぞ...⇒ 埼京線での代行バス

 2002.5.19(日)、代行バスは、赤羽〜板橋間で運行。板橋からは都営三田線の新板橋からの振替で巣鴨などへ。

 赤羽駅 湘南新宿ラインホーム下

 この時の代行バスは国際興業(@板橋駅西口)

 板橋駅ではシャッターが下り、駅員が外で案内

 2004.6.6(日)、埼京線(赤羽〜大崎)が運休。代行バスは赤羽〜板橋間で運行。この日は山手線の「迂回乗車」で大崎へ。(→第163話参照)

 上に同じ(赤羽駅 湘南新宿ラインホーム下)

 バスは赤羽駅東口から発車

  • 参考情報

大船渡線と山田線は「振替」→JR東日本盛岡支社(列車運行情報)

三陸鉄道のバスも「振替」・・・岩手県北バス(小本〜田野畑間)路線バス

気仙沼線は「BRT」→気仙沼線における暫定的なサービス提供開始について(PDF)

鉄道復旧状況(マップ)

 

第360話 鉄道事業者におけるべからず集(2012.9.2)

 おかげ様で第360話。月2回のペースながら、延々と続けているとまる15年で達する数である。我ながら「よくもまぁ・・・」だが、まだまだ、でもある。引き続き、どうぞよしなに。

 で、節目に当たる回だし、360なので、360°=円? といったことも考えたが、15話ごとの「べからず集」に当たる方を優先。今回で16回目の「べからず集」になるが、最初のべからずが「電車内のマナー」(第60話)だったことを受け、今度は客の方ではなく、事業者の方に向けてみることにした。ズバリ「鉄道事業者におけるべからず集」である。

 日常的にJR利用が多いため、「主にJR」といった趣になるが、他社に共通する部分も多々あるだろう。時にはwebサイト経由で投書することもあるが、その辺りも含めた一つのまとめとしてご紹介する。


次.webサイトでの情報提供が...

 仕事上、各社のwebサイトを定期的にチェックしている。すると、次のようなものに出くわすことがある。

・表記上の明らかなミス
・一度リリースした情報(PDF等)が撤回され、修正版がアップされる(差し替えまでに時間がかかる場合がある)
・(webサイトの構成や運用の不十分さに伴う)情報の不明確・不分明
→例:イベント情報における「5W1H」などの不足、どれが新着情報なのかがわからない不備

 東京メトロと東京都交通局タイアップによる「地下鉄スタンプラリー」のリリース文(当初)。ちょっとした間違いが下の方にあります。(その後、差し替え)

 真岡鐵道、レールファン富士急のwebサイトでの例

 JRで多く見受けるのは、臨時列車情報の表記の不統一(特に車両や編成の情報)であり、時に日付と曜日の不一致である。今の時期、秋の臨時列車情報が各社・各支社から出揃ったところなので、そうした観点でチェックしてみるのもいいだろう。(→JR東日本各支社の例:盛岡秋田仙台水戸高崎八王子長野新潟

[新着情報がわかりにくいwebサイトの例](社名50音順)

会津鉄道(→日記 / 伊賀鉄道(→blog / 伊勢鉄道 / 遠州鉄道(→blog / 近江鉄道 / 岳南鉄道 / 関東鉄道 / くま川鉄道 / 神戸市交通局 / 神戸新交通 / 信楽高原鐵道 / 島原鉄道 / 樽見鉄道 / 銚子電気鉄道(→blog / 長良川鉄道 / のと鉄道 / 箱根登山鉄道 / 阪堺電気軌道 / 松浦鉄道 / 真岡鐵道 / 山形鉄道(→日誌 / 若桜鉄道


10.難ありラッピング車両

 この記事「ローカル線、アニメ車両が快走 伊豆・長野・鳥取」に出ているものは真っ当な部類と言っていいだろう。他にもデザイン性の優れたラッピング車両は多く、決して悪く云う心算はない。

 ただ時として、「?」となるものが走り、それを多く目にするようになると目障りになってきて、果てはそれが入線してくると乗る気が失せるレベルになってしまうことがある。ここ何ヶ月の間では山手線の「宇宙兄弟」車両がウンザリだった。最近では、こういうのが中央線快速で走っていて、少々刺激的。

[ラッピング車両の例]

 なかなかセンスのよい縞模様(またはシマウマ)ラッピング都電

 りんかい線ラッピング車両「ガチャピン」

 「宇宙兄弟」のドアップ顔に比べると、かなり洗練された印象を受ける「ヴァンガード」車両


9.車内ディスプレイがわずらわしい

 第345話の「無表情」の項で取り上げたが、今なお健在で何とかしてほしいのが「じぇいわ」坊。画面展開的にイラっと来るのは、「大人の60秒講座」(Nintendo Presents)だろう。次の画面に行くのに展開図を転がるようなのをわざわざ入れて来るので、煩わしいことこの上なし。山手線や京浜東北線などでついこれを目にすると、「嗚呼・・・」である。当然、どんなにタメになりそうなことが映っていたとしても見ようと思わないので、講座も何もないのである。

 他のレギュラーコーナー(番組?)はまぁまぁなだけに、こうしたちょっとしたNGは本当に惜しまれる。


8.車内アナウンスの音量が...

 一部の旧式の車両では、天井(または吹き出しの中)にあるスピーカーから車掌さんのアナウンスが降って来る。調整が利かないのか、単なる劣化か、以前はこの音量がやたら喧しくてどうしようもなかった。205系での場合、いずれ新型(E233系)に置き換わるのでそれまでの辛抱ではある。

 奥まっている割には強力なのがこのスピーカー(205系にて)


7.座席幅は適切か?

 ここ何年かで思うのは「大柄な人が増えてきた?」ということ。タテに大きいのはまだしも、ヨコに大きいケースが兎角多く、願わくばあまり近くには居たくないと思うものの、なかなか思うようにいかない。混雑時の圧迫感然り、着席時もそれはもう、である。だが、当人に対してどうこう、というのはこの際ナンセンスだろう。実状に応じた対応を事業者側に求めるばかり・・・。その一つは言うまでもない。座席幅のいま一度の見直しである。

 「長い方は7人掛け。詰めておかけください。」といったアナウンスが入る度に思う。「その7人の前提とは? 座席幅の基準は果たして本当に標準なのか?適切なのか?」と。

 一見ゆったりと見えるE231系のロングシート

 9/1から高崎線にデビューした新型のE233系(初日の下り1番列車[841M])

 その新型の4人掛けシート(幅は従来規格?)


6.次の発車がわからない

 新幹線の充実ぶりは目を見張るものがある。東京駅の東海道本線なども親切と言える。悩ましいのは、その多くが先発と次発程度で、その先の表示がされないということが一つ。そして、旧式の電光表示等だと、その次発の部分を各種注意や他線運行情報など何らかのテロップで使ってしまい、正に「先が読めなくなる」ことがあるのが一つ。基本は「先発」「次発」「次々発」の三段とし、テロップは三段目に時々流す程度、というのが望ましいと思うのだが...

[案内表示の例]

 先発の次が隠れてしまう例(@赤羽駅)

 二段表示の典型(発車時刻に目が釘付けになってしまった時の例・・・高崎線と湘南新宿ライン、宇都宮線と湘南新宿ライン、それぞれ1分差で連続発車!)

 実に見事な東海道新幹線の出発案内

 発車時刻が消えてしまうこともままある

 新宿駅ではぜひとも「各線三段表示」にしてほしいところだが...

 これが一つの理想形(地下化前日の京王線調布駅にて)


5.過剰安全確認?

 非常停止ボタンの設置が進んだのはいいが、それが押されることでさらなる非常事態を招く可能性があることは否めない。発車直後に押され、ドア開放ままならず、車内でしばし缶詰状態になり、具合が悪くなり...というのは有り得なくない。ホームで押されるケースは、ドア挟みでの発車、線路内人立ち入りの2つがメインと思うが、いずれも早々に対処すれば、解除されるまでに多くの時間はかからないものと思われるが、いわゆる「安全確認」により、軽く数分(時に十数分)を要し、「あぁ、また・・・」となることしばしば。何をどう確認するとそうなるのかの説明がないので余計にイライラ感は強まる。過ぎたるは猶・・・だと思う。

 8/29朝、京浜東北線の始発を待っていたら、一つ前の列車が到着するや降りてきた客が非常停止ボタンをON。何事かと思ったら車内から急病人と思しき男性が担がれて出てきた。何人かの客と駅員、実に見事な連携で事なきを得て、思ったよりも早く運転再開。始発列車の遅れも1〜2分程度で済んだ。(写真は、ボタン解除時の様子)


4.振替への判断遅れ&振替乗車票の配布渋滞

 都市圏で鉄道を利用する上で覚悟しないといけないのは、どこかしらで運転見合せが起こり、直接的・間接的に影響を受ける、ということ。長いケースでは1時間動かなくなることもあり、動いたとしても混雑が激しくて乗れないといったことも往々にしてある。まずは見合せを発生させないことが最優先だが、天変地異系はどうしようもないし、とにかく起きてしまった以上は致し方ない。いかにその影響を緩和するかが次に問われる訳で、その最たる対応は振替乗車だろう。信号トラブル、ポイント故障、異音、ドア点検、架線に付着物...理由は様々ながら、どの理由だと振替ができて・できなくて、ではない気がする。乗客にいかに速く代替ルートを提供するかが要だとすると、まず振替ありき、でもいいくらいである。この判断の遅れ、そして振替乗車票の配布要領の悪さは時に二次災害的な事態になる。日頃からシミュレーションを重ねておいてほしい一件である。

[原因はさまざま]

 線路内発煙

 強風

 架線に付着物

 ドア点検


3.駆け込み促進

 駆け込む方に問題があるというのを6とすれば、4は駆け込ませる方にも...と考える。発車ベルや発車メロディが使われる駅では、それが一つの合図となり、乗車を急かしている側面があるのは確か。鳴らしておいて「駆け込まないで」というのは大いなる矛盾である。全く音がないのも何なので、車内とその周辺少々に聞こえるくらいの音量で、といった按配か。ホームや階段に響かせないようにすれば、ぐっと駆け込みは減ると思う。

 何かとお騒がせな発車ベル

 「やめよう!駆け込み乗車。」それを云うなら発車ベルも、と言いたくなってしまう(@神保町駅)

 京成高砂駅での同時発車の様子。発車合図はホイッスル。(それで十分ではないかと)


2.不穏な徐行

 前述の5.に伴う場合、4.に直結する場合(事象発生直後)、そして3.がきっかけで発車が遅れたことによる玉突きなど、あれこれの理由により、列車は時に不穏な動きをする。次の停車駅まで距離がある途中で徐々に速度を落とし、徐行し...この時点で結構ヒヤヒヤさせられる。低速をそのまま維持し、ゆっくりながらも動いている分にはいいが、そうでないケースが起こる。(次項へ)


1.駅間停車

 徐行から停止へ。そして車掌アナウンスとともに乗務員室で鳴っている警報音がスピーカーから間接的に入ってくる。実に嫌な瞬間である。駅と駅の間でこの停車が起こり、その停車時間が何分かわからない・・・最も避けたい事態だが、これが時として起こる。最近ではこういうことにならないように、できるだけ駅で停まり、「抑止」をかけて時間調整するのが増えてきたように思うが、それでも動き出せば何となく徐行モードで、やはりどこかで一時停車したりはするので、乗らない方が賢明だろう。どんなに動いていても、ある程度安定するまでは振替乗車を実施する方が事業者・客の双方にメリットがあると考える。

 あとは構内に遊休スペースがある駅では、待避設備をできるだけ設け、影響を受ける区間を最小限にしていくのも有効だろう。路線ネットワークや相互直通運転の拡充は、リスクの拡散とも隣り合わせ。東海道線で何かあれば、宇都宮・高崎線・埼京線に影響し、半蔵門線で何かあれば、東武スカイツリーラインや東急田園都市線に影響し、というのはある意味日常。今後、副都心線<->東横線の直通化をはじめ、JRでは東北縦貫線なども控えている。首都圏の鉄道ネットワークが拡がるのは大いに歓迎だが、単に線路をつなぐだけでなく、リスクを織り込んだ設定もぜひ、というのが正直な気持ちである。

 こういう表示が出ている時は乗らない方がいい場合もある

 女性専用車両が混雑に拍車をかけ、遅れを招き、そして...ということもある

 東北縦貫線は着々と出来上がりつつあるが、一抹の憂いも(@神田〜秋葉原)


 以上、主に乗車中・移動中での鉄道事業者向け「べからず集」10選。各種設備、駅員の応対、ダイヤ、車両運用、乗車券関係、環境対応等、見方を変えればまだまだ出てきそうだが、今回はこんなところで。客として求めたいものは、「Quality of Ride」。これに尽きる。

 こうした取り組みは大歓迎(@四ツ谷駅)

 

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